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精霊育成師の世界旅行 作者:早秋

第2章 きっかけ

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(1)人工物

 シゲルが異世界に移動してから二カ月が経った。
 その間のシゲルは、フィロメナの家とタロの町を往復しながら、自分自身の力を上げていた。
 お陰で、フィロメナの家の周りに出てくる魔物には、精霊の力を借りなくても討伐できるようになっている。
 もっとも、フィロメナにはまったく歯が立たないのだが。
 シゲルは、まだまだ自分の限界が来たとは思っていないので、フィロメナから戦闘技術や魔法について教わりつつ、何とか手札を増やそうと頑張っている。
 ちなみに、この間にギルドのランクもひとつ上がって、Cランクになっている。

 シゲル自身が成長する一方で、『精霊の宿屋』がどうなっているかといえば、現在は停滞気味になっている。
 無事に精霊石を貯めて、大きさを一段階上げることは出来ている。
 ただし、大きさを広げてからシゲルのこだわりにより、以前に配置していたものをいろいろと移動させたり、ちょこちょこと手を入れたりしているために、大きな変化は起きていなかった。
 勿論、広さが倍になって自然物が増えた結果、『精霊の宿屋』に訪れる精霊の数は以前と比べて増えている。
 それでも、この半月ほどは、環境に大きな変化が無かったためか、その数も頭打ちになっていた。
 もっとも、シゲルは効率を求めているわけではないので、それでも構わないと考えていた。
 既に十分な数の精霊石も手に入っているので、焦っていないということもある。

 箱庭世界が完全にシゲル好みの世界に変わっていく一方で、肝心の精霊にも変化があった。
 まず、精霊が一体増えて、全部で四体になっている。
 元からいた初期精霊三体は、ランクが下級精霊のAランクになっている。
 ただ、Aランクになってから既に三週間以上経っていて、その先に成長するめどはたっていない。
 これ以上成長するためには、中級精霊に進化しなければならないのだが、そのための条件が分からないのだ。
 進化に関しては、お手上げ状態なのが三体の精霊の現状である。

 そして、もう一体新たに加わった契約精霊は、スイと名付けた。
 スイは初期精霊三体とは違って、最初から下級精霊のEランクから始まっていた。
 さらに、ランクアップに関しても、初期精霊よりも条件が厳しくなっている。
 この条件が、これから来るすべての契約精霊に適応されるのかは、今のところはわかっていない。
 とにかく、契約精霊が一体増えることによって、出来ることも増えている。
 特に、周辺探索に関しては、二体同時に回せるようになっているので、格段に探索済みエリアが増えていた。
 とはいえ、やはり精霊の行ける範囲というのが決まっているのか、森の奥には行かずに、より珍しいものを持ってくるようになっている。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 シゲルは、いつものように夕食を作りながら『精霊の宿屋』のログを確認していた。
 探索を終えた精霊は、当然ながら自分で報告をすることができないため、何を取ってきたのか確認するのには、ログを見るのが重要になって来る。
 特に最近では、良く取れる物ではなく、珍しい物が含まれていることがあるので、ログのチェックは欠かせないのだ。
「んー…………。いつもと違いは……って、あれ?」
 ログをスクロールしながら見ていたシゲルは、後半に紛れていたとある一文を見て首を傾げた。
「『人工物(?)発見』って、なにこれ? あれ? 送った先って森の奥だよな?」
 そう呟きながら慌てて探索場所を確認してみたが、やはり勘違いではなかった。
 今回精霊たちが探索していた場所は、フィロメナの家がある場所よりもさらに奥の森になる。

「さっきから何をブツブツ言っているんだ?」
 小さく首を傾げながら考えているシゲルに、リグと戯れていたフィロメナが近付きながらそう聞いて来た。
 フィロメナは、精霊と遊びながらシゲルが夕食を作り終えるのを待っていたのだ。
「いや、なんかシロが、森でおかしな物を見つけて来たみたいなんだよね」
「おかしな物?」
「うん。北西側の森の奥なんだけれど、人工物みたいだよ?」
 シゲルがそう言うと、フィロメナははっきりと顔色を変えた。

 そこまでの驚きを示すフィロメナを始めてみたシゲルは、何か重要なことをあるのかとすぐに察した。
「そ、それはどこだ!? どんなものなんだ!?」
 シゲルの予想通り、フィロメナは泡食ったような表情になって、掴みかってきてもおかしくない勢いで近寄って来た。
「えっ!? えーと、どんなものかと聞かれても……場所はここから半日くらい行ったところ、かな?」
 精霊が実際に拾ってきたものならともかく、流石にどういった人工物(?)であるかはわからない。
 今のところわかっているのは、今いる場所から北西側に半日ほど進んだ場所に、人工物らしきものがあるという事だけだ。

 シゲルの答えを聞いたフィロメナは、少しだけ考え込むような顔になった。
「……そうか。シゲル、明日の予定は?」
「え? いや、特に何もないよ? いつもと同じように過ごすつもりだったけれど?」
 最近のシゲルは、精霊に指示を出したあとは、魔法の訓練や時折周辺の魔物を狩ったりしている。
 翌日は町に行く予定もなかったので、何もないと言えば何もない。

 シゲルの答えを聞いたフィロメナは、頷いてから言った。
「そうか。だったら、その精霊が見つけたという人工物とやらの場所に案内して貰ってもいいか?」
 精霊が見つけて来たものは、シゲルでないと案内することができない。
 シゲルが指示を出して、フィロメナが後をついて行くということもできるが、それなら最初からシゲルがついて行ったほうがいい。
 話を聞く限りでは、シゲルが対処できない魔物が出てくるような場所ではないので、猶更だ。
「それは勿論いいけれど……そんなに焦って確認しなければならないようなもの?」
「そうだな。私の予想が当たっていれば、だが」
「ふーん……。まあ、とりあえず、わかったよ」
 フィロメナの答えに、シゲルは良くわからないながらも頷いた。

 この時点でのシゲルの認識は、森の中にちょっとした人工物があるというものだった。
 だが、この認識が大きな間違いだったということは、翌日の調査(?)ですぐに判明することとなるのである。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 そして、翌日。
 しっかりと朝食を採り終えたシゲルとフィロメナは、シロの案内の元で目的の人工物を目指していた。
 シロは、きちんとその場所を覚えているようで、しっかりと道なき道を進んでいる。
 大変なのはシゲルとフィロメナだ。
 シロが進んでいる道は、当然ながら人が通れるようになっているわけではないので、なんとか進めるところを選びながら通っている。
 途中、どうしても越えられないような岩場などがあって、迂回せざるを得なかった。
 それでもシロはきちんと目的地を目指しているようで、案内されている側としてはあり難かった。

 それでも、精霊の進む速度で半日という場所は、シゲルとフィロメナの足ではさらに時間がかかっていた。
「――野営の準備をしておいて、良かったな」
 休憩兼昼食を取っていたフィロメナが、安堵のため息とともにそう言ってきた。
「まったくだね」
「この分だと、下手をすれば、現地に着くのは夕方近くなるかも知れないな」
 直線距離だと半日だとしても、障害物をよけながら道なき道を進んでいるために、思った以上に時間がかかっている。
 ちなみに、体力ではフィロメナに敵わないシゲルだが、山道を歩くことはある程度慣れているので、遅れているというほどではない。
 ただし、フィロメナは、シゲルに対しても不意打ちをされることがないように、周囲を警戒しながら歩いているので、今までの早さが最高速度というわけではないのだが。

 フィロメナの言葉に頷きつつ、シゲルはシロを見ながら言った。
「シロ、目的地まではまだかかるんだろう?」
 シゲルがそう問いかけると、シロは申し訳なさそうに尻尾を項垂れさせた。
 それを見つけたシゲルは、思わず小さく笑ってしまった。
「シロが落ちこむ必要はないよ。それに、歩いていれば、いずれは着くんだから、そんなに気にしなくていい」
 シゲルがそう言いながら手を伸ばしてシロの頭を撫でてやると、シロは嬉しそうに尻尾を振った。

 そのやり取りを微笑みながら見ていたフィロメナは、一転して厳しい顔になった。
「森もどんどん深くなっていくからな。ここから先は、出てくる魔物も一段上になるはずだ」
「うん。足手まといにならないように、気を付けるよ。今回は護衛も多いしね」
 いま精霊たちは、『精霊の宿屋』の管理にスイを置いているだけで、あとは全員がシゲルの護衛につけている。
 万全の状態で身を守っているのは、これから向かう先にいるという魔物が、シゲルだけではとても対処できるような相手ではない。

 魔物が出てくる森でのんびり過ごすわけにはいかず、昼食を終えたシゲルとフィロメナは、片づけを終えてすぐに出発をした。
 そうしてさらに歩くこと数時間後、二人はようやく目的地である人工物とやらの前にたどり着くのであった。
※章タイトルは後程つけます。

ま、まだ思いついてないなんてことではありません! 
♪~(´ε`")
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