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精霊育成師の異世界旅行 ~レア素材ゲットで、おとも精霊が急成長!?~ 作者:早秋

第10章 精霊育成師

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(14)祠の役目

 ユリアナとの会談を終えたシゲルたちは、祠には行かずにアマテラス号へと戻った。
 通信具という魔道具が見つかったため、まだ祠での調査を続けるつもりではいるのだが、この日はこれで終わりにしようということになったのだ。
 付け加えると、女性陣から盗み聞きされない場所で話し合いをしたいという雰囲気が、プンプンと醸し出されていた。
 その空気を皆が読んで、真っ直ぐにアマテラス号へと戻ったともいえる。
 とにかく、落ち着ける場所で話し合いがしたいというのが、シゲルを除いた女性陣の一致した意見だったのである。

 というわけで、アマテラス号へと戻ったフィロメナが、さっそくシゲルに向かって問いかけた。
「――それで? あの魔道具は結局なんのためのものなのだ?」
「いや、いきなりそれ?」
 直球で聞いてきたフィロメナの目は、すでに見当はついているのだろうと語っている。
 シゲルが周囲を見回せば、ほかの面々も同じような顔をしていた。

 それを見たシゲルは、はぐらかしても仕方ないと理解して、一度ため息をついてから答えた。
「あそこで言ったことは間違いないんだけれど、いいんだよね?」
 なんのことかといえば、ユリアナ女王に言った「確証がない」という言葉だ。
 フィロメナたちは、当然そんなことは分かっているので、揃って頷いていた。

 それを確認したシゲルは、さらに続けて答えた。
「じゃあ言うけれど、あの魔道具……というか、あの祠は、多分アマテラス号みたいな空を飛ぶ船と交信するための場所じゃないかと思ったんだ」
 そう言いながらシゲルが思い浮かべたのは、日本にもあった空港である。
 もっといえば、飛行機とやりとりをしていた管制塔だ。
 もっとも、管制塔と比べれば、あの祠は小さすぎる。
 それでもシゲルがそれを否定していないのは、そもそも空を飛んでいた船の数が飛行機とは比べ物にならないくらいに数が少なかったからではないかと予想しているためだ。

 飛んでいる船の数自体が少なければ、それを制御する管制塔も大きくする必要はない。
 アビーやタケルの日記を見る限りでは、空飛ぶ船の数は、当時もそこまで多くの数が飛んでいたとは書かれていない。
 かといって、多くの船が飛んでいないとも書いているわけではないのだが。
 ただし、これまでの遺跡の調査から、さほど多くは飛んでいなかったということは、フィロメナたちとも予想していた。

 船自体の数に加えて、あの祠が大体町の郊外にあるということも押さえておきたい。
 つくりを見る限りでは、町の中に船を泊める場所があったとは思えないので、当然いまシゲルたちがそうしているように、町の外に泊めていたはずだ。
 そう考えれば、船とのやり取りをするための場所が、町の郊外にあると考えるのは不自然なことではない。
 最後に、わざわざあれほどの大きさの魔道具を作ってまで、複数の相手と交信する必要があると考えた時に、町に来た船とのやり取りのために使ったのではと、シゲルは考えたのである。

 
 そのシゲルの考えを聞いたフィロメナたちは、揃って納得の顔になっていた。
 勿論、シゲルの前置きがあったために、それを鵜呑みにする者たちではない。
 だが、考えれば考えるほど、正しいことではないかと思えてくる。

 シゲルの話を聞いて考えるような顔になっていたフィロメナが、軽く首を振りながら言った。
「――確かに、あの場で言わなかったのは正しかったな。もし言っていれば、確実に独り歩きしていたはずだ」
「あ、やっぱり?」
 断言したフィロメナに、シゲルはそうだろうなと頷いた。
 シゲルもそれを懸念したために、あの場では言わなかったのだ。
 別に、ユリアナを相手にして、隠した情報の一つでも握っておきたかったという理由ではない。

 そのシゲルの様子を見て、今度はミカエラが頷きながら言った。
「まず間違いなくそうなるわね。そもそも、今のところ私たちが超古代文明研究の第一人者だし?」
「なぜそこで疑問形になるのよ」
 首を傾げながら言ってきたミカエラに、マリーナの突っ込みがさく裂した。
 ただし、突っ込みとはいっても、言葉だけで手が出ているわけではない。

 二人のやり取りはともかくとして、ミカエラが言っていること自体は間違いではない。
 その証拠に、ラウラも頷きながら言った。
「シゲルさんがあの場で言えば、ユリアナ女王は間違いなくその考えを広めたでしょう。ただし、自分には責任が来ない形で」
 超古代文明研究の第一人者であるシゲルの考えとして、祠の役目を周辺に広めるくらいのことはいくらでもできる。
 そうして自分の考えではなく、シゲルの考えとして周囲に広めて、国の利益のために使うことくらいはいくらでもするはずだ。
 また、それくらいのしたたかさがなければ、一国の女王としてはただの飾りだと言われてしまっても仕方がない。
 幸か不幸か、ユリアナ女王はやり手として知られていて、そんなお飾り女王ではないのだ。

 そんなユリアナからの追及をあの場で躱せたのは、シゲルが優れていたからではない。
 あくまでもユリアナが、あれ以上は必要ないと判断したからだ。
 そのことは、シゲル自身が良くわかっている。
「とりあえず、ユリアナ女王があれで引いてくれてよかったよ」
「そうだな。まあ、女王がシゲルのことを十分に理解して引いたのだろうが」
 フィロメナもそう言いながら頷いた。
 もし必要があれば、ユリアナ女王はさらに深く突っ込んできていたはずだ。
 それをしなかったのは、シゲルやその周囲にいるフィロメナのことを考えてだということは、この場にいる全員が分かっていることだ。

 自分の言葉に全員が頷くのを確認してから、フィロメナはさらに続けて言った。
「女王のことは、これ以上考えなくてもいいだろう。それよりも、あの遺跡のことはどうする?」
 この問いには、全員が考えるような表情になった。
 正直なところ、あれ以上あの遺跡を調べてもなにかが出て来るとは思えなかった。
 遺跡自体どんな材質でできているのかなどは、いままでの調査で嫌というほど調べられている。
 あの遺物が空飛ぶ船とのやり取りで使われていたかどうかを調べるには、現地調査よりも当時の資料に当たったほうが証拠固めになるはずだ。

 皆が考え込むのを見て、シゲルはふと呟くように言った。
「……いっそのこと、ディーネに直接確認してみる?」
 シゲルは、この時点で祠とそこにあった遺物が残っているのは、ディーネが関与していると考えていた。
 それはシゲルだけではなく、ほかの皆も同じだということは、その顔を見ればわかる。

 ただし、シゲルの問いには、全員が渋い顔になっていた。
「それは……できれば遠慮したいわね」
 真っ先にそう言ったのは、ミカエラだった。
 シゲルが聞けば、もしかしたらディーネは答えを教えてくれるかもしれない。
 だが、そうした得た答えを確証もなしに広めてしまえば、大精霊が嘘をついていたとしてもそれが分からないまま広まってしまう。
 勿論、ディーネがそんなことで嘘を付くとは考えていないのだが、いずれにしてもほかの手段での検証は必要だというのが、全員の一致した意見だった。

 ミカエラの言葉に皆が頷くのを確認したシゲルは、再度確かめるように言った。
「それじゃあ、とりあえずディーネに確認するのはしないか、後回しということでいいかな?」
 シゲルがそう問いかけると、皆が同意するように頷いた。
 シゲルとしては、必要があればディーネを呼ぶつもりにはなっていたのだが、皆が必要ないと考えるのであれば実行するつもりはない。
 それに、祠のことを調べるのには、ほかの遺跡を訪ねて資料に当たる必要があることは間違いない。
 いずれにしてもディーネと顔を合わせることになることは、この時点でシゲルもわかっている。
 そうであるならば、遺跡に行ったときに確認すればいいと考えるのは、当然のことなのであった。
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