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精霊育成師の異世界旅行 ~レア素材ゲットで、おとも精霊が急成長!?~ 作者:早秋

第9章 特級精霊

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(19)ネクロガンツ大洞窟(後)

 まるでアリの巣のような入り組んだ通路と小部屋(のような空間)を進んでいたシゲルたちだが、ようやくその最終地点らしき場所へと着いた。
 なぜそこが最終地点だと分かったかといえば、理由は簡単である。
「随分と広い洞窟だな」
 フィロメナがそう漏らしたように、そこはとてつもなく巨大な空間になっていたのだ。
 さらに、ただ広い空間があるというだけではなく、不思議なことにこれまで頻繁に出てきていた魔物が全く見当たらない。
 この空間に出る通路でも、途中で魔物が出て来ることは一切なくなっていた。
 それはまるで、奥に控えている強大な存在を畏れているかのような雰囲気だと皆が漏らしていたのだが、どうやらその予想は当たっていたようである。

 フィロメナの言葉に同意した皆が、空間の奥へと進もうとしたところで、シゲルはちょっとした違和感を感じた。
「ストップ。先に進むのは待って」
「シゲル……?」
 罠らしきものは全く感じなかったフィロメナが、不思議そうな顔でシゲルを見た。

 だが、シゲルはそれには答えずに、真っ直ぐ前を見ながら言った。
「そちらにいらっしゃるのでしょう?」
「フォ、フォ、フォ、よく気付いたの。その通りじゃ」
 なにもいないはずの空間にシゲルが呼び掛けると、それに応えるように年老いた男性のような声が聞こえてきた。
 そして、その声に合わせるように、なにもいなかったはずの空間に小山程の大きさの亀が姿を見せた。

 その姿を見た瞬間、シゲルと精霊たちを除いた他のメンバーたちが息を呑んだ。
 その亀が土の大精霊であることは、受ける威圧ですぐにわかった。
 むしろこれほどの威圧があるにも関わらず、今までまったく気付けなかったのが不思議なほどだ。
「儂はこんななりじゃからの。隠れるのは得意なのじゃが、随分とあっさりと見つかったもんじゃの」
「貴方が本気で隠れるつもりなら見つけられなかったでしょう。私が気付けるように、わざわざ合図をくれたから分かったのです」
「それは、少しばかり謙遜が過ぎるの。現に、そちらのエルフの娘っ子は気付けなかったじゃろう?」
 土の大精霊がそう言うと、ミカエラがびくりと体を震わせた。

 それを見たシゲルは、ミカエラが大精霊の存在に気付いていなかったのだとここでわかった。
 本当にわかっていなかったのかと聞こうと思ったシゲルだったが、ミカエラの様子を見てそれは諦めた。
 ミカエラは、初めて会う大精霊を前にして、まともな回答が得られるような状態ではなさそうだった。
 それに、ミカエラが気付いていなかったのは、今の様子をみればわかる。

 ちなみに、土の大精霊が合図をくれたというのは、シゲルの間違いや勘違いではない。
「精霊使いには分かり易い合図だと思ったのですが……」
「それだけシゲルが、多くの精霊に触れているということじゃの。自覚がないようじゃが、お主はその箱庭を通して、多くの精霊と交わっておるからの」
 初めて聞く事実に、シゲルは少しだけ驚いた顔になった。
 勿論シゲルは、『精霊の宿屋』に多くの精霊が来ていることは理解している。
 ただしそれは、あくまでも『精霊の宿屋』に来ているだけであって、自分自身に直接関係しているとは考えていなかったのだ。

 シゲルの驚きを補足するように、土の大精霊はさらに続けて言った。
「お主はただの通りすがりだと感じていたようじゃが、そんなことはない。その箱庭に来ている精霊は、皆がそなたに触れて行っておるのじゃ。だからこそ、本当に小さな儂の合図にも気づけたのじゃろう」
「そんなことが……」
 まったく考えてもいなかった事実に、シゲルは呆けたような顔になってそう呟いた。
 この時の護衛に着いていたラグやシロは、気付いていなかったのかという顔をしていた。
 今、土の大精霊言ったようなことは、普段の会話に上ることすらなかったので、お互いの認識不足だったと言えるだろう。

 ちなみに、土の大精霊は敢えてシゲルだけが気付けるような気配を送ったのだが、それをわざわざ言うようなことはしなかった。
「まあ、それを知っていたとしてもいなかったとしても、お主がやることはたいして変わらないじゃろう?」
「それは、まあ、確かに」
 多くの精霊が自分に触れていようといまいと、『精霊の宿屋』に精霊がたくさん来ていることはきちんと認識していた。
 土の大精霊が言う通りに、それを知ったからといって、いきなり『精霊の宿屋』の調整を放棄したりすることはなかっただろう。

 そんな認識でいいのかなと少しだけ悩むシゲルに、土の大精霊が雰囲気を変えるように言った。
「それはそれとして、きちんと名前は考えておいてくれたんじゃろうな?」
「ええ、まあ、一応は」
 もはやいつも通りの流れと化している問いかけに、シゲルは曖昧な顔で頷いた。
 どうせこうなるだろうと思って事前にいくつか決めてはいたのだが、それが気に入られるかはまた別の問題なのだ。
 ちなみにシゲルは、イグニスがドラゴンだった時点で、もしかしたら亀(玄武)の姿もあり得るのではないかとちらりと考えていたりもした。

 その答えに、期待するような視線を向けてきた土の大精霊に、シゲルは続けて言った。
「――一応いくつか考えていましたが、その中で貴方に合いそうなのは、グラノームというのがあるのですが、いかがですか?」
「グラノームか。よかろう。これからお主に呼ばれるときは、グラノームじゃ。まあ、こんな図体じゃから、呼ばれるようなこともほとんどないじゃろうがの」
 カカカと笑いながら言ったグラノームに、シゲルは曖昧な笑みだけを返した。
 グラノームが言ったとおりに、これほどの巨体を呼び出すとなると、その場面は非常に限られるだろうと思ったのだ。

 ひとしきり笑い終わったグラノームは、相変わらずのんびりした調子で続けて言った。
「おっと、いかんいかん。肝心なものを渡し忘れるところだった。――ほら、そこの。もう少し近くに来るといい」
 グラノームがそう言うと、シゲルの傍にいたシロがテクテクと近寄って言った。
 シゲルは「そこの」だけで誰のことかわからなかったのが、シロにはしっかりと通じていたようだった。

 グラノームに近付いたシロだったが、特に触れ合ったりといったことはしていなかった。
 だが、近寄って数秒も経たないうちに、シロは再びシゲルの元へと戻ってきた。
 そしてその背中には、グラノームに近寄ったときにはなかった物が載せられていた。

 握りこぶしほどの大きさのきれいにカットされた水晶のように見えるそれを見て首を傾げるシゲルに、グラノームが先んじて言った。
「それが、儂からの贈り物になる。どういう風に使うかは……もうお主には説明しなくてもわかっているじゃろう? まあ、それ以外にも使い道はあるのじゃが」
 グラノームがそう言うと、シゲルは無言のまま頷いた。
 シゲルは、大精霊から貰っているアイテムが非常に貴重な物で、いろいろな使い道があるということは知っているが、『精霊の宿屋』以外に使うつもりはない。
 そもそも今回グラノームのところに来たのは、『精霊の宿屋』の拡張するアイテムを手に入れるためだ。
 いつも通りの流れで手に入れたので良かったが、もしグラノームから言ってくれなければどうお願いしようかと悩んでいたので、ちょうどよかったといえる。

 もっとも、シゲル自身は労せずして目的の物を手に入れたと考えているが、実際にはそうではない。
 シロがいなければ、この場所に到達できずに諦めていたかもしれないし、そもそもエアリアルがこの場所を教えてくれなければ、来ることすらなかっただろう。
 加えて言えば、グラノームはあっさりとアイテムを渡してくれたとシゲルは考えているが、そんなことはない。
 きちんとグラノームなりの審査基準で渡していいかを吟味している。
 また、そうでなければ名づけを許したりはしない。
 グラノームが、見るべきところを見てアイテムを渡しているということに、シゲルは気付かないままありがたくそのアイテムを貰うのであった。
土の大精霊は、でっかい亀様でした。
ちなみに、シゲルが玄武を予想したのは、この世界が四神の思想に基づいているからではなく、ただの想像ですw
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