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精霊育成師の異世界旅行 ~レア素材ゲットで、おとも精霊が急成長!?~ 作者:早秋

第9章 特級精霊

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(18)ネクロガンツ大洞窟(前)

 メンテナンスは、三日ほどで終わった。
 今回は、アマテラス号のメンテナンスと土の大精霊の居場所を聞く以外にすることはなかったので、シゲルたちはエアリアルに挨拶をしてからフィロメナの家へと戻った。
 シゲルたちが家に戻ると、フィロメナが待ち構えるようにして玄関先で待っていた。
「ご、ごはん……」
 シゲルの顔を見るなりそう言ってきたのを見て、ほかの面々が苦笑するところまでがいつもの流れだった。

 シゲルが作った食事を食べて人心地着いたのか、フィロメナが聞いてきた。
「土の大精霊の居場所は分かったのか?」
「それは問題ないよ。ただ、道中は厳しそうだけれどね」
 細かいことはエアリアルから聞いていないが、シゲルがなんとなくそんな印象を受けたので、そう言っておいた。
 ただの勘違いだったとしても、警戒を高める分にはなんの問題もない。

 シゲルの返答を聞いたフィロメナは、難しい顔になって腕を組んだ。
「そうか……場所はどこだ?」
「ネクロガンツ大洞窟だって」
 シゲルの言った地名を聞いた瞬間、フィロメナは眉をひそめてため息をついた。
 説明されるまでもなく、ネクロガンツ大洞窟が厳しい場所だということは知っていたのだ。

 ネクロガンツ大洞窟は、人族領域の中では一、二を争うほどのレベルが高い魔物の生息域として知られている。
 そもそも倒すことが簡単な魔物しか出てこないのであれば、人族と魔族の領域への行き来がもっと頻繁に行われているはずである。
 そうでないのは、やはり途中に出て来る魔物が強すぎて乗り越えることが難しいからである。
 さらに、ネクロガンツ大洞窟はただの通り抜けるだけの通路としてだけではなく、下に降りていくタイプの階層型の洞窟としても知られていた。
 当然ながら(?)下に行くほど強い魔物が出て来るようになっていて、最奥部まで到達した者は存在していないとまで言われている。

「予想はしていたが、やはり面倒なところにいるんだな」
「いままで一度も見つかっていないんだから、そういう場所だってことは分かっていたことじゃない」
 面倒そうな顔になっているフィロメナに、ミカエラがそう応じた。
「行くのが嫌だったら一人だけで行くよ? 自分は望まれているみたいだから行かない選択肢はないけれど」
 二人のやり取りを見ていたシゲルが、一応の確認の意味を込めて聞くことにした。

 その言葉を聞いたフィロメナとミカエラの反応は、シゲルが思っていた以上に素早かった。
「いや、すまない。そんなつもりで言ったんじゃないんだ」
「そうよ! 折角大精霊に会えると分かっているのに、行かないなんてことはないわ!」
「そ、そう」
 二人のあまりの勢いに、逆にシゲルが引いてしまったほどだった。
 ついでに、大精霊に会うたびに気絶しそうになっているミカエラだが、やはり精霊使いとしては一目でも見ておきたいという気持ちのほうが強いようだ。

 シゲルとしては、初期精霊の三体が揃っていればなんとかなるのではないかと考えての言葉だったのだが、一緒に行かないという選択肢はないらしい。
「それじゃあ、いつ行くのかな? やっぱり写本を受け取ったあと?」
 写本の期限としては、まだ半月以上が残っている。
 それでも大精霊のところに行くのを先延ばしにしたのは、シゲル自身がそこまで焦っていないからだ。
 それに、折角研究成果をまとめているフィロメナたちの邪魔をしたくないという思いもある。

 だが、そんなシゲルの考えを否定するように、ミカエラが少しだけ呆れたような顔になって言った。
「なにを言っているのよ。そもそも大精霊にも望まれているのでしょう? 後回しにするなんてことはあり得ないわよ」
 そう言って力説をするミカエラを確認したシゲルは、すぐにほかの面々の顔を見回した。
 大精霊に対する思いが強すぎるミカエラだけの意見かと考えてのことだったが、それはシゲルの杞憂だった。
 ミカエラ以外のほかのメンバー全員が、似たり寄ったりの表情になっていたのだ。

 全員の意思を確認したシゲルは、一度頷きながら言った。
「そう。それじゃあ、なるべく早く行くということでいいのかな?」
「そうだな。準備に時間がかかるから明日にでもと言いたいところだが、さすがにそれは無理だろうな」
「いや、そこまで焦らなくても……」
 いい、と続けようとしたシゲルだったが、ミカエラから鋭い眼光を向けられて、すぐに口を閉じた。
 ミカエラに限らず、大精霊を待たせるのはとんでもないと考えているのはシゲルを除く全員が同じなようで、二人のやり取りを見て苦笑していた。
 そして、話し合いの結果、当事者であるはずのシゲルが一番のんびりとしていただけで、出来るだけ早く向かおうということで決定したのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 三日で準備を終えたシゲルたちは、四日目にはネクロガンツ大洞窟へと向かっていた。
 フットワークが軽いのは、フィロメナたちの最大の特徴だとシゲルは考えていたりする。
 ネクロガンツ大洞窟は、複数の出入り口があることが知られている。
 ただし、強い魔物が出て来ることで有名で、その分冒険者たちの稼ぎ場所にもなっているので、目立たずに入るということはほぼ不可能である。
 そもそもアマテラス号で移動している以上は目立たないというのは不可能なので、そこは諦めて比較的空いている入り口から入ることにした。

 冒険者の稼ぎ場所にも関わらず、比較的空いているということは、それだけ強い魔物が出て来るということにほかならない。
 当然シゲルたちも魔物と連戦になることを覚悟して入ったわけだが、ここで大活躍をしたのが特級精霊になったシロだった。
 土の特級精霊であるシロは、その特性を生かしてか、洞窟内を移動している魔物の動きを把握して、誰よりも早く魔物の接近を知らせてくる。
 ……どころか、配下にある精霊を使って、次々に襲ってくる魔物を倒していた。

「やれやれ。下手をすれば私たちの出番はないのではないか?」
 シロの活躍を見て、呆れたようにフィロメナがそう言っていたが、ほかの面々も似たような顔になっていた。
「楽を出来るんだからいいんじゃない? ――シロも気にしないで続けて」
 シゲルは、フィロメナにそう返しつつ、やりすぎだったかという顔をして自分を見てくるシロにそうフォローを入れておいた。
 シロのお陰で楽ができているのは、紛れもなくい事実なのだ。

 そのことを実感しているフィロメナも、真面目な顔になってシロを見ながら言った。
「すまなかったな、シロ。今のは冗談みたいなものだ」
「そうそう。無理はしちゃだめだけれど、好きなように戦っていていいのよ」
 フィロメナに続いて、ミカエラもそう捕捉してきた。
 少なくともミカエラにとっては、特級精霊であるシロの精霊の使い方は、見ているだけでも参考になるのだ。

 
 冗談交じりの会話をしつつ、シゲルたちはネクロガンツ大洞窟の中を進んで行った。
 すでに階層は四階層を越えて五階層まで進んでいる。
 ネクロガンツ大洞窟は、巨大な山脈を貫いていることからもわかる通り、一つの階層がかなりの広さになっている。
 一つの階層を行き来するだけでも数日かかることも珍しくなく、それがネクロガンツ大洞窟の攻略を難しくしている要因となっている。

 そんなネクロガンツ大洞窟をシゲルたちは、ほとんどさまようことなく一本道のように進んでいた。
 実際には、複数の分かれ道や出入り口があるのだが、それらは無視している。
 勿論、フィロメナたちが、大精霊がいるところまでの道を知っているというわけではない。
「――今回はシロが大活躍だな」
 ということなのだ。
「ワフ!!」
 シゲルが労うように言うと、シロは嬉しそうにそう返事をしてきた。

 シロは最初から道が分かっているかのように、迷うことなく洞窟内を進んでいる。
 シゲルがどこに向かおうとしているのは当然分かっているはずなので、なにかを頼りに洞窟内を進んでいることが察せられる。
 そのなにかがなんであるかは、シゲルたちには全く分からないのだが。
 とにかく、ネクロガンツ大洞窟で一番の難関である探索をしなくて済むのは、一番の朗報だった。
 さすがに洞窟の奥に進めばシロの力だけでは倒しきれなくなっているのだが、それも大したことではない。
 そもそもシゲルには、ほかにも特級精霊がいるのだからよほどの大群に囲まれない限りは、魔物を脅威に感じることもないのである。
ネクロガンツ大洞窟は三話くらいで終わる予定です。
……タブン。
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