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精霊育成師の世界旅行 作者:早秋

第9章 XXXX

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(1)新たな進化条件

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
 小さな町ほどに拡張して外敵が来るようになった『精霊の宿屋』は、今のところ大きな破壊をされることもなく、無難にやり過ごすことができている。
 ただ、最初の頃と比べて、現在来襲する外敵の数は、格段に増えている。
 その分外敵の『精霊の宿屋』の滞在時間が伸びていて、環境が破壊されるようになっていた。
 もっとも、環境の破壊といっても草地が直径一メートルほどの大きさで剥がされて、土がむき出しになったという程度の被害だ。
 現在の精霊石の収入から見れば、その程度の修復はすぐにできるので、大した問題ではない。
 問題があるのは、外敵が来るようになってからの精霊の来訪数が頭打ちになっているということだ。

 精霊の数が頭打ちになり始めたのは、外敵の滞在時間が増えたのとほぼ同時期なので、それが原因なのは間違いのない事実だとシゲルは考えている。
 理由は簡単で、外敵の討伐に時間がかかると、訪れている精霊の数が激減するのが確認できているからである。
 これだと、いくら環境を良くしても、ずっといてくれる精霊の数は増えない。
 それは、貰える精霊石の数に直結するので、外敵の滞在時間を減らすことは、これから先の『精霊の宿屋』の運営には必須の条件なのである。

「――とはいっても、どうしたもんかなあ」
 フィロメナの家のベッドの上で寝転がりなら『精霊の宿屋』を見ていたシゲルは、そう独り言を呟いた。
 外敵を早く倒すには、シゲルの指示に従ってくれる精霊――すなわち、契約精霊の数を増やせばいい。
 現在の契約精霊の数は十体で、今のところ限界というわけでもないので増やすことはできるのだが、単純にそれができない理由がある。

 今もその原因が、シゲルの足を甘噛みしていた。
「ごめんな、シロ。最近、構ってやれなくて」
 シゲルが頭をなでながらそう言うと、シロは「クーン」と答えながら尻尾を大きく振り始めた。
 契約精霊の数が増えれば、シゲルが直接対応できる時間が相対的に減っていく。
 シロに限らず、契約精霊たちがそのことにちょっとした不満を抱えていることに、シゲルはきちんと気付いていた。

 精霊の不満は、『精霊の宿屋』のどこにもパラメータとして存在しているわけではない。
 ただ、それが契約精霊たちになんらかの影響を与えるのは、間違いないとシゲルは認識している。
 ラグやリグを筆頭に、自らの思考をもって、各々の感情で動いているのだからそれも当然だろう。
 不満が大きくなって、最終的にそれが爆発した場合、どうなるかわからないので下手に契約精霊の数を増やせないというのが、現在シゲルが出している結論だった。

 
 どうしたもんかと悩みながら『精霊の宿屋』の各種メニューを確認していると、ふと気になる項目があった。
「あれ? こんな表示今まで出ていたっけか?」
 思わずそう声に出して呟いたシゲルは、改めてその部分を確認し直した。
 そのメニューは、精霊のランクが表示されている場所だ。
 そこでは、契約精霊たちが一覧になってランクが確認できるようになっているのだが、初期精霊(ラグ、リグ、シロ)の三体のところに『進化条件』という表示が出ていたのである。

 精霊たちのランクは事あるごとに確認していたが、今までそんな表示はされていなかった。
 首をひねりながらラグの部分をタップすると、画面が切り替わってその進化の条件が出てきた。
「……へー、次のランクは特級精霊か。――じゃなくて!」
 一人でノリ突っ込みをしたシゲルは、改めて進化の条件を確認してみた。
 そこには、次の進化をするためのいくつかの条件が書かれている。
「もしかしたら、条件が二つ解放されたから表示されたとか……かな?」
 今まで進化の条件に関しては、表示されたりされなかったり、その時々によって変わっている。
 なので、なぜ今回こうして表示されるようになったのかは、シゲルにもよくわからない。

 今はそんなことよりも、折角表示されている条件を確認することが優先事項である。
 特級精霊になるためには、三つの条件を満たさないとなれないようだった。
 そのうちの二つは既にクリアしている。
 一つが上級精霊のAランクになっていることで、もう一つが全体で外敵を千体以上倒すということだ。

 そして、問題は最後のもう一つだった。
「《各種精霊結晶石を用意すること》って、なんだろうね、これ?」
 意味が分からずシゲルがそう呟くと、シロが近寄ってきてなにかを教えようとし始めた。
 なんだかんだで長い付き合いになるので、仕草だけでその程度のことは分かるようになっている。
 だが、残念ながら細かいニュアンスまでは伝わってこない。

 早々に諦めたシゲルは、今は『精霊の宿屋』の管理をしているラグを呼ぶことにした。
 今は外敵も来ていないので、ほかの精霊に任せても大丈夫なのだ。
「シゲル様、どうされましたか?」
「ああ、いや。ちょっと聞きたいことがあってね」
 そう前置きをしたシゲルは、進化の条件についての話をした。

 
 シゲルから話を聞き終えたラグは、納得した顔で何度か頷いた。
「なるほど、そういうことでしたか。ちなみに、シロは私かリグを呼ぶように言っていたのだと思いますよ」
「あ、そうなんだ」
 ラグの説明を聞いてシゲルがシロを見ると、そうだと言わんばかりに「ワフ!」と一度だけ吠えてきた。
「それから結晶石ですが、作ればよろしいかと思います」
「えっ!? 作れるの?」
 あっさりと帰ってきた答えに、シゲルは思わず驚いてそう聞き返した。

 シゲルに頷いたラグは、さらに続けて言った。
「はい。ただ、いくつか条件があります」
 そう前置きしたラグが言ったことをまとめると、次のようになる。
 まず、一つの結晶を作るのに、精霊石を十個ほど使うということ。
 さらに、それぞれの属性の結晶石を作るためには、それぞれの属性の上級精霊が作らなければならない。
 そして、その作業は固定の精霊が行わなければならず、さらに数日間作業に拘束されるということだった。

 ラグから話を聞いたシゲルは、これまで契約精霊たちが結晶石を作らなかった理由が分かって納得の表情になった。
 数日も拘束されるとなると、シゲルの指示もなしに勝手に作り始めるわけにはいかない。
 さらに、シゲルはシゲルで結晶石のことなど全く知らなかったので、指示の出しようがない。
 ついでに、結晶石が必要になるとは思っていなかったので、敢えて言い出すようなこともしてこなかった。
 そもそも結晶石は、『精霊の宿屋』の運営に直接関わることがないので、言う必要もなかったわけである。

「そうか。一つ作るのに数日か……。まあ、必要だと分かった以上、悩んでいても仕方ないか」
 シゲルがそう言うと、ラグも頷いた。
「そうですね。これまでのことを考えれば、進化をすればさらにお役に立てると思います」
 ラグらしい答えに、シゲルは苦笑しながら頷き返した。

 数日拘束されるのは痛いが、条件が揃っているのに進化をさせないという選択肢はない。
 シゲルは、外敵のことを考えつつ、各種結晶石を作る指示を出した。
 残念ながら、作っている間の探索の要員は減らすことにした。
 今は探索よりも、結晶石の作成のほうが優先事項だ。

 ラグ以外のリグとシロの進化条件を確認してみると、全く同じ条件が記載されていたので、それぞれの属性の結晶石が三つずつ必要になる。
 上級精霊一人で一つずつ作っていくと、下手をすれば一月半から二月近くもかかる計算になる。
 さすがにそんなに悠長なことをするつもりはないので、とりあえず二体の上級精霊を使ってそれぞれの結晶石を作ってもらう。
 まずはラグとリグにそれぞれの属性の結晶石を作ってもらい、あとはその結果からどの程度時間がかかるのかを精査する。
 そして、最終的に初期精霊三体分の各種結晶石を用意することにするのであった。
ちなみに、結晶石にしても精霊力を得ることができます。
変換効率も結晶石のほうが良いです。
ただし、時間と手間を考えると、今は精霊石のまま変えたほうが効率がいいです。
(契約精霊の機嫌を考えた場合)
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