表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/19

 放課後、生徒たちは家路へついたり部活へ向かったりしている。ぼくも文芸部員なので文芸部へ向かう。

 文芸部の部室は、図書室の隣にあるセミナー室だ。

「こんにちは」

 部室へ入ると、先輩が三人に同級生が一人いた。どうやら全員だ。

「こんちはー」

 そう気軽な声で挨拶を返してくれれたのは、部長の山気やまき先輩。『ポケット・グロースリー』と部活内では呼ばれているお方。唯一の三年生で、文芸部のエース。廊下で天井を見上げながら放浪しているところをよく見掛ける。

「よう。それでさ、たいら――」

 挨拶を返してすぐに平先輩と会話を続けたのは松前まさき先輩。平先輩も松前先輩も二年生。

 平先輩は“麗人”“怪人”“俳人”“零人”と称されるお方で、ぼくがこの部活の中ではじめて会った人。第一印象と今の印象が一番変わった人。

 松前先輩はオラオラなお方で、主に部活内の雰囲気を心地良いものへと創りあげる人。この人が部室へ来ない日は、部活内の雰囲気は重い。文芸部にとっては代替の効かない存在。

「こんちは」

 そしてもう一人――同級生の國寺こくでらくん。長身で世を諦観しているような細い目が印象的な人。彼はいつも『ファウスト』を読んでいる。四月の中頃、崇城さんと知り合ったころは上巻を読みはじめたところだった。だが、僅か一週間ほどで下巻も四分の三ほどが読了している模様。読書スピードだけでなく、根気もなかなかな人。

 部活の活動は特になし。あえて言うならば、九月にある文化祭のときに部誌を販売するための創作活動、らしい。

 部室にはパソコンが一台あり、時々先輩の誰かが座ってワードを起動させている。画面に隙間なく文字が並んでいるのをよく目撃する。

 このパソコンを使って創作してもいいし、家で創ったものをCDに焼いて持ってくるのもいいらしい。

 だが、ぼくと國寺くんはまだそういった活動はしていない。ただ本を読みながら、先輩たちのやりとりを聞いたりしているだけだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ