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 崇城さんが落ち着くのを待って、ぼくは彼女に質問した。

「崇城さんは、どうしてあの日、昇降口にいたんですか?」

 すこしホッとした様子の崇城さん。

「別にあの日だけじゃなくて、いつも部活が終わったあと、万永先輩と一緒に写真部の友達に会いに行ってたの。ワタシも先輩も仲のいい人がいて、四人でいつも駅まで帰っていたの」

 その写真部の友達というのは、二年五組朝風狭衣あさかぜさごろも、一年七組斗北斗希ときたとき。ついでに写真部のメンバーはこれで全員らしい。

「ワタシは先輩を突き落としたりなんかしてない……! 黒木くん、信じて!」

 ベンチに両手をついてぼくの方を向き、泣き出しそうな目で彼女は訴えた。

「……國寺くん」

 情けない話、ぼくは國寺くんに審議を委ねた。

「じゃあ、訊くけど。なんであのとき――オレがアンタに名前を訊いたとき、アンタは逃げたりしたんだ」

 ぼくへ話しを振っても、結局國寺くんに会話の主導を取られてしまうことに絶望したのか、目を見開いて彼女は口をわななかせた。

「だ、だって……名前を答えたら、いきなり犯人はオマエかっ! って言われたら、誰だって逃げるって……」

 しかも、この人に……――

 最後の方は声を潜めて言った。勿論聞こえている。

「……それは、逃げない方がおかしい」

 思わず本音が出て、國寺くんに――睨まれなかった。彼は何やら驚いていた。なんていうか、返ってきたテストで、絶対正解している自信があった問題に×がついていて、それについての解説を聞いたとき、「ああ、そうだった!」と思い出したような表情。説明がこんなになるほど複雑な驚きの表情。

「……なんで、二階の下駄箱にいたんだ」

 ――……はい?

「えっ?」

 ぼくと崇城さん共に、國寺くんの発言に疑問符を浮かべた。

「どうして、上履きであの場所に突っ立っていたんだ?」

 珍しく出た疑問文は、意味自体が疑問ものだった。

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