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ダークヒーローが僕らを守ってくれている!  作者: 重源上人
VS.アイドル魔法少女キューティクルズ編
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《プチおまけストーリー》 クロスさんの怪談

ユダ「クロスさん! 熱い時期になってきたから怖い話してー!」


モリス「ユダっち、無茶ぶりはダメだって! そう言うのは持ちネタ豊富な人じゃないと難しいんだから」


クロス『実は 一度だけ本物の幽霊にであった事がある』


モリス「ネタあるの!?」


ユダ「本当! その怖い話聞かせて!」


クロス『あれはユダと出会う一年ほど前の夏 幽霊となら仲良くなれるかもしれないと思って 深夜0時にふもとの集団墓地に行ったことがある』


モリス「えっ!? あの大きな集団墓地って、去年テレビや雑誌で紹介されたオカルトスポットだよね!?」


クロス『自分が行った時はまだ紹介される前だった』


ユダ「それなら絶対すごく怖い話だ! 教えて教えて!」


クロス『それは深夜0時12分ごろだった わたしは『友達になろう』と書いたプラカードを持って墓地をしばらく散策していた』


モリス「うん、その時点でクロスさんの行動が怖い」


ユダ「そうだね、クロスさん勇気あるよね。あそこ街灯無いのにね」


モリス「そうじゃないんだよユダっち」


クロス『するとふと 首筋に冷気を感じて振り返った 満月であったとはいえはっきりとは見えなかったが 墓石の影に女性が立っていた』


ユダ「本物の幽霊だ!」


クロス『雨はしばらく降っていなかったのに全身ずぶぬれで 手首の切り傷から大量に血を流していた 長い髪を垂らしていて顔は見えず 青白い肌は死後硬直したかのように硬そうだった』


モリス「え、本物……」


クロス『彼女は酷く苦しそうな呼吸音をさせながらゆっくりと近付いてきた 月が雲に隠れて一気に暗くなり 彼女の体は闇にまぎれつつあった』


モリス「それは……」


クロス『だがそこまでだった せっかくその女性が距離感を狭めてくれたというのに 自分が握手しようと近付くと彼女はそこで立ち止まってしまった あと少しという距離だったからプラカードを置いて自分も手を伸ばすと 掴める寸前でその女性は身を引いて回避してきた』


モリス「……あれ?」


クロス『もう一度手を掴もうと手を伸ばしたが その女性は二歩引きさがってまたも避けた 自分がなんとか肉薄しようと三歩近付くと その女性は五歩後ずさってさらに距離をとった 自分が慌てて一気に距離を近づけようとすると ついにその女性は背中を向けてあわてて逃げ始めた』


ユダ「あーおしい!」


モリス「おしい、じゃないよ!」


クロス『自分も全力で追いかけたが その女性は速く 常にあと一歩のところで掴めなかった 月灯りが戻ってくると追跡も楽になったが 先回りをしても 物陰に隠れて不意打ちしても まるですり抜けるかのように避けられてしまった』


ユダ「幽霊さんもやるね~」


クロス『その女性は手ごわかった 時間がたつにつれ次第に呼吸が荒くなり足もふらついてきていたようだったが 茂みに隠れてやり過ごそうとしてきたり いざという時は墓石を倒してこちらの進路を遮ってきた』


ユダ「すごい、プロの幽霊さんかな?」


モリス「いやプロの幽霊ってなに!?」


クロス『それから四時間ほど追いかけた』


モリス「四時間も追いかけまわしたの!?」


クロス『その女性にも体力には限界があったようで もう真っすぐ走ることも困難な様子だった そうしてついに自分の投げた卒塔婆(そとば)が膝を貫き その女性を墓所の角へと追い込むことに成功した』


ユダ「幽霊さん、相手が悪かったね」


モリス「むしろよく四時間も粘れたよ、本当に……」


クロス『その女性は観念して角で体を丸めていた そしてようやく握手が出来る そんな瞬間だった』


モリス「どうなったの?」


クロス『太陽が東から昇って来て 朝日が彼女の姿をかき消してしまった』


ユダ「あー、逃げられちゃったのか」


モリス「う~ん、なぜかホッとしちゃう」


クロス『まるでその女性は最初から幻影だったかのように消えていた その女性が本当にいたのかはもはや分からない もしかしたら本物の幽霊だったのかもしれないが 証明になるものはなにも掴めなかった』


モリス「うん、間違いなく本物の幽霊だと思う。かわいそうに」


クロス『それから一週間毎日通ったが それ以降その女性の姿を見ることは出来なかった その後オカルト雑誌編集者がなにかと写真を撮りにくるようになってしまい それ以降そこには行っていない』


モリス「だからあそこオカルトスポットになったんだ。クロスさん毎日通うから」


ユダ「クロスさんのおかげでその幽霊さんは成仏出来たのかな? じゃあ取材の人も幽霊の写真撮れないね」


モリス「うん、おそらくその取材の人が撮りに来たのは、クロスさんのほうだと思うよ?」


クロス『無人撮影機まで設置されてしまい どうしようもなくなった 今はどうなっているかわからないが』


ユダ「そうなんだ。でも私も一度会ってみたかったな、幽霊のお姐さん」


モリス「ユダっち? 忘れているみたいだけど、私たちも一応、一度は死んでいる存在だからね?」


クロス『久しぶりに行ってみてもいい もしかすれば会えるかもしれない』


ユダ「うん! 行きたい!」


モリス「……お供え物買っていってあげよう」


ユダ「すぐ行く?」


 クロスはコクンと頷いた。



幽霊のお姐さん「もう来ないで」


DbD業者『夜までに、発電機と木板とロッカーを設置しておきますね』


幽霊のお姐さん「やめてください。死んでしまいます」

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― 新着の感想 ―
[一言] 読み終わりましたー! プロフェッサーの正体とか色々気になることがあるので続き待ってます!(๑•̀ㅂ•́)و✧ (プロフェッサーは聖書の方のユダかな?と思いますが)
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