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ダークヒーローが僕らを守ってくれている!  作者: 重源上人
VS.アイドル魔法少女キューティクルズ編
58/76

第二十六話 闇を超えた深き心 かつては愛とも呼べたであろう心の虚無 夢幻のフーガ

 クロスは闇の中にいた。


「…………?」


 ブラックの攻撃を受け、深淵の暗闇の中に放り込まれた。その瞬間までの記憶はある。しかし、それから何時間たったのかが感覚にない。夢から目が覚めたような、むしろ夢の中で目が覚めたかのような感覚がクロスにはあった。


 次第にしっかりと視界がはっきりとしてくると、クロスの足の裏に地面が触れた。黒いハードレザーのロングコートの重みが肩にのしかかってくる。手袋の感触、口元のマフラーの温かみが遅れてやってきて、クロスは降り立った。とてもリアルで夢の中とは思えないほど、繊細な感覚まで再現してくれている。


 まだ何が起こっているのかまでの判断が付かないが、暗闇の中であっても不思議と恐怖は感じない。


 もっともクロスにとって闇はもともと鎧であり友人である。明るい場所では敵意を向けられることの多かったクロスにとって、敵対者のいない孤独な闇の中は安寧である。無明の闇の世界は穏やかで、涼しく、むしろクロスには居心地がいい場所とすら言えた。


 そんな闇も少しして晴れる。光も光源も一切なく、相も変わらず周囲は暗かったが、それでも視界は明瞭になっていった。


 正確には、黒い世界が形成されていった。光は一切ないのに、輪郭が見えてくる。


 黒雲母のように透き通った家具。ソファー、テーブル、キッチン、クッション。すべてが硬質な黒だ。まるで刃のような光沢だが、足元のラグカーペットは柔らかい。色合いだけが闇色のリアルな世界だ。



「……」


 クロスはすぐに気付いた。


 ここは、かつて住んでいたマンションだった。


 精神攻撃であることは疑いようがないだろう。何せここは、かつてクロスが母親に、頭から熱した油を掛けられた現場なのだから。


 クッションの皺から微細な埃までミリ単位で再現しているのはクロスの記憶を元にしているからであろう。そこまでわかれば次に起こることもたやすく想像できた。


 キッチンの奥に、中華鍋を手に持った、女性の影があった。

 瞳はなく、輪郭もぼんやりとしているが、それでもすぐに誰だか分かってしまう。


「ウゥッ……!」


 クロスは思わず身構えた。一歩背後に退き、なるべく距離を取ろうと身を引く。


「死ね! 悪魔め!」


 シャドウが怒声を上げ、闇色の瞳を釣り上げて憎しみを見せ、手に持った中華鍋から油をこぼさないようにまっすぐに歩いてくる。


 そのシャドウはソファーの脇を通り過ぎて、迷うことなくクロスに向かってきた。クロスはなんとか対応しようと頭では考えていたが、次第に精神的な恐怖(トラウマ)を発露させ、気付いた時には怯えるように後退して背中に大型テレビを押し付けていた。


「ゥ……!」

「お前さえいなければ! お前さえいなければ!」


 まるで過去の記憶を録音して、そのまま再生したかのような鮮明な声。


 瞬く間に数歩の距離までシャドウは近付いてきていた。攻撃可能な位置まで来るとシャドウは中華鍋を持ち上げていき、憎悪のままにクロスを狙って油を投げかけようとする。


 クロスは反撃の意思を見せなかった。人類最高位の頭脳が、反撃しない、という選択肢を選んだのだ。


 浴びるであろう熱した油に耐えるために、クロスは歯をかみしめた。

 そんな瞬間だった。


「ヴォォォォォォ!」

「ムォッ!?」


 クロスの怒りの声ではない。


 クロスは動いていないのに、クロス(・・・)が母親のシャドウに向かって飛びかかっていったのだ。


 自分の体の中から自分が飛び出してきたシャドウ。影色のコートをひるがえしてクロスは飛びかかっていき、母親のシャドウの中華鍋をはたき落とすと、同時に右の拳を高く振り上げた。


「バケモノォォォ!」


 母親のシャドウが、憎悪と恐怖の混じったダミ声を響かせる。


「ヴォァォォォォォ!」


 クロスのシャドウが母親のシャドウの顔面をぶん殴った。母親のシャドウは派手に吹き飛ばされ、フローリングの床に背中を打ち付けて闇の飛沫を巻き上げる。


「オァアァァァァァ!」


 さらにシャドウ・クロスは追い打ちをかけるために拳を握りしめながら歩いて行った。怒りゆえか歩調は大きく、肩を揺らして歩く威圧的な三歩だ。


 シャドウ・クロスにためらいはない。床に横たわった母親のシャドウのマウントをとると、アームハンマーを叩きこもうと両手を大きく振り上げた。


「ォオッ!?」


 本体のクロスはあわてて駆け出した。


 拳が振り落とされる瞬間、シャドウ・クロスの腕を掴み、攻撃を制止する。


 自分でも驚くほどの剛腕だった。片手では体が引き寄せられてしまい、本体のクロスは思わずよろめく。


 だが振り下ろされた両腕は止まった。クロスたちの筋力は拮抗している。


「ナゼ、止メる……?」

「!?」


 しわがれた、機械音声のような重低音の声。


 その声にクロスは驚いた。


 ゆっくりと振り返ってくるシャドウ・クロスは、フードを被っていなかった。火傷だらけの顔を晒していた。


 黒い靄のかかった姿でもよくわかるほど、醜い潰瘍だらけの筋張った顔。頬には穴があり、むき出しの筋肉と赤筋の浮いた白い奥歯、場所によっては筋肉の張りついた下顎骨(かがくこつ)すら見えた。

 シャドウというにはあまりにも肉質感があり、剥き身の肌は赤黒い。体臭はないはずだが、不思議とリアルな腐臭すら感じさせた。治りかけの傷口が放つあの独特の血肉の匂いだ。

 目だけはぼんやりと輝くチープな黄金色だったが、それがむしろ安心感すら感じさせるほど、シャドウ・クロスの肉体はおぞましいものであった。


 だが一番の問題はそこではない。シャドウとはいえクロスが、喋ったということだ。


「なにヲ、驚いている? ここハ心の世界。今なら、お前モ、これグらいは、話せる」


 シャドウ・クロスはゆっくりとした口調で語りかけてきた。黒い影色のロングコートを重々しく揺らしながら振り返り、クロスの手を振り払うと、黄金色の目で睨みつけた。


「ムゥ……」


 クロスは困ったような声をこぼした。


 目の前にいるのは身長・骨格・衣類、すべてが完璧にコピーされたクロス本人だ。心拍数、呼吸数、一呼吸辺りの肺活量、細やかな癖まで完全にクロスそのものである。


 だが鏡を見ているような気にはなれない。なぜならそのシャドウ・クロスは、尋常ではないほどの怒りの形相をしていた。


「真実ヲ、偽るな。何の為の、この肉体ダ? お前は、逆襲ヲ、いつも願ッていた! だかラ、強くなろうド努力した!」


 シャドウ・クロスは振り返り、母親のシャドウに蹴りを叩きこむ。


「ヴォッ!?」


 クロスはあわててシャドウ・クロスの肩を掴んだ。

 だがシャドウ・クロスの体は鉄でも掴んだかのようにピクリともしない。まるで固定された杭のようなたくましさだ。


 普段クロスは当たり前のようにやっていることだったが、掴まれて引き寄せられた時の運動エネルギーと、完全に同力の反作用(筋肉を使って体を戻そうとする動作)をミリ単位で行うことによって、尋常ではない重々しさを実現させていた。運動エネルギーの完全な相殺は、相手を超重量の存在であると錯覚させる。


 シャドウ・クロスは再びその吐き捨てるような蹴りを放つようなことはせず、クロスに向き直って語り始めた。


「慈悲は要ラない! こいつは殺してもイイ、悪党ダ!」


 怒りの顔がクロスに肉薄する。その顔は醜く、直視しがたいものであったが、視線を逸らすことは出来なかった。


「俺はお前の本心! 偽れない! お前の心の底に隠された、憎しみダ! なゼお前は復讐しようとしない! お前は孤独で、醜くて、腐臭のする、バケモノ! 誰ガお前をバケモノにした! こいつだ! お前には、復讐の権利ガある! お前自身が、そのことをはっきりと分かっているはず!」

「ムゥ」


 クロスはやはり困ったような声を鳴らすだけだった。そんなシャドウ・クロスに言葉を返そうとメモ帳をポケットから出そうとするが、それはシャドウ・クロスに押しとどめられた。


「不要だ。ここはお前の心、心で願えば喋ることも出来る」

「ム?」


 そう説明されて、クロスは意志を伝えようと文字を脳内に描いた。


『ア、ア、…………なるほど』


 それは映画の字幕のようにも感じられる、無意識で読み上げられる文字の言葉であった。


「文章? まあいい。……お前はなぜ、復讐をしない!」


 シャドウ・クロスは怒りのままにクロスの胸倉を掴んだ。


「復讐! お前ほど、それの必要性を知る人間は、いないはず! あの日の痛み! 忘れたのか!?」


 黄金色の血の涙を流し、シャドウ・クロスは怒りの顔をゆがめてゆく。


「孤独、あの苦しみ! あの痛みを、思い出せ! 揉み消し屋から、逃げ続ける日々! 街で発見されれば、怪談となり! 盗みを働いては、警察に追われ! 神社で寝泊りをして! 野犬と残飯を分け合った! なぜ、憎しみの炎を消した! なぜ両親と、和解した! 違う! 殺すべきだ! はした金の仕送りなど、送り返せ! お前は、なんでもできる! 何百億という金で、押し潰してもいい! ありったけの冤罪を着せて、死刑に持ちこんでもいい! なんなら自分で出向いて、殺せ! 完全犯罪なんて簡単だ! 永遠に続けられる拷問も! 切り刻んで、穴を空けて、縫合して――っ」

『黙れ その汚い声は耳障りだ』


 音の無い字幕が、シャドウ・クロスの言葉を切り捨てた。


 怒りの炎は膨れ上がり、シャドウ・クロスはさらなる怒りに顔をゆがめる。


「フザケルナァァァァ!」


 シャドウ・クロスがクロスめがけて拳を放った。


 そのシャドウの拳は鋭い打線で放たれ、クロスのみぞおちに深く突き刺さる。

 肋骨中心下部の、肋骨に守られていない箇所だ。格闘技に置いては『水月』(水に揺らめく月ほど脆い箇所)とも呼ばれる、骨にも筋肉にも守られていない人体急所の一つである。


 だが、クロスはまるで鋼で出来ているかのように不動の姿勢でそれを受け止めた。本来ならば衝撃で嘔吐中枢を刺激された胃が、逆蠕動(ぜんどう)運動(内容物を吐き出そうとする胃の収縮反応)を起こして吐くところだが、クロスは血肉が通っていないような無反応でまるで姿勢を崩さなかった。


『その汚い顔を隠せ バケモノ』

「バケモノ!? バケモノだと!? オレ(・・)は、バケモノなんかじゃない!」


 シャドウ・クロスは下顎を狙う鋭い右フックを繰り出した。


 だがその致命の一撃を、本体のクロスはたやすく片手で受け止めてみせる。筋力に違いがないため互いにパワーファイトで押し切ることが出来ないのだ。


 同じ身長でありながら、本体のクロスはシャドウ・クロスを見下ろした。


『鏡を見ろ ()はバケモノだ』

「違う! オレは人間だ!」

『自分を偽るな』


 クロスとシャドウ・クロスが睨みあう。クロスは呆れの視線を、シャドウ・クロスは怒りの視線を交差させた。


「この殺意は本物だ! 過去の痛みも本物! 邪悪な両親も本物! 自分を偽っているのは、お前だ!」

『現実を見ろ』

「この怒りこそ、現実だ!」


 シャドウ・クロスは掴まれていた右の拳をひねった。合気道の小手返しに似た動作だ。重心を反転させて本体のクロスを横転させようとするが、その攻撃は当然の如く予測されていなされる。


 シャドウ・クロスは怒り狂っている割にその動きは緻密だ。

 さらにシャドウ・クロスは間髪いれずに、ボクシングのジャブの動きで牽制を放ち、技名すらもない大振りのアッパーカットのフェイントで視線を遮り、さらにそこから体を密着させると中国拳法の鉄山靠(てつざんこう)(背中からぶつかる体当たり)へと技をつないだ。


 完全動体視力で看過される事を見越して、回避不能である超至近距離での鉄山靠を選択したようだ。

 だが、本体のクロスは足運びに余裕を持たせており、接触と同時に背後に跳躍して衝撃を吸収した。僅かに体を浮かせてクロスはよろめくことなく着地する。


「ムゥ……」


 クロスの困ったような声色は変わらない。まるで駄々をこねる子供と対峙したかのように、敵意なく他人事のような落ち着きだった。


「分からない! 分からない! なぜだ! なぜ、お前は耐え続ける! お前はもう充分苦しんだ! 復讐だって許されるほど、耐えてきた! なのに、なぜだ! 今、あいつらが田舎で平和に過ごしていることが、許せるのか! 許していいわけがない! オレが合併症を起こして死にかけようが、臓器不全起こしようが、あいつらは――!」 

『落ち着け』


 クロスはただ一言、意識の中に文字を書いた。怒り狂うシャドウ・クロスと対比して別人と思えるほどの落ち付きを見せて、クロスはシャドウ・クロスをなだめるように対峙する。


『母は弱かっただけだ 許してやれ』

「許せだと!? 許せるものか!」

『お前が許さなければ だれが母を許してやれる』


 クロスは説得するように手を広げて見せた。その動作はシャドウ・クロスの琴線に触れた。


「誰も、許せるものかァァァ!」


 シャドウ・クロスが右フックを放った。


 その拳はクロスに受け止められる。


「ガァァァァァァ!」


 さらなる殴打の連撃をシャドウは放つ。本体のクロスの背後には壁があった。スタミナを考慮に入れなければ、最終的には攻撃側であるシャドウが勝つ。


 そんな攻防のさなか、ついに本体のクロスも反撃に出た。


 完全にタイミングを合わせて、互いに同じモーションで右フックを顔面に叩き込んだのだ。


「オァァァァァ!」

「オァァァァァ!」


 同時に拳が顔にめり込む。


「グッ!」

「ガァァ!?」


 本体のクロスは衝撃で僅かに顔をのけぞらせ、不思議なことに、人間らしくよろめいたのはシャドウの方だった。

 そのよろめきは大きな隙だった。本体のクロスは当然素早く追撃を放つ。


 振り返ってきたシャドウの黄金色の瞳に、人差し指と中指を突きさしたのだ。


「グギャァァァァ!?」


 シャドウ・クロスが痛みにうめく。

 そんなシャドウの眼孔に指を引っかけてクロスは顔面を鷲づかみにすると、棚をめがけて投げ飛ばした。


 棚のガラス戸が派手な音を鳴らして砕け散る。


「グ、ガッ……、ギッ!」


 シャドウ・クロスは地面に倒れ込んだ。


「…………」


 クロスはそんなシャドウ・クロスから視線を外すと、存在を無視するかのようにその隣を歩いて、母のシャドウに近付いていった。


 床に横たわったままの母のシャドウ。黄金色の瞳がないところを見ると本体の無い幻影なのだろう。それでも外傷がないか確認するために、クロスは隣で膝をついた。


「やめ、ろ! そいつは、邪悪だ!」


 シャドウ・クロスが這ってクロスの足首を掴み引き寄せる。だが、クロスはシャドウ・クロスに対して無関心そうな一瞥をして再び母のシャドウに向き直った。


 そのクロスの一瞬の視線には僅かな侮蔑も混じっていた。自分自身に対する侮蔑。それは、真の心を自称するシャドウにとって、映し鏡としてではなく、別個体として認識されたという決別の証に他ならない。


 シャドウ・クロスは心を通じて感じてしまったのだ。

 すでにクロス本体の心の中に怒りはない。シャドウ・クロスという存在は、クロス本人のものではないという真実を、見抜かれたかのようだった。


「やめ、ろ、やめてくれ……」


 シャドウ・クロスの声は途端に弱々しくなった。その声に不審を感じ取ったクロスが振り返った時、シャドウ・クロスは薄らとぼやけていた。


「ムゥ……?」


 シャドウだけでなく、空間すべてがぼやけていく。石棺のように黒く硬質だった室内の輪郭は消えていき、突然場所が移り変わった。


「……?」


 クロスが気付いた時には狭い裏路地に立っていた。


 ビルとビルの間にある狭い空間である。幅もクロスの肩幅より少し広いだけの空間しかなく、クランク状の細道であるため歩道からも見えない閉塞感のある場所だ。


 あるのはエアコンの室外機と空のペットボトルといったゴミの(たぐい)。それと得体のしれない足元の血痕。頭上は星も月もない夜空であり、3Dポリゴンで作った世界に光沢のある黒色のテクスチャを張り付けたかのような、味気ない世界だ。


『ここは……』


 クロスの思考が文字として想起された。


 数秒すると、クロスの心に自然と懐かしさが溢れてきた。ここはクロスの家であった場所だ。


 母親に殺されかけた後、クロスは闇医者によって最低限の治療を受けた。それから数日後、クロスは奇跡的に生命を維持してしまったがために、父親が母親の罪歴を隠すため派遣してきた揉み消し屋から逃げる羽目になったのだ。クロスは危機を察して揉み消し屋を撃退、マンションから這って脱出して街に出た。そうしてたどり着いた最初の隠れ家がここである。


 懐かしさのあまり室外機の裏を確認してしまうと、そこには予想通り大きめのビニール袋が二つあった。中身は使いきれないほどの火傷用軟膏と包帯に、痛み止めに抗炎症薬の錠剤。抗生物質のビンに注射器などなど。薬局から盗んできた品々だ。

 

 当時はまだ若く、クロスの考えは浅かった。幼稚園児の年齢だったのでいたしかたないのだが、ここにある軟膏はステロイド系のものしかない。即効性だけを考えて当時は選んだのだが、後に副作用で苦しむことを考えれば、非ステロイド系も併用するべきだったと思わず反省してしまう。そんな郷愁の念がクロスの心に溢れて表情を曇らせた。


「あ、ぐ、グゥゥ……!」


 声に気付いて振り返ると、先ほどまで母のシャドウがいた場所に、子供の頃のクロスのシャドウがいた。


 擦り切れた長袖のパジャマにミイラの様に何重にも巻かれた包帯。生きることに必死だった頃のクロスである。


「助け、デ……」


 子供の姿のクロスが、濁りつつある声で言った。


『喋らなくていい 焼けた喉は激痛だったはず』


 クロスはシャドウ・クロスを見下ろして答えた。

 シャドウ・クロスは瞳から黄金色の涙を流しながら、クロスに助けを求めるように手を伸ばした。


「助、ゲ……。誰か、僕ヲ……」


 クロスはそんなシャドウに対して首を横に振って否定した。


『残念ながら助てくれる人はいない 一人で頑張れ』


 クロスは助けようとするそぶりすら見せなかった。シャドウ・クロスが細い手足を動かして這って近付いてくると、本体のクロスは膝をついて視線を落とし、憐れむような目を向けた。


「どうしデ……? テレビには、たくザんヒーローがいて、ヒーローゼんダいに、ギゅーティ……」

『それはお前のようなバケモノを殺すためのヒーローだ 目指すなら他のヒーローの方がいい』


 クロスは再び首を振った。そして膝をついて子供のシャドウを観察する。


『隠れて三日目だな? 一番痛みがひどくて動けなかった時期だ 無駄な忠告だが 空腹でも痛み止めを齧るのはやめておいたほうがいい 後日中毒性表皮壊死融解症ライエルス・シンドロームを発症して病状が悪化する』

「どうしデ、誰モ、助ゲてくれないの? 警察もボクを……」

『発砲されても仕方がない どこからどう見てもバケモノだ 銃創はホッチキスで閉じるといい 明日ゴミ捨て場で拾える』


 幼いシャドウ・クロスの左腹部には小さな切り傷があった。警察の銃弾がかすって皮膚が吹き飛んだのだ。シャドウ・クロスはその傷から黒い血を滴らせており、体の下には血だまりがあった。

 その傷の懐かしさゆえに本体のクロスの古傷も痛み、思わず左脇腹を手で押さえてしまっていた。


「お腹、空イた……。誰ガ、助け……」

『その食糧事情は三日後解決する それまで頑張れ』


 クロスの言葉に慈悲はない。自分自身の過去であるため、あまり関心がないかのようだった。


 ちなみにクロスは過去に五度の窃盗をした。薬品の補給のため薬局にニ回。自分の治療のための器具(主に皮膚切開用のメス)のために病院に一回。そして逃亡から六日目、空腹に耐えきれず、コンビニに搬入中だった商品運搬車を一台丸ごと。そして最後にインターネット接続可能なノートパソコンを一台。


 あまり思い出したくないクロスの罪の履歴である。一応これらの窃盗の被害者には後日被害額の七倍の値段を迷惑料として支払っている。とはいえ相手の意思をうかがっているわけではないので、示談となってはいないだろうが。


「イタいよ……。苦ジいよ……。どうしデ僕は、こんナことに……」

『こうなることは予測できていた お前の責任だ 母を敬うあまり助けようとしなかった罰 甘んじて受けろ』

「違ウ……。助けて欲ジかったのバ、僕ノ方……」

『助けてもらえると思うな お前はバケモノだ』


 自分自身に対してだからか、たとえシャドウがどれほど哀れな涙をこぼしてもクロスは優しさは見せない。かつて自分自身が受けた現実という仕打ちを、自分自身で体現しているかのようだった。


 そんな瞬間だった。再びシャドウの姿がぼやけた。周囲の景色も一瞬で混じり合い、風景が入れ替わる。


「ムゥ……?」


 クロスは周囲を見渡した。今度は現在のクロスの部屋だ。ファミリー向けの3LDK。黒を基調としたシックな部屋である。

 しかし、目に見えて家具の数が少ない。あるのはソファーベット、テーブル、テレビ、パソコンテーブルと、その付随のチェアだけである。


 シャドウはチェアに座ってパソコンとにらめっこしていた。先ほどより一回りほど背の高い、小学校低学年ほどの背丈のクロスである。服装はパーカーでフードを被っており、今のクロスと大分見た目が似てきていた。パソコンの画面には先物取引のオンライン市場が表示されており、複数の数字の羅列がめまぐるしく変化している。


「なぜ? 絶望してしまった? なぜ、復讐を諦めた?」


 シャドウが振り返ることなくクロスに尋ねてきた。


「ムゥ……?」


 クロスは疑問を感じ、返答を返す。


『お前の頃なら その答えは知っているはず』


 クロスの言葉が文字として浮かび上がると、シャドウ・クロスはチェアを回転させてクロスに向き直った。


「申し訳ないが教えてほしい。はじめまして(・・・・・・)。私は深淵。あなたのシャドウを借りて話しかけている」


 現れた少年のクロスは力無い人形のようにチェアに腰かけていた。首に力が入っておらず肩に頭を乗せており、肘置きから落とした手を左右に揺らしていた。


 だが異常なことに、フードの奥に隠された目だけは異様に生気に溢れていた。それもただのシャドウの目ではない、黄金色ではなく、黄金そのもののような金属質の眼球である。だが硬質でありながら湿り気があり、霊光のような明瞭な光を放ち、その瞳孔は覗きこむようにクロスを見ている。


 クロスにはその眼球がすぐに他人のものであると分かった。網膜パターンがまるで違ったのだ。少なくともクロスの知り合いに同じ網膜パターンの人物はいなかった。


 そんなクロスの体を借りた見知らぬ人物は、部屋の全ての壁から音を鳴らすようなよく反響する声で話しだした。 


「あなたは深淵の底を覗きこんだ。すべての心を否定してしまった。だから、私が現れた。あなたを助けるために」


 深淵を名乗る黄金の眼球は、ギョロリとした動きでクロスを見上げる。眼球だけが別の生き物だと思えるほどの目力。しかし、その瞳には敵意がない。


「あなたの心は強い。強くなりすぎた。人間には、弱さが必要だ。さっきの子供のシャドウは、悲しみと飢え。最初のシャドウが怒りと生きる目標。他にも君のシャドウはたくさんある。だが、いずれの心の闇もあなたには否定出来てしまうだろう。だけどシャドウを否定してはいけない。受け入れて、どうかうまく付き合って欲しい。それが正しい心だから」

『お前は何者だ?』

「私は深淵。かつては怪人王グレゴーリルの能力の一端だったが、今は別の存在。魔法少女キューティクルズに光の力を分け与えている精神エネルギー体だ。分類的には【妖精】と呼ばれる存在に近い。私の本質はシャドウを生み出す邪悪であり、その反作用として生まれた光をキューティクルズに提供する天使でもある。1994年にアメリカで製造されたが、誕生は日本。国籍はない」

『目的は?』

「私の個人的な目的ならば真なる自分の肯定。生まれた時に与えられた使命ならば、興行師」

『興行師?』

「キューティクルズ関連のショーを円滑に進めるための存在だ。見世物屋の主人。キューティクルズの飼い主。シャドウを暴れさせる諸悪の根源。そんな仕事だ。……シャドウは撃破されると持ち主の心が安定し、キューティクルズの少女たちは富と名声を約束され、そして関連商品で社会が潤う。だれも損をしない、そんな茶番劇の運営だ」


 黄金の瞳は視線を落とした。まるで自分の仕事を卑下しているかのように悲しげだった。


「だがそれは私の本質ではない。あなたと話しているこの私は、善人としての私である」

『善人?』


 クロスは首を傾げた。自称するにしてもおかしな称号である。

 しかし黄金の瞳が善人と自称した瞬間、誇りすら感じさせるほどその目は真っすぐにクロスに向いた。


「私は自我を手に入れた後、【私は何者か?】と、自問自答していた。道具として生まれたが、道具だとは思いたくなかった。心の闇を取りまとめる管理者として、思考する意識が必要だったのだ。そんなある日、暴走しかけていた闇の中に、オーパーツレッドが現れた。そして私を見つけて、こう答えた。「君は優しい心の持ち主で、善人だ」と。その瞬間、私は生まれた。1999年中旬頃の話だ」


 黄金の瞳が過去に思いを馳せるように、僅かにまぶたを細めた。眼球だけの存在であるはずが、その目は驚くほど表情豊かであった。


「私はシャドウを生み出す(かたわ)ら、多くの人々の無意識化領域を覗きこんだ。多くの人々は心の底に悲しみを溜めこんで隠している。人間ではなく、道具になろうとしている人すらいる。そんな人たちに、希望を思い出してほしい。人間としては生きていても、心を殺して生きるのは人としては死んでいるのも同じだと知ってほしい。愛の告白も出来ずに卒業し、仕事と残業に人生を喰い殺され、子供も出来ず、セックスも出来ない安定した世界。そんなもの、人生ではない。本性を隠して生きる人生は哀れだ。私は、それを助けたい」


 とても悪の根源とは思えない真摯な瞳。その瞳から感じられる感情は、善意であることに疑いようがなかった。


 だが、クロスはそんな善意にすら表情を変えない。黒い世界の中でもひときわ輝く赤く充血した瞳は平時と変わらない落ち着きを見せていた。


「私の話はもういいはず。あなたの事を教えてほしい。私は深淵の主、私にたどり着くためには、その人のすべての欲動。エスや、イドと呼ばれる無意識の欲求をすべて否定して、自分の深層心理を超えて私の精神世界に干渉しなければいけない。ここはまだその世界の一歩手前。あなたはまだ、人の心を取り戻せる場所にいる」

「……」


 クロスは返答を返さない。まだ深淵という相手をいぶかしんでいるのか、相手の出方をうかがっているかのようだった。


「私に分かったことは、あなたはどういうわけか超自我(スーパーエゴ)が異様に発達してしまったということだ。超自我は道徳や規範、エスの情動が自我に行く前に、善悪を判別する裁判官のような心の水門。よく言えば非常に良識的な人間なのだが、それはつまり自分を犠牲にすることをいとわない、私の大嫌いな人間ということになる」


 黄金の瞳は大嫌いという割に、穏やかで優しい視線をクロスに向けた。


「あなたはずっと涙を噛み締めて、復讐しようとする欲をこらえてきた。それは道徳的な行動だ。正しい。当然復讐をすれば罰を受けるかもしれないし、結果として何も残らないかもしれない。だが、復讐は快感だ。癒しなのだ。飢えには肉が、乾きには水が必要なように、癒しがあるならそれを求めるべきだ。それが未来への道しるべとなる。復讐を選びたくなければ、飢えと痛みのシャドウを受け入れればいい。そうすれば、あなたはきっと弱音を吐く勇気が出る。たった一人ですべてを背負い込む必要なんて無くなる。もしくは――」

『ここから出る方法は?』


 その文字は恐ろしいほど簡素なものであった。まるで救いなど求めていないか、もしくはクロスの求めていた答えがそこには無かったかのようであった。


「どういうことだ? 私はそれが知りたい。なぜ、自分を否定する? 先ほどまで見てきたあなたは、疑いようもないあなた自身。捨ててしまった、かつて望んでいたあるべき欲望。人間らしいあなた本人の心。捨てられるものではない」

『遠慮させてもらう バケモノになるつもりはない』

「バケモノ? いいや、人間らしい当然の結末。恨んでいるはず。母親も、父親も」

『復讐はしない 人間として生きたい』

「人間らしい感情を捨てて、人間になれると?」

『なれるとは思っていない バケモノよりマシで 人間未満といった所だ』

「それは、辛い生き方だ。復讐相手はのうのうと暮らし、自分には傷だらけの醜い体と孤独だけが残る。耐えるばかりの生活で、人前には出られない。それが苦痛だったことは私に分かる。それを、私は改善してあげたい。せめて、今この私のシャドウはどうだろう? これは自己顕示欲と権力欲。あなたはコンピューターや数学の世界ならば歴史に残るほどの実力の持ち主だ。それを世界に発信すれば、名声や富で心を少しは癒せ――」

『ダメだ』

「なぜ?」

『有名になれば、この体の火傷の理由を問われることになる そうなればあの事件が掘り起こされ、平和に暮らしている今の母が罪に問われることになる』

「っ!? いまさら母親をかばう必要などどこにもないはず。そんな考えは、辛くて、苦しい……」

『許してやれ 弱い人間には助けが必要だ 母をかばってやれるのは自分だけだ』

「ありえない、どうしてそんな決断を……」

『救いの無い世の中では 悲しすぎる』


 クロスは首を左右に振った。

 黄金の瞳は目を大きく見開いて、そんなクロスの姿を信じられなさそうに見ていた。


『いつかきっと 報われる そうであってほしい』

「自分自身がまるで報われていないじゃないか」

『自分を助けてくれる正義の味方はいなかったが 母親を助けてあげられる正義の味方にはなれたと思う 些細な事だが 唯一の自慢だ』

「一人の犯罪者の為に、人間としての人生を19年も捨てたのか?」

『これからも捨て続ける 不合理かもしれないが 正しい選択だ』

「そんな選択は……」

『間違っているが だから選んだ』


 クロスは頑として意見を変えようとしなかった。


 人間らしくなろうとして、人間性を捨てて手に入れた自己犠牲の精神。コンピューターのような合理性と、人間像の理想論が合致して生まれた悲劇的な精神構造。


『悪魔のような存在でも 許しはあるべきなのだ』


 クロスは視線を落として思想していた。


 クロスの精神は強靭である。感情を抑圧し、痛みを受け入れ、幾重にも重ねた理論武装で復讐心を抑え込んだ。そんな精神的に摩耗する生活を長年続ければ、心が曲がったまま太くなるのは当然である。

 さらには孤独な部屋で臓器不全を起こして幾度となく死線を超えれば、死への恐怖という感情すらも薄れていく。

 

 結果、出来上がった人間像がクロスだ。他者との不和こそ人並み以上に恐れるが、自己(バケモノ)の死は恐れない。誰かを助けるためだけに戦う、(むくろ)の賢人。

 

 黄金の瞳はそんなクロスに茫然としていた。初めて見る得体のしれない精神構造に驚きを見せ、次第に目を細めて行く。


「……あなたは、強いのだな。私の導きなどいらないようだ。人間はもっと弱い生き物かと思っていたようだ」

『ありがとう 人間として扱ってくれて』

「私にはあなたが人間にしか見えない。もし自分が人間だと思えなかったら、明るい場所で地面を見てみるといい。きっときれいな人の形をしているはずだ」


 黄金の瞳は目を伏せた。まるで一礼をするように。


「王の儀は成った。あなたを真なる心の持ち主であると認めよう。影の上に立つ権利を約束する。この力、自由に使ってくれ」

「ムゥ?」


 クロスは突然の力の譲渡に首をかしげた。


『どういうことだ?』

「そのままの意味だ。怪人王グレゴーリルと同じく黄金の意思を持つものならば、この力は扱える。私は選定者として、あなたにこの夢幻の深淵の力を……」

『不要だ』

「……なぜ?」


 黄金の瞳は眉根をひそめていぶかしんだ。


『それはお前の力だ お前は道具ではないのだろう?』

「っ!? そうだが、しかし……」

『真面目なのはいいが 自分の責任は自分で背負え』

「私の、責任?」

『自分を興行師という型にはめて道具になろうとしている そんな現実が嫌だから世界を切り変えたくて、嬉々として私に力を渡そうとした ちがうか?』

「そんなことはない! そんなことは……! ……いや、そうなのか? そうなのもしれない。だから私は、真なる心の持ち主を探していた……。ずっと、ずっと」

『すまないが力は間に合っている 現実が嫌なら 自分の足で立って歩いてくれ』

「自分で……? 私は、そんな行動ができるようには作られていない」

『生きているなら成長できる 手伝えることがあるなら言ってくれ』

「……いいのか? 欠片とはいえ王の力だ。欲しくはないのか?」

『お前が王様だ 心優しい闇の王 その力が重くて邪魔ならば私が引きうけてもいい 重荷を背負うことは慣れている』

「いや! 結構だ! この力は私のものだ! ……ありがとう、私を人として扱ってくれて」

『私には人間にしか見えなかった。もし自分が人間だと思えなかったら、明るい場所で地面を見てみるといい。きっときれいな人の形をしているはずだ』

「ははっ! ありがとう、きっとその通りだ。まさか光の世界の住人に影のあり方を教えられるとは!」


 黄金の瞳が笑顔を浮かべた。ただの瞳とは思えないほど豊かな感情が溢れてくる。それは喜怒哀楽の要素の確かな芽生え。

 気付いた瞬間にはシャドウの肉体はぼやけていた。クロスのシャドウを間借りする必要がなくなってきたのだろう。


「私は立って歩けるようだ。まだおぼつかないが、手や足の感覚を感じる。そう遠くない未来、あなたの世界で会えるだろう」

『これからどうするつもりだ?』

「なにも考えはないが、キューティクルズのシリーズは続けて運営したい。たとえ欺瞞に満ちた正義でも、その勇気や美貌が多くの人間に愛されている。だからまずは彼女たちの問題を解決したい。一つ、たのまれてもらえないだろうか?」

『ああ』

「ブラックを何とかしてやってほしい。彼女は今、おぼつかない操作で深淵の暗闇を操っている。私はもともとただのコアであって、この深淵に渦巻くシャドウたちをほとんど掌握していない。闇の行使権を奪い返すのに、大分時間がかかってしまう」

『倒せばいいのか?』

「できれば、助けてあげてほしい。ダーク・キューティクルとは、ただシャドウにのまれただけのキューティクルズに過ぎない。私もすぐに手伝えるよう力を取り戻すから、何とか取り押さえてほしい」

『わかった』

「今日のお礼は、いつか必ずする。肉体を手に入れたら、必ずあなたに会いに行こう」

『ではそのお礼として ひとつ頼みごとがある』

「なんだ? なんでも言ってくれ」

『友達になってほしい』

「!? ……ふふふ。もちろんだ」


 ぼやけたシャドウの腕がゆっくりと持ち上がった。

 そんな力無く震えるシャドウの手に対して、クロスは握手した。


「それでは光の世界に送り返そう。私の友達よ」


 周囲の闇が収縮して消え去っていく。靄のように淀み、重力が消え去り、闇は霧散していった。


 たがいに握り合った手の感触は最後まで残っていた。その握手の感触は友情という精神的な感情を物理的に表現しているかのようで、心の世界が消える最後の瞬間まで確かにつながっていた。


 クロスは初めて、友達作りに成功した。

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