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気まぐれな手
甘すぎない嘘/
チョコレートひとつ
嘘ひとつ
ビターな味のひとかけら
甘すぎないのが
いいところ
炭酸水の憂鬱/
いつもなら
静かなままなのに
揺すぶられて
開封されて
吹きあがる炭酸
こんなはずじゃなかったのに
隠されて暴かれている/
オフショルダーの鎖骨に
虹色に輝く艶脂
マスクから覗く瞳に
キラキラ輝く若さ
隠しようもないものがある
雲の彩る空の青さのように
顧みられない夕暮れ/
捨てられた田に
真っすぐに蒲は生え
アメリカハナミズキは茜の葉をつけて
ちらちら黄色の麒麟草揺れる
金網に仕切られた
この美しい秋の夕暮れを
誰も顧みもしない
乾いている/
朽ちていく花に
耐えている花に
スリリングな調べを
乾いているのは
わたしも同じだ
望むものを書けるなんて
そんな傲慢はないだろう
何時までも同じところにいるなんて
そんな怠惰は詩では無いから