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瞬きのしじまに
ふと香る金木犀が鳴りやまない
日常の滓が夜に向かって発酵している
疲れ果てた身体が乞うている夜のしじま
巻き込まれていく昼下がりの微睡み
夜は暴く 剥き出しにする 無慈悲な魚の目で
顔を隠し彷徨いだす 体たち
目を閉じて落ちていく こころたち
浮き出た若いアバラボネたち
寂しさに汚れたクロックスたち
対照的な昼と夜に
どちらにも生きられなくなった
打ち上げられた魚たち
暗く彷徨う者たちの海へ
昼間の川は絶えず流れ込み
眩しい金色の砂を堆積させる
それは汚染であった
美しく見える日常に含まれる毒が
全て流し込まれているのだった
朝に白けてしまうまでの瞬きのしじまに
夜によって夜の中へ
嘘を堆積しようとする試みは繰り返されるが
誰もが嘘と知る嘘は 朝の清浄な風によって
いつも容易く吹き流されていく
ある方の詩に着想を頂いた詩です。