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分かれ道
分かれ道に咲いた赤い花を
あなたは綺麗と言った
その道を行ってはいけない
決して行ってはいけない分かれ道を
あなたは行った
あなたが幸せなら
わたしは いなくてもいいのです
この世に 欠片も無くても いいのです
こんなことを伝えたら
あなたは怒るでしょうけれど
それは若さ故だったのか
無知故だったのか
天衣無縫な あなたにとって
目の前のことなんて どうにかなるって
そんなことだったのでしょうか
雷雲の気配に
気付いた時には遅すぎて
土砂降りの顛末がやって来て
病に倒れた あなたが
きっと戻ってくる
きっと いつか
きっと
わたしは 階段に座って待っていた
昨日は戻らない
それを知るのは
いつも遅すぎて
あの日に似た昼下がり
今日
あなたと通った幼稚園で
わたしの子どもが 運動会です
グランドから 道を見上げれば
あの彼岸花が揺れています
まるで あなたが佇んでいるようで
わたしは
決して目と目は合うことのない挨拶を
決して終わらない別れの言葉を
今も繰り返しているのです