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別れの季節に  作者: につき
6/20

晴れていた空

目の前のイミテーションで

世界は繋がってる気分

はらはら流してる涙だってそう

きっと どこかに あるんだって

誰もが 信じてることは

どこにも 何もありはしない


鏡から見返してる わたしの顔は

本当じゃなくて

水たまりから見上げる わたしの顔は

本当じゃなくて

わたしは わたしの背中を知りはしない


わたしにとって大切なことは

そんなに多くなくて

例えば わたしが いなくなってからも

わたしの背中を

誰かが知っていてくれるということ

でも わたしにとっての

大切な背中は 少しずつ 少しずつ

遠くなっていく


大切なことは 伝えたいときには いつも

時間遅れだから 今 見ていること

聞いていること 感じていること

それらに すべて 答えがあるということを

全てが わたしたちに 教えようとしている


それは

時に 胸に詰まる感動となって

時に わけもなく流れ出した涙となって

時に 誰かに伝えたくて仕方がない想いとなって

時に 不意に襲う鋭い郷愁となって


だから

目の前の一瞬のリアルで この世は繋がっている

おろおろ流した涙は本当だから

確かに 今 ここにある

孤独であることの共感は

遥か あの世まで

黄泉の断崖をも飛び越えていく力を持っている


わたしは それを信じ この迷いを 今

真空の瓶に詰め虚空へ流す

透明な質量のままの言葉たちは

力強く 見えない時代の海流を遡り

やがて 誰も知らない

忘れさられた岸辺へと流れつく


……そして

いなくなった人の その柔らかな指で拾い上げられたなら。

晴れた昼下がりの穏やかな海の上に

雲は ゆっくり ぽっかり 白くって

たたたた……

おさない わたしが 走り来る


誰かに向かって書きたかったのに、結局自分自身から出れはしない。

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