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何もないこと
石造りのアーチの向こう側
あの空には何もない
雲が薄っすら浮かぶだけ
雨上がりの水たまり
覗いても何もない
空とわたしの影が映るだけ
この何もなさを
何かで埋め尽くしたとき
この星の自転は止まり
太陽は二度と昇らない
全ての人の心臓は止まり
全ての明日はもう来ない
わたしたちは
隙間を埋めようとしすぎる
からっぽのこころも
不確かな明日も
定まらない足元も
そのままでいい
何もないことで
満ちていること
わたしたちの
いきものたちの
呼吸するように
わたしたちの
すべての存在の
居場所となっているように