【冒険者都市】『アドヴェアス』
【冒険者都市】と名高い『アドヴェアス』は【都市】と呼ばれてはいるが、その実一つの『集団国家』に等しい。
その成り立ちは500年ほど前、『冒険者』というものができてから少しが経ち、ある国家間で『戦争』が起きた時の話だ。
不幸なことに、そのれらの国に訪れていた『冒険者』達は『国家』と『冒険者組合』による強制招集により、無理矢理戦わざる負えない状況が生まれてしまった。
このままでは、自由を謳う『冒険者』が国家間の争いに巻き込まれ『傭兵』と変わらなくなってしまうと危惧した当代の『組合総長』が、ひとつの街を作り、こう宣言したのだ。
『不遇で不当な扱いを受けた冒険者たちよ、この地に集え。そうすれば自由を再び与えよう。そして、それを妨げる『国家』よ。覚悟しろ。我ら『冒険者組合』は貴様らを許さぬであろう。決して、な』
その言葉に『冒険者』達は皆集まった。
それを妨げようとする国家もあったのだが、それは集った『冒険者』達に潰されてしまった。
そして、こう言われるようになる。
『『冒険者組合』は、【冒険者都市】は敵に回すな。滅びたくないのなら』
と。
──【冒険者都市】『アドヴェアス』の成り立ち
より一部抜粋。
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「『栄養剤』に『気付け薬』に『ポーション』に……ふぅ、こんなものですかね。全く、『アドヴェアス』に着いてから直ぐに買出しに行かせるなんて……あ、お酒は飲めませんので、ミルクでお願いします」
酒場の一席に座ったシリウナは、店員にそう言って脱力する。
「まあ、レイさんには二度も命を助けて貰ってますし?この事でレイさんに感謝でもしてもらえれば、これから先のことを考えるならいいんですけど──」
「なあ、知ってるか?」
一人で呟いていると、近くの席から声が聞こえてきた。
「なんだよ」
「いや、この前あの『帝国』が『魔族』の襲撃にあって、たまたま居合わせた『勇者』一行と共に撃退したって話はしただろ?」
「ああ、嫌になるほど聞いたが……それで?」
「これはこの前聞いた話なんだがな。その『帝国』が戦争をおっ始めるらしいって噂なんだ」
「襲撃を受けたばかりだってのにか?まあ、そこら辺は国の思想とかがあるんだろうが……それで?相手は?」
「ああ。それなんだが──『獣人王国』だって噂だ」
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「……ん、ここ、は?」
目を覚ました零刀は身体を起こし、辺りを見回す。
(確か、俺は……ああ、衛兵共を吹き飛ばしてから、気を失ったのか……それにしてもあの時、あんな雑魚共の槍が刺さったのは、【死による救済】の影響で弱体化してたってのがでかいんだろうな……それと──)
「──『殺意』のある攻撃でなくて、『恐怖』による攻撃か……『害意』でないだけに、気づけなかったのか」
そう言って自嘲気味に笑みを浮かべると、ふと【死による救済】を使った時に『ステータス』に変化があったことを思い出し、開く。
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神野 零刀 Lv120 Age16 男
種族:名状しがたい既知を脅かすナニカ
職業:練成師
称号:【禁忌】【再生】【喰らう者】【適応者】【不明】【外道】【至りし者】【死の否定者】【背理】
体力 890000/900000
魔力量 450000/500000
魔力 400000
筋力 450000
敏捷 400000
耐性 500000
魔耐性 450000
〈権能〉:己ヲ喰ライテ糧ト成ス 昏キ底ヨリ嘲笑ウ
〈固有技能〉:錬成 再構成 完全記憶 解析 無属性魔法 瘴気耐性 並立思考 変質異貌 環境耐性 知恵 異形剣術 魔瘴支配
〈技能〉: 瞬動Lv10 魔道具作成Lv8 痛覚耐性Lv10
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「また、よく分からん『権能』か……わかるかどうかはわからんが、『解析』」
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昏キ底ヨリ嘲笑ウ
それは、『深淵』。
進化の終着でありながら異形共の集う場所。
そこより聞こえる笑い声も泣き声も、悲鳴も懇願する声すらもその外からは『嘲笑ウ』声に聞こえてしまい、それは咆哮の如し。
それでありながら中を知ろうと覗き込んでしまえば、中からはその主がコチラを見つめ返すのだ。
──不遜に興味深げに、浅ましく悍ましい数多の貌が見つめ返すのだ。
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「……これを発動した状態で声を発すれば効果が出るってことか?」
いくつか考えてみるが、どうにも思いつかない。
「あー、駄目だ。さっぱりわからん。まあ、おいおいわかってくるか……」
そんなことを考えているとコンコン、と扉が叩かれたかと思えば、そのまま開かれる。
「ん、零刀、起きたんだ……よかった」
「ああ、苦労かけたな。……で、その手に持っている鍋は何だ?」
「そろそろ起きる頃合いだと思って、作ってみた」
そう言って、エプロン姿のイリスは鍋を開ける。
──直前で零刀が待ったをかけた。
「待て……材料、何を使った?」
「『ニンジン』、『ピーマン』『栄養剤』、『気付け薬』、『ポーション』……」
「後半がおかしいだろ」
「ん、零刀に元気になってもらいたくて、作った」
そう言って、鍋を開けると、その中には──
「……ああ、『深淵』はどうやら、こんなにも身近にあったようだ」
──そうして口にした味は、深淵で混沌だったとだけ言っておこう。
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翌日、扉を叩く音で目が覚めた。
「レイトはいるか?」
「ん、ああ、いるが……誰だ?」
「俺だ……タルドって言ってわかるか?」
「『タルド』?……ああ、ツッコミ担当【芸人魂】の『タルド』か」
「誰が芸人だ!?……まあ、覚え方は問題だが、憶えてくれてるならまあいい……いいのか?」
「まあ、それは今置いとけ。で、何のようだ?」
「ああ、そうだった……なんか『冒険者組合』から呼び出しがかかってるんだが……またなんかしたのか?しかも、『Aランク』の俺を寄越すなんて相当だぞ」
「あー、どれだ?」
「いや、どれって、そんなに候補があるのかよ」
「アレか?貴族ぶっ飛ばしたこととか、街の住民ひとり残らずぶっ殺して生かしたことか?」
「いや、何やってんだよお前……いや、『邪龍』との戦いを見たあとだとそんくらいできるのかもしれんが……後半何いってるかわからん。矛盾してるぞ?」
「まあ、それも置いとけ。どうせもう暫くすればこっちにも広がってくるだろ。で、今頃行くのか?」
「ああ。できれば早い方がいいと言っていたし、連れてこれるなら連れて来いとも言われたが……来れるのか?」
「ああ、少ししたら行く。下で待っててもらえるか」
「了解した」
そう言って階下へと降りていく足音を聴き届けると、イリスに声をかける。
「……さて、イリスはどうする?」
「ん、行く。というか、零刀こそ、いくの?」
「ああ、行かないと面倒な事になりそうだからな」
そう言って手をひとつ叩くと、一瞬で黒い外套を身に纏う。
「……零刀、今それどうやってだした?」
「『技能』……と言うより、『権能』か。なんか出せたんだが……感覚でやったらできただけだから、原理は知らんが……『解析』っと、『深淵外装』って出てるな。なら『権能』の類か。……よく見たらモヤみたいになってるし、形状指定もできるのか……じゃあ、形状を『外套』、銘を【纏】にして……」
そうして微調整していると、モヤだったそれが、いつかの黒い外套と同じ形をとる。
それがこれだ。
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『深淵外装』【纏】
『固有技能』を超える何らかのチカラが象った外装。
形状はある程度変化させられるが、防御力は『形状』と装備者の『耐性』に影響される。
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「この感じだと『深淵』の時とあまり変わらなさそうだな。使い勝手もいいしこれで行くか」
「ん、わたしも準備できた。そう言えば、零刀。身体の調子は?」
「まだ本調子とは言えないが、軽く動く程度には問題無い。まあ、この状態であの『邪龍』と殺るんだとしたら少し厳しいかもしれないな」
「ん、なら私が守る」
「そりゃあ頼もしい。そういやひとつ聞いていいか?どっからどう見ても、あの鍋を食べてから日をまたいでるんだが……」
「?憶えてないの?零刀、食べてすぐに寝ちゃったんだよ?」
「ああ、理解した。とりあえず今度は俺が教えてやるから、とりあえずそれまで料理は禁止な」
『環境適応』の『技能』によって毒程度であるならほぼ効かないはずの零刀は、自身へダメージを与える可能性のある物体の生成を止めさせるのであった。




