魔法学と戦闘訓練・2
今回は題名の通り【戦いたい】の方に当たる二つを結合させて頂きました。文章量が少ないと感じたので…。
ではどうぞ
─1人が数人に抑えられていて、少し離れたところでも2人が多人数に囲まれ、取り押さえられている。
2人は怪我をしているが何かを叫んでおり、周りを囲んでいる者達からは笑いが起こる。
ふと、場面が切り替わる
周りを見ると、先程まで笑っていた人たちはみんな倒れている。
「*****!」
押さえられていた2人の内1人が何かをいいながら近くに落ちていた鉄パイプを取って殴りかかる。
それを─
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"コンコン"
ビクッ、と跳ね起きた。
"レイ様、起床のお時間です"
「は、はい」
─夢を、見ていた気がする。内容は思いだせないけど…
「リーシャさん。おはようございます」
「はい、おはようございます」
「今日の予定は午前中が魔法学で、午後が戦闘訓練になります。魔法学は一般教養を行った部屋で行いますので朝食後移動をお願いします。ご質問はございますか?」
「いえ、大丈夫です」
「それでは失礼します」
…今日もがんばりますか
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「はじめまして、皆様の魔法学を担当させていただく宮廷魔導師のサラ・レストです。よろしくお願いします」
サラはエルフで髪の色は青色だった。
さすがファンタジー。
「では今日ははじめに魔法の属性と魔力についてからいきましょう」
魔法の属性に関しては本で調べていたが、知らないことがあった。
固有魔法と呼ばれるものだ。ステータスの表示で、固有技能に表示される魔法で、本来の属性以外の魔法が使える魔法だ。ものすごくめずらしいのだが異世界組に何人かいるらしい。
次に、精霊と精霊魔法について。精霊は火、水、土、風、光、闇の6属性がいると言われている。下位、中位、上位、高位、王位の精霊がいて、位が上がるほど数が少なくなっていき、王位は各属性に1人ずつしかいない。そして、精霊魔法の使い手は適正の無い魔法でも、近くにその属性の精霊がいればすこしだけだがその属性を使えるという。サラは数少ない高位の風精霊であるフゥという精霊と契約しているという。ちなみに精霊の呼び方は○精霊でも○属性精霊でもどちらでもいいらしい。
魔力についてだが空気中に「魔素」と呼ばれる人には認識できない細かい粒子状のものが漂っていて、その「魔素」や「意思のない魔力」を呼吸などで体内に取り入れて変換しているらしい。人に認識できないのになぜ知っているのかは先人が精霊に教えてもらったかららしい。
あとは魔法陣魔法。通称陣魔法。これは魔力のこもった液体で魔法陣を書いて魔力をこめておく。使う時に魔力を使うとあらかじめ書いておいた魔法陣の魔法が使えるということだ。自分が使えない属性の魔法も使えるのだと。しかし、一定の威力しか出ないので、普通は魔法使いの緊急時や前衛が使うくらいだという。が、属性魔法が使えない僕にとっては重要なことだ。
「─今日はここまでにしましょう。お疲れ様でした」
(うん、魔法陣魔法は覚えておかないとだね。よし、ご飯を食べたら戦闘訓練だ…)
少し気落ちしながら移動し始める。
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午後になった。
戦闘訓練である。
この戦闘訓練では各々が自分の使いたい武器を使用して、自分の持ちうる技能を使って行う。
といった訓練である。
後衛の人達は第2訓練所での訓練になる。
前衛の人は何人かで1組のグループを作って訓練をする。訓練の仕方は騎士に教えてもらったり、戦ったり様々だ。その中でも零刀は勇者である光輝と隆静と組んでいる。そして今は光輝がアドルフとやっている。そして
「動きが大きすぎる!」
とか
「切り替えが遅い!」
とか言われている。
「あの人がいれば魔王倒せるんじゃね?」
と、隆静が俺達必要?と言った感じで言ってくる。
「それでも勝てないから呼んだんでしょ?」
「まあそりゃそうだろうけれどもさ…」
といったところで
ガキン!
と言って光輝の手元から剣が離れる。
「少しずつだが良くなってきている。この調子で精進しろよ!」
「はい!ありがとうございました!」
「ほら、最後はレイだろ?」
「うん、行ってくるよ」
少し気落ちしながらアドルフのところに行く。
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「おう、レイか。楽しみにしていたぞ」
「ハハハ、ソウデスカ。ボクモデス」
(あまり戦うのは好きじゃあ無いんだけどね…)
「光輝、合図を頼む」
「はい、では…はじめ!」
と、合図をするが2人とも動かない
(ふむ、前回やった時と同様にカウンター狙いか。ならこっちから仕掛けて対応を─)
見てみようか。と思いかけた時ふと、違和感をおぼえる。
(身体強化を使ってない?足に魔力を感じるが『身体強化』ではない…。それに、何より俺を倒そうとする気が感じられない?)
理解しようとするが、出来ない。
(…とりあえず、しかけるか)
『身体強化』を使い、まるで瞬間移動でもしたかのように、零刀の目の前まで移動する。
「なっ!」
零刀はそれに反応が遅れ、すでに目の前にアドルフの剣が迫っている。
(間に、あえ!)
零刀が少しの距離ではあるが後方にかなりの勢いで飛び退いた。
(当たると思ったんだが…、今のは『瞬動』か?)
『瞬動』は主に脚に魔力を流して一瞬だけではあるがかなりの移動速度を持つ『技能』だ。
しかし、使い慣れるまでは─
(─体勢が崩れる!)
そして体勢の崩れた零刀に追撃をしようとするが
「『錬成』!【泥沼】!」
ズブリ、と音をたてて両足が地面に沈む。
「なにっ!」
「はっ!」
切りかかる零刀に対し、上体を反らすことで躱して[飛斬]の縦切りを叩き込む
「くっ!」
それを剣で受け止めた零刀は弾き飛ばされ、地面に転がって意識が途絶えた。
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「…ふう、そういえばお前が生産職なのを忘れていた」
訓練が終わった訓練場でアドルフがそう言う
ちなみに今僕は『錬成』を使って地面を直している。
「っていうか昨日と戦闘スタイルが変わり過ぎじゃあないか?」
「そうですか?っ、と終わりました」
「おう、おつかれ。にしても『錬成』も戦闘に使えるんだな」
「要は使いどころってやつですよ。まあ、まだ土じゃないと使えないんですけどね」
「それでも使い所によっては相手の動きを阻害できる」
「まあ、そうですね。でも地面に手を付けないとまだ居た場所にしか使えないんですよね」
「それで足に魔力を流して、んでもって回避に『瞬動』か。ってか『瞬動』いつ覚えたんだよ。」
まだ教えてねーぞ、と言うアドルフ。
「『瞬動』ですか、アレが」
「知らないで使ってたのか?」
「知識としては知っていましたが使えたのは今日が初めてです」
「ってまさか今覚えたのか?凄い才能だな」
「まあ、あまり戦うのって好きじゃないんですけどね」
「そうなのか?」
何気ない会話をしている時にふと、思い出す。
「そういえば、昨日の…」
「?、はい?」
「…いや、何でもない」
何故か、直感ではあるが聞いてはいけない気がした。
「では、お疲れ様でした」
「おう、おつかれ」