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初依頼

この章からは少しずつ変化が出始めるハズ……



「よし、まずは『雑務系』からだなこれは俺だけでやろうと思う」


「……内容は?」



「『新しい料理の提案』だな」


「……そんなことも、やるんだ……」


どこかノリノリの零刀に対し、イリスは依頼内容に首をかしげながらもついて行く。


「まあ、『冒険者』ってのは狩った魔物で手製の料理を作るやつも多いからな。だからこそってのもあるんだろうな。っと、ここか」


そう言って到着したのは、とある料理店。


「『新しい料理の提案』のクエストを受けてきた。依頼人はいるか!」


「はいはーい、ちょっとお待ちを……お待たせしました」


そう言って奥から現れたのは黒いローブにフードを被ったいかにもと言った感じの怪しい人物。


「お前、店主か?」


「そーですよー、と言いたいところですが、あいにく私はバイトに過ぎません」


「バイトか……だとすると依頼はどうなる?」


「ああ、そのことに関してならご心配無く。休みの間は私に委ねられていますので」


その言葉にホッとする。


「そうか、なら良かった。さっそく厨房を借りていいか?」


「ええ、ええ。どうぞ。良いですよ」


黒いローブの人物について行けば、そこには立派な調理場があった。


「さて、とりあえずだが……どんな料理がいいとかの意見はあるか?」


「……そうですねぇ。この近くの都市からは卵が多く出荷されているので、卵料理なんてどうでしょう?」


「卵料理か……調味料も揃っているみたいだしな。ならアレを作るか」


「アレ、とは……?」


その言葉にニヤリと笑を浮かべ──


「見てろ、俺の得意料理だ」



そう言い放った。



──数時間後。



「やっと、できた……」


「ん、これが?」


「『ふんわりオムライス』ですね!」


そこには、赤く着色された│お・・を黄色に玉子で包んだ料理……バイトが言ったようにふんわりとした『オムライス』があった。


「まさか、ここに米があるなんてな……」


「北に離れたところにある『帝国』で生産しているらしいですよ?こちらに流れてくるのは少量なので、あまり多用はできませんが……」


「ああ、別に米が無くとも、玉子だけの『オムレツ』なら作れるから、そっちにしても構わん。しかし、まあ『ケチャップ』を作るのに手間取るとはな」


そう、この料理にかかった時間は大体が米の炊飯とケチャップ作りの時間である。


「とりあえず、だ。冷める前に食え」


「ではでは、失礼して──」


「「「いただきます!」」」


こうして、幸せな時間を彼らは過ごした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「いやぁ、今日はありがとうございます。いい料理ですね。これがサインです」


「ああ、サンキューな。こっちも久しぶりにいいもんが作れた。特に米の情報が手に入ったのはでかいからな。いつか『帝国』とやらにも行ってみようと思う」


「ああ、それでしたら気をつけてくださいね。『帝国』は今、『獣王国』と戦争が起きるかも知れないと言われていますから」


「そうなのか、情報をありがとう。それじゃあ行くわ」


「ええ、またお会いしましょう」


バイトに挨拶をしてその場から離れる。


「ん、おいしかった」


「それなら良かった。次は……『薬草採集20株』と『ゴブリン討伐』だな。食後の運動と行きますか」


「おー」



と言って向かったは良いものの




「……なあイリス、アレなんだと思う?」


「『ゴブリン』の群れ?丁度いい」


「いや、そうなんだが……なんか追われてるパーティーがいるな」


──『冒険者』と思われるパーティーが、その群れに追われていた。


「消し飛ばす?」


「いや、止めておけ。ヘタに問題を起こすと面倒だ。まあ、それは他に置いておいても、昔との比較対象が欲しい。俺に殺らせてくれないか?」


「ん、別にかまわない。その間に、『薬草』でも集めてる」


「ありがとうな。さて、行くか」


そう言って零刀は、駆け出す。



「おい!コイツらはただの『ゴブリン』じゃない!『キング』付きだ!早く逃げろ!」


「──邪魔だ」


逃げてきたパーティーの警告を聞くことなく『変質異貌』で生やした触手で掴み、後方へと投げ飛ばす。


「さて、久しぶりに行くか──『瞬動』」


零刀の姿が消え、ゴブリンの首が飛ぶ。



「グギャア!?」


「ギャァァアアア!」


「──『錬成』、【泥沼マッドマーシュ】」


襲いかかってきたゴブリンの足元が泥沼へと変わり、腰あたりまで呑み込む。


「……こんなもんか。あのころと比べれば強くなった。まぁ、あん時の俺が弱かったってのもあるんだろうが……」


そう言いながら、足を止めたゴブリンの群れへと視線を移す。


「──ま、今と前じゃあだいぶ変わってるしな。と言うより変わってねェと困る」


「ギュォォオオオ!?」


「……すごい、ゴブリンたちがあっという間に……」


「すげぇ、『ジェネラル』でさえも他と変わらず倒してやがる……」



ほとんど反撃されることすら無く、【黒】と【白】の剣戟がゴブリンたちを屠って行った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



そうして『冒険者組合ギルド』に戻って来た二人だが



「貴方様が!このポーションを作った御方ですか!」


「……なんだこのオッサンは」


『冒険者組合ギルド』に入るなり、白髪のオッサンが飛びかかって来た。


それを背負投の要領でぶん投げるが、そのオッサンは空中で身体を捻ると四肢で着地する。


「あの『A』ランク、【光盾】のタルドに渡したポーションの事ですよ!アレは貴方が作ったのでしょう!」


「誰も俺が作ったとは言ってないが……」


「ウチのレーネが『鑑定』し、断言したのだから間違い無い!我らが目指す神の御技に迫る【禁忌】、それを越えたモノよ!」


「コイツ、まさか──」


「はい、あの『変態組合ギルド』──もとい、『錬成師組合ギルド』の一員です」


そう言って受付へと視線を向ければ、残念ながらと言わんばかりの回答。


「ぜひ、我らが『錬成師組合ギルド』にぃぃぃいい!」


「あの【変態】の一員ってなら、手加減の必要なねェな。イリス、飛ばせ」


「──ん、【転移眼】」


叫びながら四足歩行の体勢で飛びかかって来た【変態】を、イリスの『魔眼』で【転移】させて飛ばす。


「……イリス、ちなみにだがどこに飛ばした?」


「ここの出入り口から、少しずれたところ、上空」


「了解だ。──『錬成』、【泥沼マッドマーシュ】っと。終わったぞ」


外の方から「ぎぃゃぁぁあああああ!!」という絶叫と、ズブリという音が聞こえてきたが、気にしない方向で行くようだ。


「お疲れ様です……えっと、どの依頼がですか?」


「全部だ」


「えっと、受けた依頼って何でしたっけ?」


「これ」


「……『新しい料理の提案』に『薬草採集』と『ゴブリン討伐』ですか。かなり優秀……というレベルを超えている気もしますが……まあ、いいでしょう。後は『薬草』と『仮証明』の提出をお願いします」


「ん、『薬草』と、『仮証明』?」


「ああ、倒した魔物の『生体魔素』を感知して記録する効果があるんだ。俺も戦闘中に気がついたけどな」


なぜ? と疑問を口にしたイリスに気がついていた零刀が答える。


「……なぜ説明すらされていないあなたが知っているのかは甚だ疑問ではありますが……その記録を見るために提出を求めるわけです」


「ん、じゃあだす」


「はい、確かに。……って、『薬草』多すぎ……とりあえずここに置いてっと。あとは討伐記録を読み取りますので、少々お待ちを……っと、え?」


そうして記録された用紙の内訳がこれだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

レイト ランクE


討伐記録


『ゴブリン』×52

『ホブゴブリン』×20

『ゴブリンジェネラル』×10

『ゴブリンキング』×1

走竜ランドラゴン』×5

上位走竜グレーターランドラゴン』×1


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「……初日でなんてモノ倒してくれてるんですか!?……というかこんなものどこで倒して来たんです?」


驚愕しつつも受付嬢としては聞かなくてはならない情報を聞く。


「んー、そこら辺?」


「そこら辺て……それがもし本当ならおかしい……」


「そいつが言ってることは本当だぜ。現に俺らが助けられたからな」


受付嬢が思考を巡らせたところで、今入ってきた『冒険者』パーティー、というか零刀たちが助けたパーティーがそう言った。



「なるほど、では調査隊を派遣するべきか……了解しました。こちらでも対処します。後でそちらのパーティーには事情を聞きますので、後ほど。それにしても、これほどの短時間で、これほどの成果を成すなんて……」


「すごい?」


「頭がおかしいとしか思えません」


「ずいぶんな言われようだな……」


面倒くさいテンプレは発生するのに、こういう賞賛系のテンプレは起こらないのかと、少し落ち込む。


「はぁ、こんな人たちがいたなんて……全く、あなた達は何者ですか?」


「まあ、俺らにも色々とあるんだよ。こうして街に来たのも久しぶりだしな。納得してくれ」


「……もともと『冒険者』への余計な詮索は褒められたものではありませんし、犯罪者でも無い限りは『冒険者組合ギルド』は受け入れていますしね。それで、『選定試験』は受けていきますか?」


「ん?すぐに受けられるのか?」


「ええ、今なら『A』ランクの【光盾】のタルドさんが……タルドさーん!」


「ん?呼んだか?」


その声に反応したのは、大きな盾を持ったごつい大男──先の絡まれた時に、割って入った男であった。。


「この方々の『選定試験』をお願いしたいのですが……」


「ああ、別に──って、さっきのヤツらか!?」


タルドは二人を見て驚く、というか頬を引き攣らせているが、彼にどう思われているのかを二人は知らない。


「……なんか不都合でもあるのか?」


「えっ!いや、特にはないんだが……そうだな。無いな、無いんだよなぁ」


「なら問題無いな。殺るぞ」


「ちょっと待て!なんか今字が違っただろうが!おい!なんか言えって!」


「では、行きましょうか」


タルドの思いも虚しく、子牛よろしく連れて行かれるのだった。



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【『ハズレ』と言われた生産職でも戦いたい!!】
並行して書いているものです。

【ココロミタシテ】
何となくで書いた詩です。
これらもよろしくお願いします。
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