帰り道
更新を再開します。
その日のやる事を終え自室に向かっている零刀に声がかかる。
「おい、ちょっと待てよ」
零刀が振り向くとそこには赤坂 寛人と、その取り巻きである八倉 亮太、鈴木 珪吾の3人がいた。
この3人は『向こう』では不良と呼ばれるものであり、赤坂は特に悪さをしていた。
そう言う零刀も向こうではしばしばちょっかいをかけられていた。
「どうかした?」
少し嫌な予感がしたので出来れば帰りたいな、と思いながら返答する。
「そういえばさ、今日の訓練凄かったよな」
赤坂がニヤニヤしながら言う。
「いや、不意打ちがたまたま上手くいっただけだよ」
「本人がそう言うならそうなんだろうけどよ、なら今から追加で特訓しようぜ。もちろん、俺ら4人で」
「いや、でも」
零刀が拒否しようとするが肩に腕を回される。
「まーまー、そんな遠慮すんなって、行こうぜ」
抵抗も空しく、連れていかれた。
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僕が連れていかれたのは建物の陰になっていて周りからは見えないところだった。
そこで行われたのは『特訓』と言うには一方的なものだった。
『拳士』である赤坂には殴られ、蹴られ
『操土師』である亮太の『土属性魔法』で拘束されたり、【石弾】の的にされ
『剣士』である珪吾には刃を潰してある訓練用の剣で殴られた
─けれど、零刀はやり返さない
やり返そうとすればどうなるかは分かっている。
自分がどうにかなるだけならいい。
でも、それで他人が傷つくのは許せない。
「んだよ、この程度かよ」
「やっぱ『ハズレ』なだけはあるよな」
「ホントそれな!」
ぎゃははは、と笑い声が聴こえる。
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「…行ったか」
周りを見回して1人、そう呟く。
あの後、しばらくしてから3人は帰って行った。
(…うん、もう動けるね)
少し休んでから自分の部屋に帰った。
(ふう、そう言えばまだ確認してなかったや)
「『ステータス』」
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神野 零刀 LV1 Age15 男
種族:人間
職業:練成師
称号:
体力 50/100
魔力量 15/20
魔力 400
筋力 70
敏捷150
耐性 50
魔耐性 200
〈技能〉:練成Lv8 剣術Lv5 魔力感知Lv3 魔力操作Lv9 身体強化Lv6 記憶管理Lv10
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(ん、魔力量が3上がってる。それにしても、まさか見破られるとは思ってなかったよ。)
零刀は模擬戦の事を思い出す。
今回の模擬戦では最初の騎士との戦闘ではまず先にクラスの人と戦っていたのを見て、重心移動や身体の動かし方、クセなどを『記憶管理』で記憶に定着させる。そして自分の番になった時に「眼」に『身体強化』をかけて動体視力を上げる。そして騎士が切りかかって来たときに騎士の剣に自分の剣を押しあてて腕の『身体強化』を瞬時に使うことによって魔力の消費を抑えながら相手の剣を後ろにそらしたのだ。単純な力、パワーの無い零刀ならではの考え方である。とは言っても考えたからといっても使える訳では無いのだか…。
(スキルの確認もしておこう。)
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剣術
剣使用時補正がかかる。
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記憶管理
物事を記憶に定着させる事ができる。
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(『剣術』は初めての武器スキルだね)
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「そういえば『魔力操作』のLv.も上がったしできるかな?」
(えっと、「魔力」は使用者の意思に影響され出来るだけその物事を忠実に再現しようとする。そして「魔力」は粘弾性に近くて液体と固体の両方の性質を持っている。だから傷ついている辺りに魔力を流すだけでなくて、その魔力で細胞に染み込むように操作して治癒力を上げるイメージを固める…)
「『身体強化』!!」
すると、少しずつではあるが零刀の身体にあった傷が少しずつではあるが目に見えてわかる速度で修復されていく。
(─これはすごいね。時間はかかるけれど、この調子なら傷跡も綺麗になりそうだね)
─技能『自己修復』を習得しました。
(っと、『ステータス』)
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神野 零刀 LV1 Age15 男
種族:人間
職業:練成師
称号:
体力 65/100
魔力量 5/20
魔力 400
筋力 70
敏捷150
耐性 50
魔耐性 200
〈技能〉:練成Lv8 剣術Lv5 魔力感知Lv3 魔力操作Lv9 身体強化Lv6 記憶管理Lv.10 自己修復Lv1
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自己修復
魔力を消費する事によって傷を修復し体力を回復される。
修復速度、魔力消費効率は技能Lv.、『魔力』依存
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(ふう、使えそうな『技能』もなかなか増えてきた。それにしても戦いの才能がある、かぁ。でも、このままじゃあ1対1ですら危ういし多対一だと勝てない)
赤坂達の事を思い出しながらそう実感する
(正面から勝てるようにならないとかな…)
─あれだけの事をされたのにも関わらず、特に何も感じていないという異常性に気づかないまま