勇者side:彼ら彼女らは、ようやくその地に辿り着き──
『ステータス』などに違和感を感じるかもしれませんが、彼らがチートであるということで納得していただけると……
その他についても一応理由はありますが、それはまたいつかの機会に。
それでは、どうぞ!
──様々な【魔法】が飛び、黒く、蝙蝠のような羽の生えた魔物──『悪魔』、その『上位種』へと襲いかかる。
「グラァアア!」
悪魔はそれを腕で払い除けると、それを放った存在へと距離を詰め、鋭い爪を振り下ろす。
「【金剛体】……【鉄壁】!」
その爪撃に割って入り、盾を上に掲げることで、轟音を響かせながらも防ぐ。
「──隆静!その体勢を保持!」
「おう!」
その後ろからりあが飛び出し、手に持っている剣に手をかざすと、次第に剣が風を纏い始める。
「──【風纏円刃】!」
「ゴァッ!?」
そのまま上位悪魔の足元まで潜り込むと回転し、その両脚を切りつけた。
それにより悪魔は両膝を地につく。
「光輝!ラスト!」
「了解!隆静、借りるよ!」
「おう!」
──さらにその背後から、光り輝く剣を持った光輝が飛び出し、隆静を踏み台にして跳び上がる。
しかし、悪魔もただやられている訳ではないようで、空中で身動きの取れない光輝に腕を振るう。
「『我が魔力は土、故に円錐を形取り、我が敵を穿つ砲丸を成す』──【土錐砲撃】!」
鈴が土の円錐を、これまた先端が土で形取った大槌で打ち飛ばし、悪魔の振るう腕を穿つ。
さらに、穿った砲丸は炸裂し、悪魔の腕を吹き飛ばす。
「──【限界突破】!…………【光煌一閃】!」
光輝の身体が金の光を纏い、光を増した『聖剣』が悪魔の首を切り飛ばした。
……こうして、『勇者パーティー』は『試練の迷宮』、その百階層をクリアしたのであった。
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「ふぅ、これで百層クリアだね……」
誰もが踏破したことの無い、正しく未踏の階層を制覇し続け、区切りとも言える百層までクリアした一行だが、その表情は優れない。
それもそのハズ、
「ここ百層までクリアしたのに、零刀がいたっていう痕跡さえ見つけられてないからね」
……そう、りあが言うように未だに零刀がいたという証明が成されていないのだ。
それすなわち、零刀の生存しているという証明ができないことになり──
「──大丈夫、レイ君は生きてるよ」
「そうだよ。まだそう決めつけるのは早すぎる。まだ生きていないって言う証拠だって無いんだから」
沈みかけた空気の中、彩が言い、それに続いて明るく鈴が言う。
「そうだな。というか、アイツが簡単に死ぬとは思えねぇしな。案外、元気にやってて今ごろ光輝よりも強くなってるんじゃあねえか?」
この隆静の冗談混じりの台詞が本当のことであることを、もちろん彼らは知る由もない。
「……そろそろいいか?」
「……あ、アドルフさん。いたんでしたね」
後ろの方からかかった声に、彩が答える。
「いや、確かに後方で見てるだけだったが……さすがにそれは酷いだろ」
「冗談ですよ。で、『ステータス』チェックですよね」
「ああ、わかっているならいい。とりあえずチェックして、『転移結晶』を使った後に宿に戻ってからでもできるだろう」
「……どうか、したんですか?」
言葉を早めながら言うアドルフに、疑問を持った鈴が問いかける。
「いや、何かがあった訳じゃあ無いんだが……何かが起こりそうな嫌な予感がしてな」
「……アドルフさんの『直感』が言ってるなら無視はできなさそうだね。とりあえず『ステータス』を確認してから次の階層に行こうか」
光輝が確認すると、肯定が帰ってくる。
「じゃあ──」
「「「『ステータス』」」」
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コウキ ヒジリカワ LV80 Age16 男
種族:人間
職業:勇者
称号:光の勇者
体力 82000
魔力量 82000
魔力 82000
筋力 82000
敏捷 82000
耐性 82000
魔耐性 82000
〈固有技能〉:獲得経験値量増加
〈技能〉:勇者Lv6【剣術Lv9 光属性魔法Lv8 闇耐性Lv6 鑑定Lv6 アイテムボックスLv8 限界突破】
火属性魔法Lv3 水属性魔法Lv2 魔力操作Lv7 身体強化Lv8
〈加護〉光神の加護
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サヤカ シラセ LV80 Age15
種族:人間
職業:治癒師
称号:
体力 50000
魔力量 120000
魔力 150000
筋力 48000
敏捷 48000
耐性 38000
魔耐性 92000
〈固有技能〉:回復魔法 付与魔法
〈技能〉:魔力操作Lv9 身体強化Lv3 火属性魔法Lv5 光属性魔法Lv7 水属性魔法Lv5
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リン キノ LV80 Age15
種族:人間
職業:槌操師
称号:
体力 50000
魔力量 43000
魔力 40000
筋力 90000
敏捷 64000
耐性 82000
魔耐性 38000
〈技能〉:槌術Lv9 身体強化Lv9 土属性魔法Lv6 魔力操作Lv6
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リュウセイ キムラ LV80 Age16
種族:人間
職業:守護騎士
称号:守護者
体力 150000
魔力量 63000
魔力 56000
筋力 60000
敏捷 58000
耐性 150000
魔耐性 156000
〈技能〉:守護Lv5【身体強化Lv8 鉄壁Lv8 金剛体Lv5】 剣術Lv7 魔力操作Lv5
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坂本 りあ LV79 Age15 女
種族:人間
職業:剣士
称号:
体力 40000
魔力量 34000
魔力 36000
筋力 50000
敏捷 62000
耐性 46000
魔耐性 38000
〈技能〉:剣術Lv9 身体強化Lv7 風属性魔法Lv6 魔力操作Lv6 瞬動Lv8
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「……大分、強くなったよね」
「あの時に、ここまでのチカラがあれば、零刀に頼らずに済んだのにな……」
光輝の言葉に続くようにして、隆静が言う。
「『獲得経験値量増加』があったからこそ、この早さで強くなってるが……本来ならもっと時間をかけて成長するもんだ。だから、比較してしまうかもしれんが……過去はどうにもならない。なら、今は前を見ろ」
「そうだよ。とにかく今は前に進まないと」
アドルフの言葉に彩が続いて言った。
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「ここが、次の階層……」
【転移魔法陣】によって飛ばされた先、草原と、一部に森がある階層を見て光輝がそう呟く。
──アレから彼らは数十分すると、何も無かったかのように立ち直り、次の階層へと来ていた。
「……どういう事だ」
周りを見回したアドルフが呟く。
「どうかしましたか?」
「ああ、階層ごとにあるハズの『転移結晶』が見当たらなくてな……お前ら、ここから離れるな───っておい!言ったそばからどこに行くんだ!」
りあが、アドルフを無視して駆け出した。
それに続き、少し遅れて彩と鈴も駆け出す。
「ったく!何だってんだ!コウキ!リュウセイ!行くぞ!」
「はい!」
「おう!」
二人を追いかけ、走り出す。
しばらく走っていると、何を思ったのか一つの木の前で足を止める。
「おい、お前らいきなりどうし──」
「────ッ!」
りあがその木に向けて剣を振るうと少し進んだところで硬質的な音とともに止まる。
「……彩、この木燃やして」
「わかった。【火炎】」
彩の【魔法】によって、その木はすぐに燃え尽きる。
そこには、穴だらけの木が──否、正しくは木ではない。
「……これ土か?それも、リアの剣で斬れない程の硬度を持った?こんなことをする魔物なんて、知らないぞ。何かの巣か?コウキ、『鑑定』を」
「……『鑑定』」
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仮設住居
『錬成』によって造られた簡易的な住居。
さほど広くはないが、人ひとり暮らせるほどには大きく、居住地そのものは地下にあり、通気口は木の内部に張り巡らされているため、危険も少ない。
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「……仮設、住居?」
「……これって、やっぱり?」
「恐らくね。少し離れてて…………【風纏一閃】!」
今度は何の抵抗も無く、土の木を切り裂いた。
「中には……居ない、わね」
中を覗くが、そのには誰もいない。
しかし、そのには
「あれは……毛皮?」
「ちょっと待って……『鑑定』」
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暗殺兎の毛皮
暗殺兎の毛皮。
血や肉、水分が完全に飛ばされているため、鞣さずとも毛皮の持っていた魔力でほとんど劣化しない最高品質の毛皮。
製作者『神野 零刀』
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「『暗殺兎の毛皮』?それに……『製作者』が零刀になってる!」
「ってことは……」
「レイちゃんは生きてるってことだよねっ!」
光輝がそう言ったのに続いて、歓喜する。
(『暗殺兎』だと?あの【初見殺し】と名高いアイツか!?これをレイトが……?それに、肉が探しても無い……食糧の問題からしても、まさか、食ったのか?!)
この世界で生まれ育ち、騎士団長まで至ったアドルフだからこそ、知っていたし、疑問も抱いた。
「いや、食ったのだとしたら死んでいるハズだ。だが、ここに死体が無いということは……いや、アイツは『錬成師』だ。もしかすると迷宮の魔物を食えるようにする方法を……?どちらにせよ、ここで死んではいないという事だな」
アドルフはひとり、そう結論づけた。
「ああ、わかっちゃあいたけど……それでも、アイツは生きてるんだな……よかった…………」
「ちょっと、隆静!こんなところで泣かないでよ!」
「いや、これはアレだ。汗だ」
「なんてベタな言い訳を……」
「とりあえず、レイトが生きていたことは確認できた。一旦戻って──ッ!!『我が身体は城壁の如し』【城壁ノ守護】!」
台詞の途中で飛来した【火球】をアドルフが盾で受け止める。
「コウキ!『鑑定』を」
「はい!『鑑定』!」
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なし LV101 Age12
種族:コドモドラゴン〔魔物〕
称号:
体力 20000
魔力量 10000
魔力 9800
筋力 30000
敏捷 20000
耐性 50000
魔耐性 9000
〈技能〉:火耐性Lv8 炎操作Lv6 炎纏Lv3 火属性魔法Lv4
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「出ました!最低値、魔耐性9000の最高値耐性50000です! 」
光輝がアドルフにそう叫ぶ。
「光輝の『ステータス』も『限界突破』の反動で下がってる今、万が一があると危険だ。一旦『転移結晶』で帰還するぞ!レイトのことは一旦後回しだ!」
「「「了解!」」」
各々が『転移結晶』に魔力を流し込み、光に包まれる──
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「くっ、冒険者の収集を急げ!」
「おいっ!こっちにも火の手が!【水属性】使いはいるか!?」
「こっちは怪我人だ!誰か【回復魔法】を使えるヤツはいるか!?」
──【転移】特有の光が晴れ、彼らの目に入ったのはそんな、戦地の様な光景であった。




