戦闘訓練
今回は零刀が少しだけチートっぽいかも知れません。
あと、テストがあるので10月の間少しばかりペースが落ちるかも知れません。
異世界召喚3日目である。
(ふう、よく寝たな。『ステータス』)
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神野 零刀 LV1 Age15 男
種族:人間
職業:練成師
称号:異世界人
体力 100/100
魔力量 17/17
魔力 400
筋力 70
敏捷150
耐性 50
魔耐性 200
〈技能〉:練成Lv6 魔力感知Lv1 魔力操作Lv5
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(ん、魔力全消費からの回復で大体2ずつくらい増えてるな。昨日分かったことだけどやっぱり魔力枯渇になったら全回復しないと魔力を操作できないから魔力量を上げるにも考えないと…)
と考えていると
“コンコン”
とノックされた。
「はい」
と返事をすると、リーシャが部屋に入って来る。
「おはようございます。レイ様」
「おはよう、リーシャさん」
「今日は戦闘訓練が行われるので服装は訓練服で朝食をとり、3時間後に第一訓練所に集合です。武器や鎧などは訓練所においてありますので持ち物は特にありません。ここまでで質問はありますか?」
「いえ、大丈夫です」
「それと、昨日頼まれていた鉄です」
「ありがとうございます。助かります」
「いえ、ほかにも何かございましたらお申し付けください」
「はい」
「では、30分後準備が出来次第食堂で朝食をとってください。ではこれで失礼します」
と言って退室する。
(まだ時間はあるな。そういえばこれも昨日分かったことだけど『練成』みたいな魔力を使うスキルは魔力が足りないとうまく発動しないんだね。)
実際、昨日の『練成』の最後の実験では1ヶ所に金属を集めてから分離しようとしたのだが魔力が足りずに失敗してしまったのだ。
(全回復の状態ならできるかな?)
と、ベットの金属部分に魔力を流して『練成』行う。しかし、何も起きなかった。
(うーん、やっぱり『魔力操作』のLv.が足りないのかな?)
大体の正解を導き出す。
(『魔力操作』のLv.も上げないとな。そう言えばラノベとかアニメ、ゲームとかだと身体に魔力を流して身体強化とかするよね。できるかな?)
零刀は思いつきでやってみる。
(魔力は血管を通っているからそこから少しずつ全身に染み出して行くイメージで身体に魔力を行き渡らせる。)
すると、透明なモヤモヤしたものが身体から出てオーラのように揺れている。
─スキル『身体強化』を習得しました。
(うん?これって漏れてるのか…、ならもう一回魔力量を減らして、細胞一つ一つに染み渡って巡る感じかな?)
するとさっきまでのモヤモヤはなくなりさっきまで以上に力が湧き上がって来るようだ。
(これで何かしてみるかな?あ、もともと力はそんなに強くないし、握力に作用する筋肉にだけ身体強化をかけて)
昨日の帰りに練成用に拾ってきた石を思いっきり握る。
パキパキパキ、パキン!!
(えっ、バラバラになっちゃった。とりあえず『練成』で直しておこう。)
─一定量以上の経験と知識を検出しました。スキル『身体強化』のLv.を1から5までアップさせます。
─一定量以上の経験と知識を検出しました。スキル『魔力操作』のLv.を5から8までアップさせます。
―スキル『練成』のLv.が上がりました。
(うん、上がった。『ステータス』)
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神野 零刀 LV1 Age15 男
種族:人間
職業:練成師
称号:異世界人
体力 100/100
魔力量 2/17
魔力 400
筋力 70
敏捷150
耐性 50
魔耐性 200
〈技能〉:練成Lv6 魔力感知Lv1 魔力操作Lv8 身体強化Lv5
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(スキルはなかなか上がってきてるね。スキルは知識を持っているだけじゃなくてそれを実行する事によってレベルが上がり、応用などをする事によってもレベルが上がるんだね)
と少し復習しながら着替える。
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零刀は昼食を食べ終え図書室に行き、本を読んだ後で訓練所に向かっている。
その途中で光輝たちに会う。
「あ、レイ。どこにいたの?」
「図書室で本を読んでたんだ」
「また読んでたんだ。飽きないね」
「うん、それでね、なんか新しいスキルが増えたんだ」
「へぇ、どんなのとったの?」
「鈴気になる?えっとね、『記憶管理』って言うスキル」
「へぇー、どんなスキルなの?」
「物事を覚えた後にその記憶を引き出しやすくするスキルだよ」
「勉強が楽になるね」
「と言うよりレイは前から記憶力高かったしね」
「そう?自分じゃああまり分からないけれどなぁ…」
「でも、なんで今なの?」
と彩がきく
「えっとね…」
~~~回想~~~
「はぁ、本は良いなぁ…」
─スキル『記憶管理』を習得しました。
一定量以上の経験と知識を検出しました。スキル『記憶管理』のLv.を1から10までアップさせます。
~~~回想終了~~~
「って感じ」
と、スキルの習得経緯を話していると訓練所に着く。
「良し!気合い入れて行くか!」
「「「おぉー!」」」
「じゃあ私、後衛組だからまた後でね」
「うん、じゃあねー」
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皆が集まってしばらくすると、アドルフさんが現れた。
「良し、今から戦闘訓練を開始する!だがその前に自分の武器を決めてもらう。武器庫に案内するから自分で使いたい武器を選んでくれ。」
と言われて各々が武器を選ぶ。零刀が選んだのは片手用直剣である。
ほかの人は自分の職業に合った武器を選んでいる人や全く違う武器を選んでいる人もいた。
ちなみに光輝と隆静は零刀と同じような片手剣で、『槌師』の鈴はメイスを選んでいた。
そして、アドルフが言う。
「今から模擬戦を行う!!」
そして、1人ずつ順番に模擬戦をやっていく。
当たり前のように地球では戦ったことが無いのでどんどんやられていくがその度にどこが良くてどこが悪いのかをアドルフが言い、的確なアドバイスをしていく。そのことによってもともとステータスの高い異世界組は次第に動きが良くなり少しずつではあるが洗練されていく。
大体一人当たり数試合ずつやっている。
そのなかでも抜け出て居たのは勇者である光輝と守護騎士の隆静だった。しかし、光輝は持ち前の高いステータスでの力押しであったため、最初の騎士は倒すことができたが、そのあとのアドルフとの戦いでは全く歯が立たなかった。
隆静は一応実家が剣道場なので、すこしなら技術もあったがそれでも剣道の技術でしか無く、光輝と大体が同じような結果だった。
そして最後に零刀の番だ。
「零刀です。お願いします」
「非戦闘職だからと言って手加減はしないぞ」
「はい」
「では両者位置につけ」
と言われ、位置につく。
「はじめ!」
開始されたがどちらも動かない。
「来ないならこっちから行くぞ!!」
と言って騎士が距離を詰め切りかかってくる。
それを零刀は見ている。なのになぜ動かないのかと見ている全員が思う。
そして騎士が剣を振り下ろした瞬間、零刀は剣を動かした。
そして騎士の剣の側面に自分の剣を押し当て、そこから力を入れて自分の後方に押し流す。
「...は?」
そしてそのままバランスを崩して倒れる騎士の首筋に剣を軽く当てる。
騎士も周りの人達も呆けている。
「えっと、僕の勝ちでいいんですよね?」
と言うと審判ははっ、と気づいて
「勝者、零刀!」
という。
そして
「ククク、フハハハハ!」
とアドルフが笑い、周りの人達がギョッとする。
「剣を受けるのではなく逸らすか。剣術のスキルも無かったはずの『練成師』が!いい、よし、俺とやろうじゃないか。」
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ガン! ギン! ガギン!
「ハッハッハ!!こりゃあ、おもしれぇ!これならどうする?」
と言って3つの斬撃を立て続けに放ってくる。
「くっ!」
それを受けるのは零刀である。零刀は自分に向かって飛んでくる斬撃を見ながら考える。
(どうしてこうなった…)と
「はぁあ!」
という気合いのこもった声とともに腕への『身体強化』のギアを上げる。
そして3つの内2つ斬撃を逸らすと、強化3つ目を避けながらアドルフとの距離を詰めその勢いのまま突きを放つ。
アドルフはそれを切り上げる。
キン!と澄んだ音を鳴らして、零刀の手から剣が離れる。
(ふむ、なかなか良かったが─、こんなものか)
誰もが静かに見守る中、隆静が突然声を上げた。
「ダメだ!」
その時だった。アドルフを含み誰もが「終わった」と思っている中、アドルフが零刀のことを剣の腹で殴り飛ばした。
そして零刀は少し転がりガクッと膝をつく。
それからアドルフが言った。
「それにしても[飛斬]も逸らすか…」
「全てをよけられないような位置でやっといて何を言ってるんですか。こっちは完全な素人ですよ」
「それを逸らすお前も素人とは思えないがな」
と言って少し考え
「やはり、『身体強化』を使ってたな。それも部分強化で2箇所以上に、しかも筋肉とかの一部分に掛けて消費を減らしてやがる。あとは目か」
と、ここまで当てられた事に驚く零刀。
それに対してアドルフは苦笑し
「そりゃあこれでも騎士長やってんだ。それに魔力感知だって使えるがこれだけ見事な『身体強化』は滅多に見ない。やり合わなかったら気づかなかったさ」
「そう、でしょうか?ありがとうございました」
「おう!またやろうぜ。」
「ははは、考えておきます」
(出来ればもうやりたくないかな)
と言い合い、訓練が終わる。
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(あれは、何だったんだ…?)
アドルフは団長になった時に与えられた自室で1人、考え込んでいた。
(剣の技術はともかく戦闘能力も力も魔力で補ってはいるが2人には届いていない。実際、俺の前にやりあった奴もほとんど不意打ちみたいなものだった)
しかし、
(あの時、視線や雰囲気、体重移動などを見ている限りではあるが剣を弾かれた後、あそこで止めて置かなければ─)
(─確実にもう1歩踏み込んで素手で喉を突きに来ていた)