一周年記念 『学園祭』
題を見ればわかるようにコチラも書き始めてから一年が経ちました。
これも読者の皆様のお陰です。
これからもこの【我が道】をよろしくお願いします。(【戦いたい】の方もよろしくお願いします)
向こうでも書いた学園祭をこちらのテイストで書きました。
変わってるところも多いのでお楽しみに。
それでは感謝を込めて、どうぞ!
ちなみにこの投稿は本日7月29日より一週間後に『勇者said:彼ら彼女らは、ようやくその地に辿り着き──』との入れ替えさせて頂きました。
理由は単に切れの問題です。
──ある学校の1クラスでそれは行われていた。
「これからぁ!学園祭の出し物決めを始めるぅ!」
「「わぁぁぁあああああ!!!」」
隆静の言葉に周りが歓声を上げる。
「あの、さ。一応僕が学級代表なんだけど……」
おずおずと手を上げて発言する光輝に隆静は
「光輝はしばらく黙ってろッッッ!」
「はっ、はいぃぃい!」
怒声で応じた。
「……光輝、ドンマイ」
「うん、ありがとう。何だか変な感じになってきちゃったね」
零刀が光輝の肩を叩きながら励ますと、すぐに立ち直った。
……このとき、周りの人たちが固唾を呑んでいたり、一心不乱に何かを描いていたのだが二人は気がついていない。
そんな中で、『出し物決め』はさらにヒートアップしていく。
「食べ物屋さんなんてどうかな?」
「お化け屋敷も捨て難いだろ!」
「はっ!やっぱここはメイド喫茶で──」
「男子サイテー」
「マジないわー」
「なんだとぉ!」
掴み合いにまで発展し始めていた。
「メイド喫茶……普通に飲食店でもやればいいのに」
「あれ?レイ君はそういうの興味ないの?」
「んー、メイドって言ってもただフリフリの制服を着た店員でしょ?外見や上辺だけを着飾ったところでそこにその人の本質はないから……特にはないかな」
ピタリ、とみんなの言葉が止んだ。
「あの、射的なんてどう──」
「「「うるさい!光輝は黙ってろッッッ!!!」」」
見事にハモった。
「えっ、ええぇぇ……」
「光輝、ドンマイ」
そんなやりとりもあったが、今は誰も見ていない。
「零刀!何故だ!何故メイド服の素晴らしさがわからない!?」
「いや、だってアレってただの服でしょ?……まあ、可愛い女子とかで客寄せをするっていうのは悪くは無いと思うけど……」
「だよな!」
「でも、厨房はどうするの?女子が表で働くんだったら男子は裏方……つまり厨房になるわけだけど……結局自由時間くらいしか見れないよ?」
その言葉を聞いて、男子は沈黙する。
「いいぞー神野君!もっと言ってやれー!」
「そのまま論破しちゃえー」
それを聞いた女性陣がここぞとばかりに後押しする。
「う……だが!お前だって本とかで読んだことがあるハズだ!見たいと思わないのか!?」
「隆静、僕はライトノベルも読むけどそれだけじゃないし、だからこそ表のこと以外も知ってる。メイドって上下関係はキツいし労働時間は長いし、ものによっては待遇は悪いし……そう考えるとメイドって言うものには惹かれないよね」
──こうして争いは収まり、普通に飲食店へと決まったのであった。。
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──学園祭、当日。
「……で、僕は裏方なのね」
「ああ……って言うか、お前以外に厨房に立てる男子って少ないんだよ」
「……だったら、やっぱりメイド喫茶は無理だったよね」
「……そう、なんだよな」
零刀の正論に隆静は申し訳なさげにそう言った。
「……って言うかさ、まあ、学園祭レベルだと仕方ないのかもしれないけど……この組み合わせはどうなのさ」
そう言って、現在進行形で作られているたこ焼き、焼きそば、お好み焼き、そして自分で作っているオムライスに目を向ける。
「いや、だって学園祭の定番は外せないし、せめてメイド喫茶がダメならば喫茶という形だけでも……」
「それで?欠員が出たせいで休憩中以外の人で作れるのが僕だけだったと」
「……ホントすんません」
零刀の冷たい視線に耐えきれず、そう謝罪する。
過去を一部思い出せない彼であるが、そこにはかつての片鱗が垣間見えていた。
「はぁ、まあ、こうなっちゃったのは仕方ない。他の仕事は任せるし、作れる人が帰ってきたら交代だからね?」
「ああ、わかってる。後は頼んだぞ!」
そう言って、逃げるように去っていった。
「さて……こうなったからには仕方が無い。……誰もが驚くふわっふわのオムライスを作ってやろう」
そう挑戦的なことを言って浮かべた笑みは、少しの獰猛さを含んだものであったことは誰も気づくことは無かった。
──そうして作られたオムライスは零刀の宣言した通り、食べたものが驚く程ふわふわで、途中から零刀が仕事を終えるまでの時間限定で『ふわふわオムライス』という別のメニューとして売り出されるコトになっていた。
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「交代お願いしまーす……って、レイ君?お疲れ様。厨房だっけ?」
「あれ、白瀬さん?いや、違うんだけどなんか欠員のせいで作れる人がいなかったみたいで……ふぁー、疲れたー」
彩が言葉をかけると零刀は答え、大きく伸びをする。
「あー、だからメニューが時間限定で変わってたのかぁ」
「ん?何かあった?」
「いや、特にこれといったことは無いんだけど……レイ君はこの後は?」
「ウェイターを少しやって、その後に休憩かな」
「そっか。じゃあ着替え終わったらレイ君に作ってもらった分持って行ってもらってもいいかな?思ったより繁盛しているらしくて人手が足りないみたいでさ」
「はーい。すぐ戻ってくるから。白瀬さんも頑張ってね」
「レイ君もね。あ、あと持っていく時に鈴ちゃんにラストって伝えて!」
「了解」
そんな会話をし、それぞれが仕事に移って行った。
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「ゴメンね、レイちゃん。間の休憩も無しに……」
零刀を見つけた鈴が駆け寄る。
「何回も言ってるけれど……レイちゃんは止めてって。それで、どうかした?」
「人の数が予想以上に多くて大変だからレイちゃんにお願いしようかとちょうど言いに行こうと思ってたんだけど……」
「ああ、白瀬さんから聞いたから……あと、これでラストって伝えてって」
と言って零刀を見る。
「うん、りょーかい。隆静!『ふわオム』ラスト!!」
「了解した!ただ今をもちまして『ふわふわオムライス』を終了とさせていただきます!」
鈴の言葉を聞き、隆静が客にそう伝える。
「じゃあレイちゃん。どこの席に届けるかはりあちゃんに聞いてきて!頑張ってね!」
「了解!鈴もね!」
そう言って零刀はオムライスを持ちながらりあの元へと向かう。
「戻りました!」
「零刀くん、あそこの席の人お願い!」
「はーい!」
そこには黒いローブの様なものを着ていて、フードを被っている人がいた。
(フードで貌が影で真っ黒になってて見えないや……他のクラスの人かな?お化け屋敷かなにかの服装のままできたのかな?)
「お待たせいたしました。『ふわふわオムライス』になります。ご注文は以上でお揃いでしょうか」
「ああ、頼んだのはこれでおしまいかな」
「では、ごゆっくどうぞ」
「あ、ちょっと待ってもらえるかな」
黒ローブの人物は零刀を呼び止め、その貌を見つめた。
「へぇ、キミ、面白い貌を持ってるね。でも、今は分厚い仮面を被っているのか。それも自分でハズせないと来た」
そう言って、浮かべた笑みが見えた。
「ふぅん、そうか。いつかハズレた時に、それが見れればいいな」
「──?」
零刀は理解できずに首を傾げる。
「ああ、こっちの話だ。気にしないでいいよ。じゃあ、これとこれを貰おうかな」
「──たこ焼きと焼きそばですね。承りました」
──こうして学園祭は何事も無く行われていった。
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「ふぅ、疲れた」
学園祭が終わり、片付けの合間にそう呟く。
「いやぁ、お疲れ様。お前のオムライス大好評だったぞ」
「ほんとにね。私も食べたかったくらいだよ」
隆静と彩が零刀にそう声を掛ける。
「それは嬉しいんだけどさ……そう言えば、変なお客さんがいたんだよね」
「「変?」」
「そう、お化け屋敷かなにかか知らないけど黒いローブを着てフードを深く被った人なんだけど……」
零刀がそう言うと、隆静は首を傾げる。
「そんなヤツいたか?って言うか第一、俺らの飲食店は仮装したままでの入店は禁止していたハズだからそれはありえないだろ?」
「えっ?でも、僕が作ったオムライスを最後に届けに行ったよ?」
「例えいたとしても、そんなに目立つ人ならレイ君が運びに行く直前に戻ってきた私が気づいてると思うんだけど……」
「……あれ?」
──こうして、学園祭は何事も無く、平和に終わっていった。
いやー、なんか違和感のある終わり方になってしまいました。
それにしても、学園祭は無事平穏に終われてよかったですね……ねぇ?




