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食は戦

今私の願い事が叶うならば、時間操作の能力が欲しい。


言ってみただけです。


それではどうぞ

「クハハハハハ!」


「あははははは!」


笑い声が響くとともに魔物の生命いのちがいくつも散っていく。


その場の魔物が尽きれば次の魔物を、次の魔物を。



──絶賛殺戮中である。



何故かと言えば、今いる階層の前が十層程、スライムの高位種であったり、食べられる様な魔物が居なかったのだ。


そのせいで途中食料が尽き、無理矢理不味い植物系統の魔物を食べて繋いできたのだ。


だからこそ、この階層に着いてからの二人の会話は、


「飯、確保、最優先」


「ご飯、あるだけ捕る。邪魔するものも、まとめて──」


「「殺し尽くす!!」」


という訳で、


「テメェは邪魔だ!【死ね】!そしてテメェは逃げるなっ!!」


「うふふふ、あははははは!ご飯が沢山。嬉しいな、嬉しいな!」


──こんな混沌とした状態になっているわけだ。


この後少しして、全力で調理していた。


それは文字通りの二人の全力だったが故に、零刀は『変質異貌』で触手や触腕を生やし、一部には鋭い爪まで生やして、いくつもの下処理を同時進行し、イリスは零刀が即席で作った調理器具を様々な『魔眼』を使って使用し、こちらもまたいくつも同時進行で作っていた。



──それは見る人が見れば戦場にも見えたであろう。


と言うか理解すらできなかったかもしれないが……



「はァ〜〜、食った食った」


「ん、食は、すばらしい」


「それにしても……調理場は戦場だとはよく言ったもんだな」


「うん、今まで作ってくれてた人たち、ありがとう……!」


その言葉を最初に言った者もさすがにあのレベルまでは考えていなかっただろうが……


「……戦場、か。お疲れ様だな、イリス──我が戦友よ」


「ん、戦友。一緒に戦場を乗り切った」


調理を終え、久しぶりにまともなものを食べた二人にはよく分からない、と言うより二人にしか理解できない絆が生まれていた。



「あ、階段みっけ」


「おっ!近くにあるとか丁度いいな。──さて、この階層の魔物は大体喰い尽くしたしな」


「うん、行こう」


そう言って階段をしばらく歩くと、出口が見える。


「──っと、その前に、ホレ」


「……これ、胸当て?」


「ああ、一応何があるかわからないからな。重い鎧とかだと相手の遠距離攻撃を躱せないからな」


そう言って頬を掻く。


「……素材は黒耀石?でも、質感がだいぶ違う……変質してる?と言うよりも、どうやって……?」


「まあ、アレだ。俺は『錬成師』だからな」


「……忘れてた。けど、零刀の防具は?」


イリスの言うように零刀は今防具を着けていない。


イリスとの戦いで零刀が変質・変異させてしまったため、使えなくなってしまったのだ。


「まあ、俺はある程度の攻撃なら表皮を鱗に変えたりできるし最悪、『再構成』でどうとでもなるからな。今ならたぶん、あれもできるしな……それと時間と余裕が無かったってのも一つの理由ではあるがな」


そう言うと、着けるのに苦戦しているイリスを見る。


「ほら、来いよ。着けてやるから」


「ん、ありがと」


「どういたしましてっと、キツくないか?」


「……それは、私の胸が無いと?」


「誰もそんな事言ってねぇだろ?!唐突だなぁおい!ったく行くぞ……って、なんだアレ?」


零刀の視線の先には黒い霧のような人型をした魔物がいて──


「『解析』」


------------------------------------------------------------

なし LV1 Age ─

種族:深淵に座すアビスもう一人の自分ドッペルゲンガー〔魔物〕

称号:

体力 1/1

魔力量 1/1

魔力 1

筋力 1

敏捷 1

耐性 1

魔耐性 1


固有技能ユニークスキル〉:写見うつしみ 本質理解 全模倣オールコピー


技能スキル〉:


------------------------------------------------------------



「Lv1の……『深淵に座すアビスもう一人の自分ドッペルゲンガー』?」


「……!?ダメ!逃げて!」


零刀に遅れて【鑑定眼】を使用したイリスが叫ぶ。


「は?お前、どうして──」


「違うの!あいつは普通の魔物じゃない!」


「名前からしてヤバそうではあるが……」


「『深淵に座すアビスもう一人の自分ドッペルゲンガー』は普通の『もう一人の自分ドッペルゲンガー』と違って『技能スキル』だけでなく、技術までもをコピーし、記憶や思考までもコピーする上、その『本質』でさえも写し取ると云われる伝説の魔物でランクはSSS。

大昔に現れた時には国がひとつ滅んだこともあるバケモノなの!」


そう説明するイリスの必死さを見て、さすがの零刀も冷や汗を流す。


その間にも深淵に座すアビスもう一人の自分ドッペルゲンガーには灰色の髪が生え、零刀を形取る。


(クッ、不味いな。だが、あの変化速度だと、背を向けた瞬間に殺られる──)


零刀が思うように、もう既に変化は終わりに差し掛かり──




──触手が、生えた。



「「「──へ?」」」


三人の驚きの声が響く。

身体の構造も記憶も第三者としてコピーしている。つまり自分の弱点すら理解している深淵に座すアビスもう一人の自分ドッペルゲンガーでさえ予想していなかった事態が起きているのだ。


続いて、様々な所から触手が生え、身体の原型が崩れていく。



「何だ、あれ……」


最終的に、ドロドロのスライムの様な身体からいくつもの触手や触腕が生え、所構わず様々な魔物の頭が生え、それが無いところには顔が浮かび上がっている。


「……『解析』」


------------------------------------------------------------

不明 LV不明 Age 不明

種族:不明〔不明〕

称号:

体力 不明

魔力量 不明

魔力 不明

筋力 不明

敏捷 不明

耐性 不明

魔耐性 不明


固有技能ユニークスキル〉:不明


技能スキル〉: 不明


------------------------------------------------------------



「……おい」


「……アレは、本質を写す。『ステータス』も零刀とそっくり」


「いや、『ステータス』はともかく流石にアレはちげぇだろ。……ちげぇよな?違うと思いたい」


手と膝を地につき、ガックリと項垂れる。


「グォォォオオオオ」


「あ、何か自壊し始めた。自分で自分を『否定』しあって【破壊】して、【死】を与え合う……つまり殺しあってる」


そしてイリスはチラリと零刀を見ると


「……あなたの『本質』、そっくりだね?」


「グハァ!?」


零刀に止めを刺した。


「……【喰らう者ソウル・イーター】、気に入らんから喰い尽くせ」


零刀はガバリ!と起き上がると、自壊しきる前に竜の顎を生み出して喰わせる。


「──美味しかった?」


「なわけあるか。やけ喰いだ。それにこれだと味はしねぇ」


そう言って歩き出す。


「ふむ、面白いことを考えた。意外な収穫もあったものだな」


「なら、良かった。苦労した甲斐があった」


「お前は何もしてねぇがな」


そんな二人の距離は、確実に縮まっているように見えた。

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【『ハズレ』と言われた生産職でも戦いたい!!】
並行して書いているものです。

【ココロミタシテ】
何となくで書いた詩です。
これらもよろしくお願いします。
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