魔王+否定
切りよく書こうとしたので少し短いです。
それではどうぞ
「さて、と。食休みもこれくらいで十分だろ」
零刀がそう言って、残りの骨やら何やらを黒い魔力で覆い尽くし、【破壊】して魔素へと還すと、そのまま『黒剣』を振るい【破黒飛炎斬】を飛ばす。
「ギャアアアア!!」
その先では遠距離から岩を投げようとしていた豪腕剛力羅が断末魔を上げている。
「……その黒い【炎】、あなたの魔力性質を強く宿してる……?」
「いや、正確に言うと俺の性質が【炎】を形どっている、ってのが正しいな」
そう言いながらも再度、右手の黒剣に【黒炎】を灯す。
「思えばだいぶ【黒炎】に助けられてきたな。それに、この剣にもな」
「……あなたの本質はあなた自身でも、ある。だから、あなたが助けられたと言うよりも、あなた自身のチカラで、あなた自身が自分で助かってきた、だけ。さすがにその剣については、わからないけど……『魔素』を見る限り、恐らくは──」
「──俺の【破壊】の『性質』そのものだってか?」
「気がついてたの?」
「……まあ、な。俺にはそれを見ることができるし、知ることもできるからな。それに、俺の『生体魔素』から作ってるんだ。そりゃあ自分の『性質』に適応できるわな」
後半は少し独り言のようであったが、そう語る零刀は優しげな笑みを浮かべていた。
「……それは、やっぱりこっちの剣も?」
イリスは左に持つ『白剣』を指差し言う。
「まあ、な。こっちもこっちでヤバイ気もするが」
「『瘴気』の活動を阻害し、停止させるチカラとあなたの『否定』の本質が混じり合うことによって生まれた性質。それは──【死】」
零刀は隠し事がバレた子供のように照れくさそうに頭を掻く。
「隠していたつもりは無かったが……なんだ。そこまでわかっていたのか。流石はいい眼をお持ちで」
「ん、『魔眼の王』は伊達じゃない」
「だろうな。そこまで二つの異なる『本質』を使えているんだ。伊達じゃないだろうな」
「気づいてたの?」
「まあな。あそこまでコントロールできてるんだからな」
少し驚いた様子のイリスに零刀は何でもないように返す。
「不思議。初めてアレを見た人は大体が在り方に怯えて、チカラに恐怖するのに」
「まあ、俺も伊達にヤバイ『性質』してねぇからな。……アイツらに会ったらなんて言われることやら」
「──私は、拒絶しないから。そのチカラだって、使い方次第。現に私はその【死】に助けられた」
「……そう、か。──さて、この話は終了だ。イリスの『眼』なら見えているだろう?」
「うん、当たり前」
それを聞いた零刀は背を向けると『白剣』に【死】の『性質』を、【紫氷】を纏わせる。
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目の前の少年が駆け、何も無いように見える空間を切り裂くと断末魔が上がり、土煙が上がる。
(不可視なる亜竜。『魔素迷彩』の『技能』を持っていて周囲の魔素そのものに溶け込むため、『魔力感知』でもその姿を捉えるのはほぼ不可能で、『魔眼』や『空間把握』などの『技能』持ちがいなければ戦うことすら困難な魔物)
持ち前の『魔眼』でその正体を見ながらひとつため息をつく。
(何故彼が『魔眼』すら持っていないのにも関わらず視認できているのかも、わからない。……わからないこともそれだけじゃ無いけど──)
目を閉じ、自身の【魔王】を冠する魔力を高めていく中、零刀に助けられた時のことを思い出す。
(あの時の彼の『否定』は、暖かかった。だからこそ、その『本質』を知りたくなった。それを、知るためにも、邪魔するアナタたちは──)
魔力が強く脈打つと同時に目を開き、そこにいる魔物を見据える。
「──殺してあげる……!!」




