階層主(フロアボス)2―2
一回書いたやつが全部消えたアアアアア!
変なところがあったら報告お願いします。
それでは、どうぞ
【黒耀の城壁】で炎竜の吐息を防ぎながら左手を持ち上げ──
「仕方ねェ、不確定要素が多すぎるが、死ぬよりは、何より【理不尽】に屈するよりはマシだ」
──左眼の眼帯を取り払った。
瞬間、零刀の左眼から濃い、紫色の霧のようなものが溢れ出す。
──それは『瘴気』。
この階層に来てからは魔物の保有する『瘴気』の量が増え、それを喰らうことで『瘴気』が増え続けた結果濃縮され、濃い紫色になっていた。
(この『ステータス』の差を覆すためにはこのままじゃあ勝てねェ。俺の予想が正しけりゃァ、これで何とかなる──というよりもコレしかねェ)
炎竜の吐息が、止んだ。
「さァて【理不尽】、文字通り死力を尽くしてテメェを【否定】してやる」
紅と紫の瞳が獰猛な耀きを放った。
一度、『黒剣』を鞘にしまい、【黒耀の城壁】に両手を着いた。
「手始めに、『錬成』」
吐息が完全に止んだのを確認すると、『錬成』を使って【黒耀の城壁】を三つに分けていく。
炎竜は警戒するような眼差しで、空中に留まっている。
三つに分けた内、真ん中の黒耀石に飛び乗った。
「さァ、行くぞ!『錬成』!」
黒耀石に両手を着くと『錬成』で形状を変化させて炎竜目掛けて伸ばす。
炎竜は多少驚きながらも【炎球】を放ち、零刀を迎撃せんとするが
「その程度で止めれると思うな!『錬成』!!」
両わきを進んでいた黒耀石を先行させ【炎球】を防ぐと、零刀はまだ熱が残るそこを通り抜けていく。
「あめぇんだよ!『黒き耀きを放つそれは、我が敵を穿つための鋭さを持っていた』【鋭化】!」
先行していた二つの黒耀石は鋭利に尖り、炎竜を貫かんとする。
それを少し大勢を崩しながらも回避するが─
「だからあめぇって言ってんだよ!『それは大樹が枝を伸ばすかの如く分かれゆく』【枝分かれ】」
「グルオオオオ!?」
──突然、枝状に分かれ始め炎竜を包囲する。
(ただ単に攻撃するだけじゃあダメだ。あの鱗がある限りダメージは大して通らねェ。だからこそ、イメージするのは中国武術の『八勁』──)
零刀の左眼が紫色の耀きを放ち、それと同時に『瘴気』が溢れ出る。
それを零刀は『魔素支配』を使って無理矢理左腕に纏わせていく。
「ハアアアアアア!」
指を曲げ、左腕を大きく後ろに引き絞る。
「ラァアア!【瘴打】!」
肩甲骨辺りの筋肉から肩へ、肩から腕へと力を伝えていき、炎竜に【瘴打】が叩き込まれる。
腕に纏っていた『瘴気』がすべて流れ込み、炎竜を吹き飛ばす。
周りの黒耀石を砕きながら飛ばされた炎竜はすぐに体勢を立て直すが──
「グ、ガアアアアアアア!」
威嚇でも怒りでも無く、ただただ、苦痛に苦しむ咆哮が響き渡った。
「そとからがダメなら内側からってなァ!」
──『瘴気』は生きているものを蝕み、死に到らせる。
それは、そのものの保有する『生体魔素』を蝕み、活動できない状態にする。即ち─
「─死を与えるってなァ!」
落下しながらも炎竜を見据える。
(……痛っ!さすがに腕も無事って訳にはいかなかったか……『生体魔素』がやられてっから簡単には『再構成』できねェし、使えてあと一回ってカンジだなァ)
『魔力』を込めた『黒剣』を投げて地面に刺すと、地面を『錬成』し、隣を通る際に黒耀石に『変異』させる。
「せいぜい足掻きやがれ【理不尽】!」
黒耀石がまるで生き物のように炎竜を追いかけて行く。
今度は包囲されないためにも大きく回避していく。
下からも黒耀石が襲ってくるのを身体を捻り、回転するように躱すと
紅と紫色の輝きを放つ眼と目が合った。
「よおォ」
先ほど躱したばかりの黒耀石に逆さまに掴まっていた零刀はニタリと口角を上げて、掴まっている黒耀石の足場を強く蹴る。
黒い魔力を纏った右手で先ほど【瘴打】を打ち込んだ胸部を再度打ち『魔力』を流し込み『錬成』する。
【破壊】の性質を持つ黒い魔力は『生体魔素』に阻害されること無く鱗を【破壊】し尽くしていき、最後に『魔力』を一気に放出することで衝撃を生み出す。
炎竜の体勢が崩れるだけで大したダメージは入っていないが
「これでいい」
飛ぶ速度が落ちた炎竜を再度操作した黒耀石が地面目掛けて殴り飛ばす。
そこは、先ほど『黒剣』を突き刺した位置からほんの少しズレたところ。
「動くなよ──『我が望むは貫き、地へと縛り付ける数多の剣。それら全ては黒き耀きを放っていた』──【黒耀の剣山】!」
「グルラアアア!」
地面から黒い剣が生え、炎竜の翼を貫通して、仰向けの状態で地面に固定した。
再度黒耀石を蹴り、加速し、落下する。
零刀の左眼が再び輝き『瘴気』が溢れ、左腕へと集まっていく。
「死にらさせェ!クソ【理不尽】!」
指を曲げ左腕を後方に引き絞る。
「ハアアアアアア!【瘴打】!」
「ガアアアアアアア!」
炎竜の鱗の無くなった胸部に【瘴打】を叩き込むと、その衝撃で土煙が辺りを覆う。
少しすると土煙が晴れる。
「まだ、生きていやがンのかァ。ホントにシブてェな」
『生体魔素』は『瘴気』に侵され、炎竜は声をあげることすらできないような死に体であったが、それでも生きていた。
「まァ、俺のやることは変わんねェな」
左腕をダラリと下ろしたまま『黒剣』を引き抜く。
「テメェも必死に生きてんのかも知れねェが…俺はこんなところで【理不尽】に屈するわけには行かねェんだわ」
『黒剣』に【黒炎】を纏わせて振り上げる。
「俺は【理不尽】を【否定】し糧にして俺の道を行く」
『黒剣』が振り下ろされ、炎竜の首を切り落とした。




