本質
新しい年が始まりました。
今年もよろしくお願いします。
【戦いたい】と同時投稿です。
そちらもどうぞよろしくお願いします。
「…さて、軽く試していってみるか。いざって時に使えねぇと困るってもんじゃねぇからな」
─威力も知らないで使って自爆なんてことになったらたまらないからな。
と思い新しく取得した『技能』の検証をする。
「『錬成』はもういいだろ。さっき使ったけれど少し使いやすくなったかな?、くらいだったしな。『魔素支配』からか。『魔装』とか『魔纏』、あと『身体強化』が無くなってるってことはこれに統合されたって事だろうしな。…とりあえず全部使ってみるか」
と言って右手に【魔装】、左手に【魔纏】、全身に【身体強化】を行う。
「…問題無く使えるな。いつもよりロスも少ない。でもやっぱり【魔装】の魔力は黒くなってるか」
もともと『魔装』という『技能』は属性を付与することもできるのだが─
「─意識してねぇと触れたものが壊れるな」
右手で触れた小石が壊れていき砂のようになる。
「俺自身は耐性があるみてぇだな。次は【感知】もしてみるか【魔力感知】は─いつもより精度か良くなったな。あとは【魔素感知】もできんのか」
(…範囲は狭めでやるか。もし、大気中の『魔素』やら土を構成する『魔素』まで感知されるんだったら脳が焼き切れるだろうからな)
そう思い狭い範囲で【魔素感知】を使用する。
「うお!?マジで思った通りだった!?…危ねぇ、もしいきなり広い範囲でやってたらマジで脳が焼き切れんぞ」
と言いながら精度や範囲を調整していく。
「…よし、こんなもんか。できるだけ常に使っとくか。…それにしても思考系の『技能』が欲しいな。しばらく頑張ってみるか」
と、心に決めて次の『技能』の検証に移る。
「んで『再構成』か。つーか今さらだけど服とか皮鎧とかも『再構成』されてんだな。…まぁ、身体戻ってんだから今さらか。んで、『生体魔素』ってなんだ?」
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生体魔素
生物、もしくは生命体などを構成する魔素。
【備考】
生体魔素の一部には貯めることでその生物を構成する魔素に働きかけ、Lvを上げる効果のある『経験値』と呼ばれるものがある。
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「…そうか、ってことは『生体魔素』が無いと身体の『再構成』ができなくなるのか。…いや、手とか残ってれば『生体魔素』として還元して『再構成』できんのか。それでも距離があったり燃やされたりしたらダメなのか?…どっちにしろ『生体魔素』はあった方がいいな。…『変異』で変換できんのか?」
といって『変異』を使う。
「『魔力』から『生体魔素』へ変換…失敗。変換過程で1度『魔素』へ変換…、よし、できることにはできたけど、変換効率が悪いな。多分『生体魔素』自体が『魔素』がいくらか集まって『変異』したものなんだろうな。だとすると、あとは外部からの補給か」
ふと、あることを思い出し辺りを見回す。
「そう言えば『喰らう者』の検証してねぇな。うーん、さすがに普通に喰ってもロスが出るしな…。…ちょっと試してみるか」
少しの間、考えてから言葉を紡ぐ。
「『我が魔力よ、顎を成して喰らい、我が糧とせよ』【喰らう者】」
─瞬間、零刀から黒い魔力が溢れ出し、カタチを取る。
─それはまるで竜の顎のようなカタチを成した。
「グッ、マジか、どんだけ魔力持ってくんだよ」
そして、近くにあった死骸を片っ端から喰らい始めた。
(…対象指定を『死骸』にしたのが悪かったか。個別指定しとけば良かったな)
ひと通り喰らい尽くした魔力は零刀の中に戻っていく。
「…魔力は戻ってくるから辛いのは使ってる間だけか。まあ、トラとなんか分からんがオマケ見たいなやつが何体かいたからな。その分魔力も持ってかれたんだろ」
と、当たりをつける。
(まあ、これで『無属性魔法』にも魔力の性質が反映されることが分かった。んでもって、【破壊】は『魔力』まで効果が及ぶが『魔素』までは及ばない。『生体魔素』は【破壊】の効果は薄くなるか。『魔耐性』やLvが高かったりすると効果はもっと薄くなるんだろうな)
「これで『生体魔素』の補給方法は問題ないな。まだ心許無いが…っと、確認しておくか『ステータス』」
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神野 零刀 Lv25 Age15 男
種族:不明(現在解析中)
職業:練成師
称号:禁忌 再生 変異者 喰らう者
体力 1000/3000
魔力量 2000/2000
魔力 3000
筋力 4000
敏捷 3200
耐性 4500
魔耐性 4000
〈固有技能〉:錬成 魔素支配 再構成 完全記憶 解析 無属性魔法 変異
〈技能〉:剣術Lv7 瞬動Lv5 魔道具作成Lv5 痛覚耐性Lv10 魔力回復速度上昇Lv7
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「今のでも効果は出るな。『体力』と『筋力』、『敏捷』が少し上がった感じか」
新しく取得した『称号』や『技能』の検証が終わった零刀は身体のことについて考える。
「多分、この体もこの性格も一旦全部【破壊】して、すべて『完全記憶』で思い出して『再構成』したんだろうな。その過程で色素が抜けちまったり、なんか瘴気が左眼に溜まってたりとかしてんだけどな」
(まぁ、生きていられた上に強くもなれてんだ。それに、思い出せた。つーかよ、普段被ってた強化外骨格みてぇな性格の方が定着して本質が外に出てこれなかったとか…まあ、一種の記憶喪失みてぇなもんなんだろうが─)
「─アイツらに借り、作っちまったな。礼言っとかねぇとな。その前に赤坂のヤローは1発ぶん殴らねぇとな。
そのためにも1回帰らねぇと」
と言って立ち上がる。
「そう言えばこの剣『解析』して無かったな。『解析』」
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黒剣
製作者 神野 零刀 (レイト カミノ)
製作者の魔力によって作られた剣。
詳細は不明。
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「詳細は不明、ね。俺と一緒か」
『解析』の結果に対して近視感を持ち、笑みを浮かべて歩き出す。
「さて、まずはこの迷宮からでねぇとな。とは言っても上に行けるかどうかも怪しいしな。とりあえず進むしか道はねぇな。んでもって─」
道の奥から狼のような魔物が現れて、襲いかかってくる。
剣に魔力を纏わせそれを切り払う。
「─俺の行く道を邪魔するなら、どんな理不尽でも否定してやる」
果たして零刀が歩む道はどのような道になるのか、それは誰も、召喚した神でさえもわからない。




