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谷底と絶望

今週最後になります。

来週は投稿できません。

再来週は頑張ります。

(──とりあえず現状を確認するのが優先か)


上を見上げて天井がまったく見えないことを確認する。


(登れそうにないか、というか自分のことながらよく生きてたね)


そんなことを考えながらポーチから回復ポーションを取り出して飲み干した。


(まず、脱出するための『転移結晶』はさっき確認したら落下した時に落ちて壊れていたから使用不可。

この崖はさすがに登れないし、それでもってここが何階層かすら分からない。出入口はひとつだけ。

持っているものはいくつかの魔道具と、一緒に落ちてきた剣と持っていた『ステータスプレート』か)


まだ少し剣に残っていた魔力を吸い上げるとピキッという音とともにひび割れ、壊れてしまった。


「…さすがに急激な魔力の移動には耐えられなかったか⋯⋯。そう言えばまだ細かく確認していなかったな…」


「『ステータス』」


------------------------------------------------------------

レイト カミノ LV8 Age15 男

種族:人間

職業:練成師

称号:

体力 100/180

魔力量 70/200

魔力 500

筋力 150

敏捷 200

耐性 500

魔耐性 420


技能スキル〉:練成Lv9 剣術Lv7 魔力感知Lv6 魔力操作Lv9 身体強化Lv6 記憶管理Lv10 自己修復Lv8 瞬動Lv5 魔道具作成Lv.5 魔纏Lv3 魔装Lv2 痛覚耐性Lv5 魔力回復速度上昇Lv5 害意感知Lv5 気配感知Lv3


------------------------------------------------------------




(もうしばらく経てば魔力も体力も回復しそうだね)


ある程度回復し、命の危機は脱したと実感した零刀はふと、自分が落ちた時のことを思い出す。


(……あのとき、『害意感知』に引っかかった害意は『嫉妬』と『殺意』…確実に殺しに来てた。あの緊急事態で、一体なぜ?)


転移トラップで飛ばされて、たくさんの魔物に襲われていたあの状況であそこまで明確な害意を持たれていたことに疑問を感じる。


そもそも、『害意感知』という技能スキルは王城にいた時に周りにいた一部の貴族や絡んできた奴らの害意に当てられ続けた結果手に入れた技能スキルだ。

その『害意』も嫉妬が多くそれも曖昧なものであった。

─まあ、明確ではなくとも強い害意を一定期間浴びせられていたから今のLv.なのだが……。


(…もしくはアイツらにとって不測の自体ではなかったのか?…考えても無駄か)


自分が落ちた時のことについて考察を巡らせていると、足音が聞こえた。


(っ!─まず!)


咄嗟に近くの岩陰に飛び込んで隠れる。


その直後に足音の主が現れた。


それは─


(トラ?異常に牙が長いけれど見た目トラだね)


牙が異常に伸びているトラだった。


トラは零刀に気づく様子も無く水辺の方に歩いて行く。


(落ちた時の音にでも引き寄せられたのかな?…っ、まずい!匂いで居場所がバレる!頼む、気づかないでくれ!)


しかし、零刀の願いも空しく先程まで零刀がいたところで止まり、こちらを向き前足を振り上げた。


(?何して─)


ふと、アドルフの使っていた[飛斬]を思い出す。


(っ、まさか、ヤバ─)


前足が振り下ろされ、斬撃が3本、飛んでくる。


零刀が動き出すも間に合わず、岩ごと左腕が斬り飛ばされる。


「ぐっ、ああああああ!!」


トラがゆっくり、ゆっくりと歩み寄ってくる。


(ヤバいヤバいヤバい、)


そしてトラは近くに落ちた左腕を食べ始める。


(っ、こいつ、何の『害意』も感じないと思ったら、餌としか感じてないのか!)


回復した魔力を急いで集中させ、『自己修復』を使う。


ふと、零刀を見て首を傾げるトラだが次の瞬間、獰猛な、そして嬉しそうな笑みを浮かべた。


(─おい、まさか)


最悪のことを考え、バランスを崩しながらも逃げ出そうとする。


それにトラは素早く飛びかかり、押さえ込む。


「ぐっ、やめろ、離せ!」


零刀はもがくがトラは微動だにせず、片足を咥え、引きずりはじめる。


「くそっ、離せ!」


未だ暴れる零刀を鬱陶しく思ったのか─


─零刀の左眼に爪を立て、抉り出した。


「ぎゃああああああああ!!」


悲鳴をあげながら引きずられていく零刀にはもう、抵抗心は無くなってしまっていた。





………………………………………………………………………………





(─ここは?)


どうやら少しの間気絶していたらしく、周りを見ると洞穴の様な場所にいることが分かった。


(確か、谷に落ちて、それで─)


そして、体も思い出したかのように激痛が走る。


「ぐっ、あああ」


痛みが走り、小さく悲鳴をあげる。


(─っ、『自己修復』のお陰で止血はされてるけど、さすがに短時間じゃあ部位欠損は治らないか─)


視界の端で何かが動く。


「っあ、ああ、あ」


(─そう、だ、痛みで一瞬忘れていた。こいつがいない訳がないじゃないか)


その影─トラはゆっくり、ゆっくりと零刀に歩み寄る。


零刀は逃げようとするが、恐怖により体が動かない。


零刀の服が前足の爪によって切り裂かれる。


トラは顔を零刀の腹に近ずけ─


「や、やめ─」


─喰らった。


「ぁあ、ぁぁああああああああああああああああああ!!」


零刀の悲鳴が、響き渡る。


ぐちゃり、ぐちゃりと音を立て、零刀を喰らう。


しかも、『痛覚耐性』が効いているのか、気絶することも叶わない。


(ぐっ、悲鳴なんて、あげてる余裕があるなら、死ぬ前に治せ!)


『魔力操作』で魔力を集中させ『自己修復』の効果を高める。


それを見て、トラがニヤリと、凶悪な笑みを浮かべる。



(─っ、やっぱりこいつ、知性があるのか!だとしたらこいつは僕に『自己修復』を使わせて喰い続けるつもりなのか!?)


トラはぐちゃり、ぐちゃりと音を立てて喰い続ける。


零刀はこの苦しみが続くことを想像し、絶望するのであった。




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【『ハズレ』と言われた生産職でも戦いたい!!】
並行して書いているものです。

【ココロミタシテ】
何となくで書いた詩です。
これらもよろしくお願いします。
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