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『害意』

そろそろ追いつきますね。



「さあ、始めようか」


「グルォォォオオ!」


悪魔が雄叫びを上げて迫り、大剣を振り下ろす。

零刀はそれを斜めにした剣で、受けて威力を流すが、流し切れなかった力によって軽く後ろに飛ばされる。


(やっぱり一撃が重いな…。あまり受けると剣が折られてそのまま両断か…)


零刀は悪魔の繰り出す斬撃を時に受け流し、時に避けながら思考を巡らせる。


(─って言うか少しずつ、ゆっくりとだけど傷が治っている?)


まだ比較的新しい傷はそのままなものの、最初にアドルフや光輝が付けたような傷は既に無くなっている。


「道理で少しずつ動きが素早くなってると思ったら…、足の傷も治ってきてるのか」


「グルァ!」


「っ、とあぶな!」


横薙ぎに振られた剣が零刀を掠める。


「『錬成』、【刺突針ニードル】」


いつの間にか中位悪魔の目の前に浮かんでいた鉄球が変形し、針のように鋭くなって眼を狙う。


しかし、当たる直前で首を傾けることによって掠めるだけにとどまる。


「グルァ!」


「っ、『瞬動』!」


悪魔の振るった大剣をギリギリ『瞬動』で躱す。


(死ぬかと思った…。残りの『魔力量』を考えると『瞬動』も多用はできない…、鉄球も魔力を糸状にして繋げて魔力の消費を抑えているとはいえそれで回避に『瞬動』が使えず死ぬなんてもってのほかだ)


攻撃を避けながら中位悪魔を中心にして回るように動く。


そして


「⋯準備完了、『錬成』【落とし穴ピットフォール】」


悪魔の足場が崩壊し、3メートル程ある悪魔の身体の半分が埋まった。


悪魔はもがいて穴から上がろうとするが─


零刀は腰のポーチから鉄でできたものを2つ取り出して魔力を流してから投げ入れる。


そして少しして─


ズドン!!


─爆発した。


「無属性魔法《魔力爆発マナ・エクスプロージョン》に指向性を持たせた魔法陣を刻印した魔道具に鉄屑スクラップを詰めて作った指向性爆弾─クレイモア地雷に近いものかな」


かなりアレンジ物だけど、と最後に付け加える。


「─さて、向こうもそろそろかな」


………………………………………………………………………………


「竜斗!」


隆静が自分よりも前側で戦っていた竜斗に声をかける。


「隆静か!、ってなんで光輝が…」


「光輝とアドルフさんが道を開く!」


「わかった!鈴!りあ!合図をしたら退いてくれ!」


「『我、求めるは光の力。我が敵を切り裂く光よ、我が剣に宿れ!』!」


「『我が行使するは純粋な力、故にそれは我が敵を斬り裂く』」


2人の剣が魔力を纏う。


「2人とも退いて!」


「行くぞ!!【飛翔魔斬】!」


「【光の剣シャインブレード】!」


そして道は開かれ─


「『我が魔力よ、土で壁を成し、道となせ』【土壁ウォール】!」


─確保された。


「良し!今だ!」


そして全員が橋を渡りきる。


「レイ!来い!」


最後の仲間の名を呼んだ。


しばらくして見えたのは─


紅い光を纏った悪魔に追いかけられる零刀の姿だった。


「何だ…あれは」


アドルフが、そう呟いた。


………………………………………………………………………………


「『錬成』【泥沼マッドマーシュ】、っとこれで少しの間なら出てこれないな」


先ほど穴に落として爆撃した悪魔を今度は『錬成』による【泥沼マッドマーシュ】で底を沼状にする。半分しか埋まってなかった悪魔がそれによってどんどん沈んでいく。


「レイ!来い!」


(いい感じに向こうも終わったみたいだな。良し─)


その時、【落とし穴ピットフォール】と【泥沼マッドマーシュ】によって拘束されていた中位悪魔に変化が起こる。


「─ん?」


零刀が振り向くと地面ににヒビが入り、穴からは紅い光が漏れ出している。


穴から左手が現れ淵に手を掛ける。


そこから─


「グルァアアアア!」


悪魔がゆっくりと体を引き揚げてきた。


「マズイ!」


零刀はすぐさま『身体強化』を使い走り出した。


………………………………………………………………………………

「最後の方で強くなるとかどこの主人公だ!?される側からしたら迷惑にも程がある!」


ブオン!と、風を切る音がした。


「っ、『瞬動』!」


先程まで零刀の居た場所に大剣が振り下ろされ地面が爆ぜる。


それによって剣を避けた零刀に破片が当たり、体にいくつもの切り傷ができる。


「いっつ!あんな怪我まで治るとか回復系の『技能スキル』持ちとかズルイだろ」


と言いつつも零刀の傷もほとんど治りかけている。


「グルァァアアアア!!」


「っ、」


逃げる零刀に気がついた下位悪魔レッサーデーモンが零刀の前に現れる。


「邪魔だ!」


目の前の下位悪魔1体を踏み台にして跳ぶ。


「グルァ!」


それを見逃すまいと振られた大剣を自らの剣で受け、わざと・・・飛ばされる。


それでも逃さんとばかりに炎の吐息ブレスと追撃が来る。


「っ、『錬成』!【大盾ラウンドシールド】!」


自分の持っていた剣を『錬成』で広げるように変形させ、吐息ブレスを受ける。


それによってさらに飛ばされ、橋までたどり着く。


………………………………………………………………………………


「…なんだ、アレは」


アドルフが呟いた。


(あんな方法で距離を取るなんて、正気か?)


「あれ、ありかよ」


「レイちゃんはやっぱり凄いね」


アドルフと竜斗の驚愕に、対して鈴が零刀を褒める。


皆の顔に笑みが浮かぶ。

しかし、そのなかに邪悪な笑みを浮かべている者がいることに誰も気づかない。


「っと、そろそろレイが壁を抜ける。お前ら、準備はいいか」


「「「はい!」」」


「!抜けたぞ!亮太!」


「はい、【崩壊】」


壁が崩れ、悪魔が埋まる。


「良し!魔法、一斉攻撃!」


色とりどりの攻撃魔法が行使され、一斉に悪魔へ向かう。


………………………………………………………………………………


(っ、抜けた!予想以上に魔力量に余裕が無かった…)


後ろでもがいて出始めている悪魔はいるが、あとはみんながいる魔法陣までたどり着くだけ、と最後まで走り続ける零刀の目に色とりどりの魔法が目に入る。


(良し、これで悪魔の足止めができる─)


瞬間、背筋に悪寒が走る。


(これは─『害意』?)


明らかに自分に対する負の気配を感じ取る。


(っ!マズイ!)


次の瞬間、零刀に向かってひとつ、魔法が飛んでくる。


咄嗟に先程『錬成』した盾で防ぐが衝撃に飛ばされ、崖に落ちる直前で止まる。



零刀の不運・・はそれだけでは無かった。


橋の一部が崩れた─


「くっ!?」


─ちょうど零刀のいる場所が




(まずい!このままだと落ち─)


ふと、みんなが見えた。


(─ああ、お前らか)


そして宙に投げ出され、落ちていく。


底の見えない、深い深い谷に


「レイー!」


上を見ると、さっきまで戦っていた悪魔も落ちて来ている。


そして、見えていた光はどんどんと小さくなり



消えていった


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【『ハズレ』と言われた生産職でも戦いたい!!】
並行して書いているものです。

【ココロミタシテ】
何となくで書いた詩です。
これらもよろしくお願いします。
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