違和感と罠
やっとここまで追いついてきた⋯。
向こうも再開しなくては⋯。
とりあえず、今週も頑張りましょー
魔物にもランクが存在する。
冒険者と同じくE、D、C、B、A、S、SSが存在する。
冒険者のランクは一般的に順に「見習い、新入り」「下級冒険者」「一人前」「強者」「偉人」「化け物」と言ったような捉え方になっている。
魔物にも似たようなものがあり、「雑魚」「下級」「中級」「上級」「化け物」「天災」「災厄」と言った捉え方をされている。このランクわけは危険度や珍しさによって振り分けられていて同じランクでもパーティーを組んで戦う事を推奨されている。
同じ種族でも竜種や悪魔種の様にランクが異なるものもいる。
─『冒険者と魔物のランクについて』より一部抜粋
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あれからしばらく探索をして5階層まで行き、全員のレベルが5になった事により最後に5階層にいるボスに挑んでから帰る事になった。
「そういえばこの迷宮って何回層まであるんだっけ?」
「彩、ここはまだ攻略されて無いからわからないよ。確か今は64階層まで攻略されてるんだったかな」
「へー、さすがレイだね」
「それほどでもないよ」と僕が言った時に何とも言えない様な感じがした。何か嫌な感じだ。
これは⋯『害意』?
いや、少し違う⋯⋯?
それに、なんだろうか、この違和感は⋯⋯
「?レイくんどうしたの?」
「いや、何でもないよ」
とりあえず、まだ分からないし誤魔化しておこう。
なんだか、迷宮に来てからというもの何か分からないが嫌な予感がする。
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それはボス部屋の直前のことだった
「おっ、おい!あそこに宝箱があるぞ!」
亮太が宝箱を見つけて駆け寄る
「待て!罠があるかもしれない!止まれ!」
アドルフが呼びかけるが亮太は聞く耳を持たずに走り続ける
「とめないと…」
「行くよみんな!」
由佳子が言い、光輝が追いかける
(なんだ?やっぱり違和感が⋯、それに宝箱の下に魔力⋯?まさか!)
「止まれ!」
しかし、振り返ることすらしないで走り続ける。
そして亮太が宝箱まであと数メートルまで走った時、地面に魔法陣が浮かび、青白く輝く
「くそっ」
「やっぱりか!」
そして魔法陣がよりいっそう強く光り輝いたとき、その場には誰も居なかった。
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「…っ、ここはどこだ?」
隆静がいち早く目が慣れて状況の確認を行っていた。
周りを見回すとそこは広い空間になっているようだ。
だいぶ後ろの方ではあるが橋のようになっていてその奥に階段があり、その先に先ほどの様に青白く輝く魔法陣があった。
「さっきのは転移系のトラップか⋯、みんな、『転移結晶』は使えるか?」
「使ったけど効果無しだったよ『モンスターハウス』の可能性が高いかな」
と、確認した零刀がいう。
「くっ、やはりか、みんな、全力で橋の向こうまで─」
─ズシン
音がした
「─時間切れ、か」
目の前に赤黒く輝く魔法陣が大量に現れる
─ズシン
音は大きくなっていく
「下位悪魔?」
『鑑定』を使える光輝が、対象の名前を確認した
「下位悪魔だと?」
─下位悪魔は名前の通り悪魔種の中では下位に存在する。しかし、危険度などによって別れるランクの中では人型で、大きさは小さめだが、単体でCランクに相当する。
そして目の前には魔法陣によって出てきた下位悪魔が沢山いる。
「下位悪魔が召喚されたって事はそれよりも強い悪魔がいるって事ですよね」
「ああ、」
そして奥の暗がりから現れたのは─
中位悪魔だった。
「ち、中位悪魔か、中位悪魔だとしても単体でBランクはあるぞ」
(これは、さすがにやばいか⋯)
「まあ、上位じゃないだけマシか」
「⋯⋯この害意、侮られてるせいか殺意ではないけれど、逃がしてはくれなさそうですね⋯」
そう淡々と言う零刀
「ハハハ、ホントだな」
しかし、危機的状況は変わらない
「…どうします?」
「俺、光輝の2人で中位悪魔の足止め、その他で後ろを切り開く、が妥当だろう」
「「了解」」
「零刀、みんなに伝えてくれ」
「了解」
みんなに作戦を伝える。
「レイ、もしもの時は⋯」
「わかってます」
「ならいい。⋯向こうは頼んだ」
「やれるだけやりますよ」
─覚悟を決める。
「よし、これ以上はこちらのスペースが無くなる。全員で帰るぞ!!」
「「「おう(はい)!!」」」
そして無謀とも言える作戦が始まった