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『ハズレ』と言われた生産職は我が道を行く  作者: ナリア
彼らの道は交錯する。
135/177

覚醒の時来たれり

今回、多少分かりづらいかもしれませんが、次回詳しく書きます。




ツイッターで投稿予約上げたりしてます。良かったらどうぞ。



https://twitter.com/nyafta?s=09

「──『聖光覚醒』」



光輝がその言葉を紡いだ瞬間、光の奔流が溢れ出す。



「『覚醒』系技能……感情と覚悟を起因として開眼したか……!」



驚きを隠せずに零刀が零す。



「イリスの『魔王覚醒』。その対になるものがあると思っていたが……目の前で覚醒するとはな……まるで英雄譚のようじゃねぇか。なぁ?光輝」


「──うるさい!」



光を纏った光輝が一歩踏み出す。




──次の瞬間、光輝の姿は零刀の目の前にあった。




「ッ!? マジかっ!?」


「はぁっ!」



光の斬撃が零刀を襲い、血が舞う。



「逃がさない! 【光閃飛斬】!」


「ッ! 『喰らえ』!」



後方に跳んで距離を取ろうとした零刀を飛翔する光の斬撃で追撃する。



零刀はそれを黒い魔力を放出して【喰らう】が、喰いきれなかった斬撃が零刀の顔を浅く斬る。



それを感じた零刀は翼を生やし、バサリと羽ばたいて大きく距離を取り直す。



「──『解析』」



そしてすぐさま、【喰らった】分を『解析』する。





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コウキ ヒジリカワ LV126 Age16 男

種族:人間

職業:勇者

称号:【光の勇者】


固有技能ユニークスキル〉:獲得経験値量増加 聖剣 精神耐性 聖光覚醒



技能スキル〉:勇者Lv10【剣術Lv9 光属性魔法Lv9 闇耐性Lv8 鑑定Lv8 アイテムボックスLv9 限界突破】

火属性魔法Lv4 水属性魔法Lv3 魔力操作Lv9 身体強化Lv10 縮地Lv3


〈加護〉光神の加護

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聖光覚醒


個体名:聖川 光輝の覚醒させた『固有技能ユニークスキル』であり、この個体固有のモノ。


『本質』に付随する行動を取っている間、『ステータス増加』『技能習得簡易化』『回復速度上昇』などが付与される。



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「……どうやら、『魔王覚醒』よりも厄介そうだな。『勇者』の『技能スキル』による習得では無くあくまで個人としての覚醒……そりゃあ恩恵も大きいだろうが、さすがにこれはチートだろうが!!」



零刀は日常生活でバレないように『解析』で『ステータス』を見ていた。


そして今朝確認していた『ステータス』に新たに『聖光覚醒』に加え『縮地』という『技能』を習得していたのだ。



(思ってきた以上に『理不尽』っぽい『技能』だが……『本質』に関わる行動でしか効果を発揮しないならば、打つ手はあるしな。なら喰った一部から『解析』を進めて──)


「──余計なことを考えて、余裕そうだな!」



考え事をしている零刀目掛けて斬撃を飛ばす。



「そりゃあ、お前がまだまだ警戒するに値しないって事だ」



その斬撃を魔力を纏った手で握り潰し、かき消す。


その衝撃で切れかかっていた眼帯がハズれ、落ちる。



「……今首から上への攻撃を防いだってこととその眼帯が落ちたのを見ると、そのコートで覆われていない部分は攻撃が通るみたいだね。それに、僕の【光】なら多少威力は落ちるけど、コート越しにでも当たるみたいだ」



【光】は元々が距離による減衰が少ないものだ。


それに加え『見る』という行為に光は必要であるならば、いくら『深淵』と言えど覗き込めさえすれば浅いところなら届く。


そこに『強い意志』が乗れば尚更だ。


感情の混じった『魔素』は、その感情に応じた変化を齎すのだ。



「『理不尽チート』……ああ、気に入らねェなァ」



零刀が、それこそ死ぬ気で至った深み。


それを浅くしていたとはいえ、心境の変化ひとつで傷つけられたのだ。



「──ああ、久しぶりだ。ここまで腹が立ったのは」



その『理不尽』への苛立ちが、零刀の『本質』を──『否定』を呼び起こす。


『否定』は形と生を否とする【破壊】と【死】となりて乱れ狂う。



「【変異錬成】──【血濡ノ黒杭カズィクル】」



大地の有るべき形を、性質さえ『否定』し、黒耀に塗り替え光輝を穿たんとする。



それを宙に【光盾】を作り足場にすることで回避し、そのまま宙を駆ける。



「翼もねェクセに空中移動してんじゃねェよ!」



翼を羽ばたかせ、突撃してきた零刀をギリギリで躱すが、突如生えた尾によって打ち飛ばされる。



──そしてその地に影が差す。



「潰れろ」



上空から迫るは巨大過ぎる触腕。


圧倒的質量が光輝へと振り下ろされる。




「……『聖剣よ、我が呼びかけに応えよ──』」



地を覆う影が晴れるほどに莫大な光量が溢れ出る。



「──【魔滅光煌閃撃】!」



最早光線の様な剣撃が、触腕を縦に割った。



「それは選択ミスだ。相手のチカラを考えていない行為だな」



分かたれたハズの触腕が閉じるように修復され、そのまま大地を叩き付けた。




その衝撃で大地はヒビ割れ、砕けた岩石が飛び、砂の雲が舞い上がる。




「……まだ生きてんだろ? 休んでるんじゃねェよ!」



【紫氷】の礫を雨のように叩きつけると砂煙の中から光輝が転がりながら現れる。



石や【紫氷】の礫により細かい傷を負っているが、それも目で見てわかるレベルで修復されていく。



「また成長しやがったか……戦いの中で成長するのはメンドクセェな」


「まだ、足りない……」



光輝はその身体に【光盾】を纏わせて【鎧】を作り出す。



「クソ『勇者』が……!」


「【魔王】……!」



両者は、激突し合う──




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「……ハクア」


「……わかってるわクロア姉様」


動きかけたハクアはその言葉で再度座り直す。



彼女らがいるのは、零刀の戦っているところの見える少し離れた岩山の上。



そこで椅子に座り、茶を飲みながらお菓子を食べていた。



「……マスターが私たちを創った中に『復讐心』は無かった。その意味が分かるよな?」


「……わかってるわ。私たち『剣』は復讐の為の道具では無い。『理不尽』を『否定』する為のもの」



そこまで言い、茶を口にして心を鎮める。



「だからこそ、私はアレに【死】を与えたい」


「わかってる。あたしだってアレを【破壊】したい」



それは、零刀に創られた彼女たちの『本質』。



──方や『理不尽』を『否定』し、跡形もなく【破壊】する為に。



──方や『理不尽』を『否定』し、その生に【死】を与える為に。




それでも零刀と共に戦っていないのは、単に彼から『必要な時以外は茶でも飲んでゆっくりしてろ』と言われているからである。



「マスターの計画を邪魔する訳にはいかないしな」


「私たちにもやる事が無い訳では無いし、今は『創造主マスター』様を信じましょう」


「………お前のそれは、それこそ『信仰』みたいに思えるんだが──っと、本当に来たみたいだな」



そう言って零刀と戦っている方向と逆に視線を向けた。



「……随分と遅かったのですね。もう少し早く来るかと思っていましたが……」


「……どういう、ことだ」


「まあ、ひとまずお座り下さい。隆静さん、でよろしかったでしょうか」


「……説明、してもらえるんだな?」


「……私に深淵なる創造主マスターの御心全てはわかりませんが、わかる範囲でならお教えしましょう」



それを聞いた隆静は一つだけ空いていた席に腰掛けるのであった。




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合流した鈴、彩、桜、リアも加わり、さらに戦闘が激化していく。



光輝には彩の【回復魔法】、【付与魔法】により回復とバフがかけられ、逆に零刀には【行動阻害】や【速度低下】などのデバフがかけられている。



他のメンバーの攻撃は【深淵外装】によって直接的なダメージが通ることは無いが、光輝を主軸にして隙を作りに来るため、零刀としても戦いにくくなっていた。



(……光輝の『ステータス』の値まで抑えて戦っていたが……まあ、サポートもあればこんな所か。──しかし、なんだ? この感じは……なぜか妙に怒りを覚えるというか、腹立たしいというか──ん? 『解析』が終わったか)



そんな違和感を感じながら戦っていたが──とうとう、光輝の『解析』に成功した。



(やはり、このチカラの供給源はあの『聖剣』か……これほどのチカラ、何かしらの供給源がなければ直ぐにガス欠を起こすからな。あとは、そこにあるであろうモノを引きずり出すだけ──)



そう決断した零刀は近接戦を挑んでくるリアの剣をへし折り、迫る大槌へと指をめり込ませて鈴ごと振り回してリア共々投げ飛ばす。



続いて、離れたところから魔法攻撃をしてくる彩と桜には地中から通していた触手で足を掴んで投げ飛ばし、さらに触腕で打ち据えて動けなくする。




「ほら、どうした光輝。このままコイツらも失うのか? テメェが自分勝手に報復の為に俺と戦って、巻き込んで。──テメェのチカラ不足のせいでなァ!」


「──そんなことはさせない!」



光輝が一際強く、輝きを放つ。



「『聖剣』よ、チカラを……!」



光は遂に、アドルフの放っていたオーラほどに大きく、強くなっていた。



「来いよ、光輝。そろそろ飽きてきた事だし、終わりにしようじゃねェか!!」



零刀を『魔王覇気』を解放し、光輝と同じくチカラを高めていく。



そのオーラはそれぞれ『聖剣』と右腕に収束し、それに感化された大気がスパークを起こす。



「──はぁあああああああああ!」


「ぉおおおおおあおおおおおお!」




上空にて、光輝の渾身の一撃と零刀の一撃が交錯する。




──数瞬間を置いて、光輝の光の鎧が砕け散る。




「──ああ、本っ当に『理不尽』だなァ」



零刀の【深淵外装】に光が一筋走ったかと思うとボロボロと崩れ去り、共に落下して行く。



(そこそこ予定外のことはあったが……あとは、俺が保有している不要な『経験値』を光輝に押し付ければ、取り敢えずの計画は完了する──)



もうひとつの『解析』していた結果が出たのは、その時であった。




「──ああ、俺が感じていた苛立ちは、それか」



落下が、まるでエネルギーそのものが【死んだ】かのように静止した。



「──なあ、なんでお前は『勇者』なんて、【正義の味方】をやってるんだ?」



逆さに静止した状態から、不自然な動きで元の姿勢へと戻る。



「それは僕が、助けたいと思ったからだ」


「全てを、救いたいと?」


「……そうだ」



零刀は俯いた姿勢のままで問いかけていく。



「なら、なんで『モニア』を助けてやらなかった? どうして『レラント』の奴らを助けてやらなかった?」


「……何を、いってるんだ? 『レラント』は君のせいで壊滅しかけて──」


「ああ、もういいよ。所詮お前はその程度ってことだ。──『正義』ってヤツはそれを起こすヤツの自分勝手だもんなァ?」


「どういうことだ。何が言いたい!?」


「──なら『正義』は、なんで俺を救いに来てくれ無かった!?」




零刀のカタチが崩れ、膨張する。




「ナんで、イリスの様なヤツを、助けテやれなかった! シリウナの様なヤツを救ってやラなかった! どうして、クヴィホの様な囚われたヤツを見つけてやれない? 孤独の【最強】に手を差し伸べてやラナカっタ!?」



崩れる、崩れる、ドロドロと。



輪郭を失い、声帯としての機能は果たしていないはずなのに、その慟哭は止まらない。



それは、彼がずっと感じていた感情。



「ソレラは『正義』二救わレルことは無かっタ! 『正義』じゃア、救えねェモノが多すぎるんだよ!」



その慟哭に、誰も声を発することができなかった。


それは確かに、零刀の心の底から響いて来るものであったから。



「──俺の様なバケモノを生み出したのは、お前の様な『正義』だ」



崩れる輪郭、崩れた言葉の中でその言葉だけはヤケにはっきりと聞こえた。




どろどろに溶けた身体には、いくつもの貌が浮かんでは消えていく。



その貌はなにかを訴えているように見えるが、声は聞こえない。


聞こえるはずが無いのだ。



どうせ、彼のいる領域に至っていない彼らには、『理不尽』を『否定』する為に『理不尽』へと至った彼の叫びなど聞こえたところで──



『アア、ァァアア゛アア゛アア……』



──嘲笑う声かバケモノの咆哮にしか聴こえないのだから。




「ぅっ……」


彩が嗚咽を漏らしたのは、その悍ましさからか。



「……ゴメン、なさい」


涙を流しながらリアが呟いたのは、何を思ったからなのか。



「……まさか、『外なるモノ』、か? 光輝!」



桜が叫ぶのに応じるようにして、光輝がまた輝きを纏い始める。



「──僕の手で、終わらせる!」



光輝は再びチカラを解放して行く。


その光に紫が混じり始めていることに気が付かないまま。



『名状しがたき既知を脅かすナニカ』。


それが、そのモノの『種族』である。



空は赤黒い雲に覆われ始め、これが世界の終わりと言われれば納得できてしまうような光景となり始めていた。



「──【冥葬、界送かいおくり】」



そんな中で、その言葉は何故か明瞭に聞き取れた。



次の瞬間、『名城しがたき既知を脅かすナニカ』に一筋の線が走り、そこから内側へズルリ、と吸い込まれるかのようにして呑み込まれた。



「あな、たは……?」


「『メイド長』リーシャ……いえ、この姿ではこちらの呼び名の方が正しいか」



紫銀の長髪を風にたなびかせて降り立つ。。



「【冥土】リースェルリナ。要請に従い、仕事を片付けた」



大鎌を地に突き立てて彼女はそう言い放った。




「──零刀の居ないこんな世界なんて、見る価値も無い」



その上空から、凍えるような冷たい声が降り注いだ。



「私の『大切』を──返せ!」



少女の怒りが爆発する。



それは、誰にも予測できなかったひとつの可能性。




──もう一人の『魔王』の目覚め。







「──『瞳二写スハ彼ノ未来ウジャト』」

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【『ハズレ』と言われた生産職でも戦いたい!!】
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【ココロミタシテ】
何となくで書いた詩です。
これらもよろしくお願いします。
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