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割と直ぐに会えたけど。
「今日からお前と同級生な上にクラスメイトだそうだ。嬉しいな」
「そうかそうか……ついでに俺のさっきのオトメンな心内を返してくれ」
「オトメン?」
「知らないのか」
けっこう流行った単語だったと思うけど。
いや、世間を知らなさそうな頭してるしなコイツ……テレビとかあんまり見ない人って奴か?
テレビにかじり付くヒョウ。
想像できない。
「オトメンがどんなめん類なのか想像は出来ないが……そのサラサラと何処かへ流れていってしまうような半透明な白い色な気分は素麺を思い出させて良い感じにお腹が空く」
また食べ物かよ!
ってか、お前の例えのレパートリー食べ物しかないのか!?
「はっはっは。素麺……俺、どっちかって言えばひやむぎの方が好きだ」
「ひやむぎ……太い麺はちょっと駄目」
「じゃあ、パスタも細麺の方が良い口か?」
「いや、太麺パスタ最高」
「どっちだよ!」
コントにすらならないふざけた会話をクラスの皆は遠回しに聞き耳を立てて聞いている。
この見た目からして不良なヒョウのインパクトに腰が引けている様子だ。
俺のことをきっとパシリ候補かなにかだと思っているのかも。
ホラ、ヒソヒソと……『あいつ、これからパンとか買いに行かされるんじゃない?』『こっちの雰囲気も悪くしないで欲しいよねぇ……』『僕みたいな可愛いのが絡まれたら、あいつのせいだよ!』『だったら、あいつ盾にして逃げちゃえば?』『あったま良い~』クスクスクスクス………。
そんなゲスい会話が聞こえてくる。
ピンクにパンク過ぎて、まだクラスのチワワとか気付いていないのは幸いだな。
なるべく視線を合わせないようにしているから、ヒョウの整い過ぎた顔とか見えてないみたいだし……これは好都合。
出来ればパシリーな俺とその御主人様な不良っていう体で、ぼやけフィルター越しで俺達というものをこれからも見続けていて欲しい。
……まぁ、無理か。
だって、ヒョウの綺麗で可愛いも兼ね揃えた顔にいち早く気付いた兄上様が、ギリギリとした視線で俺を睨み付けていらっしゃるから………。
「御主人様とお前……うん、良い」
「良くねぇよ……ってか、俺の心の中読んだ?今読んだよねっ?」
ってことをしている内に、テトテトってな感じで、わざとらしくヒョウに近付いてきて………。
「転入生……ってことは、こっちに引っ越してきて間もないんだよね?もし店とか学校のこととか、分からないことがあったらぼくに聞いて?」
って、頬を赤らめながらしおらしい仕草でこてん、と首を計算高く傾げてヒョウに微笑みを向けた。
小悪魔キャラでも狙ってたのか?
ヨウを見てやれ。
なんでそいつになんか話し掛けてるんだって嫉妬の目で見て来てるぞ。
「いや、良い。俺はこのお菓子……甘味くんに聞く」
お菓子ってハッキリ言っておきながら甘味って、なにもかもが違ってるじゃねぇか!どういうことだよ!
うぎゃわわ。マナトが話し掛けたことによって、雰囲気で作り上げていたクラスメイト達の色眼鏡の魔法がとけていくっ……!
『なんで転入生様が、あんな平凡にっ……!?』
『パシリ……パシリ候補なだけでしょっ!?そうじゃなかったらあんなヤツ!』
『マナト様に断りを入れて、平凡にっ!?な、何か弱みでも握られてるのかもっ……!』
『僕達で助けてあげなくちゃっ!』
さっきまでと言ってることが百八十℃回転してやしませんか?
つか、転入生様って……様まで付ける程にランクアップしやがって。
くそ、世の中は顔か!
この顔のせいで恋人に振られて、顔が良い兄上様に奪われて……うぅっ……。
塞がったと勘違いしていた心の傷が、ジクジクと痛み出した。
強がりも継続出来そうにない……俺って、もしかして平凡な上にヘタレなのか?
「うぐっ……周りがとても五月蠅いし、色が悪い……残り物を全部一つの鍋に投入したみたいに気持ち悪い……旅館で客が残した残飯を入れたポリバケツのようだ」
「そ、そうか……俺はそんなことよりも、これからの学校生活がとても気持ち悪くなりそうなんだが………」
口直し口直しとブツブツ呟いたヒョウは、俺の顎に手を掛け、そしてゆっくりと近付くと………。
「んちゅう」
「ッ!?…、…!?」
黄土色の悲鳴が上がるクラスメイトを背景に、俺に熱烈なチューとやらをぶちかましやがった。




