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あの時の君は  作者:
2/13

-2-

「よぉ、今日のお前は何色だ?」


「……電波的な台詞をどうも。ついでに言うなら、貴方が俺の目の前に居ることによってブルーってトコですかね?」


「それは良かった」


「いや、良くねぇよ」


俺の目の前に居る男……アシメモヒカン?な感じのピンク色した頭に右の唇には小さなピアス。鋭い目つきな割には瞳はまん丸としていて何処か可愛い印象を受ける。

 追加と言わんばかりな美形。そして、その美形を除けば、立派に不良様という一人の生徒。

 それがこの男……ヒョウ。

 何故にこのような不良様からお声を掛けて頂けているかというと。


「昨夜。あの時のお前の色はとっても良かった。憎しみの焦げ茶色がとっても美味しそうなチョコレートに見えて。口に入れたら甘そうで、あの時は襲い掛かっちまったが」


「襲い掛かるなよ」


 なんでもこの男。人の感情が色として見えるだとか。

 俺が失恋で色んなものに対して憎悪満開だったのを美味しそうだとか抜かし、公園で噛み付いてきやがったのは思い出したくもない悪夢だ。

 つぅか、チョコってなんだよ。チョコって。

 俺のシリアスな失恋エピソードをそんなスィーツに変えては欲しくないっつぅの。


「それにしても、朝の通学路にとてつもない違和感を与えてるな。お前の姿」


「久々に早起きというものをしてお前を待っていた。褒めろ」


「嫌だ」


「ケチ」


 ケチってなんだケチって。

 ついでに学生身分は早起きしてなんぼだぞこのヤロウ。

 俺なんか無遅刻無欠席で皆勤賞狙ってんだ褒め称えよ!

 ってか、俺を待ってたって何だよ!!

 通り過ぎていくまばらな人の顔は、俺の横を歩く不良様にビクつきを見せ、女性に至ってはどこか惚けたような乙女の顔でじっくりとヒョウを瞳に焼き付けているようだった。

 チクショウ……俺にもそんな乙女な時期があったことを思い知らされる顔付きだ。


「機嫌が悪くなったな。とっても綺麗な紫色だ」


「なんに見える?」


「なすび」


「また食いものかよ」


 大食いキャラには見えないっつぅのに、石ちゃん性能みたいだな。

 なんでも食い物に例えようとする所とか。


「紫……あとは、なにがあるだろうな」


「紫色の食い物を探すな。………紫キャベツ……とか?」


「それだ」


「それだじゃねぇよ」


 くだらないことを言い合いながらブラブラ歩き続け、気が付けば学校の校門に。

 そういえばコイツのこの制服……うちの学校の制服だよな。

 見たことねぇ顔だが……もしかして、先輩?だったとか。


「敬語を忘れてた」


「警護?お前、警護が必要な人間だったのか?それは凄い」


「突っ込まねぇからな」


「ケチ」


 ケチで結構。

 職員室に用があるとかでどこかへ行ってしまったヒョウを背にし。さてと、憂鬱な気持ちで向かうのは、俺のクラス。

 そこに、居る……俺の元恋人と兄上様が。


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