第8話 ケリティカ山への突入
だいぶ省略しています。ケリティカ山への道のりでの出来事も書こうと思いましたが、面倒臭いという理由もあり、省略しました。申し訳ありません。
それと、今回からケリティカ山探索のメンバーの2人に名前をつけていきます。急で申し訳ありません。
「よし!出発するぞー!」
「おー!」
テントで一夜を過ごし、再びケリティカ山へと移動を開始する俺達。皆やる気が満ち溢れていたが、俺は正直言って行きたくない。昨晩、夢の中で黒服のアドバイスを聞いてしまったからだ。
今のメンバーでは勝てない敵の出現。どうにかなると解ってはいても、やはり行きたくはない。
「ん?どうしたのニワトリ君。雰囲気暗いよ〜。悪夢でも見た?」
「まぁ、ある意味悪夢だったな。」
心配してくるララ。善意だというのは解っているのだが、悪夢と言われると、昨晩の事を思い出して、余計行きたくなくなる。
こんな調子でケリティカ山への道のりを進んで行く。途中、何体かの魔物に遭遇した。が、今のメンバーではそこいらの魔物は全く脅威にならなかった。戦士の奴らが敵からの攻撃を防いでいる所を、剣士の奴らが攻撃し、剣士の奴らを魔術師の奴らと銃士の奴が援護する。
この辺りに出てくる魔物は比較的弱いため、回復役の仕事は無い。盗賊の奴は、魔物から素材になりそうな物を剥ぎ取っている。
俺とララは何をしていたかと言うと、完全に傍観者になっていた。だってやる事無いもん。
そんなこんなで、ケリティカ山のふもとに辿り着いた。
「さて、ここからが本番だぞ。」
「慎重に行かないとな。」
俺とララ以外のメンバーが、山の洞窟の前でそんな感じの話しをしている。
洞窟の入り口は広く、大人3人が横並びで進んでいける位の広さの道が、結構奥まで続いている。
その道を、
戦士→剣士→盗賊→俺とララ→回復役→魔術師の順番でケリティカ山の洞窟を進んで行く。
少し進むと、広びた空間に出た。洞窟の壁には、魔石の欠片と思われる鉱石が散りばめられていて、神秘的な光景になっている。
そんな空間の端に、奇妙な人物が壁に寄りかかっていた。奇術師の様な服装に、黒いシルクハット、そして顔にピエロのメイク。
明らかに不審者だ。通学路に居たら通報待ったなしだ。
「ん、おやおや冒険者の皆さん、魔石収集ですか?」
ピエロの男が聞いてきた。するとリーダー的な存在の男、ガンダルがこう言い返した。
「アンタには関係無いだろう。関係あったとしても、アンタみたいな怪しい奴には何も教えんがな。」
ナイスリーダー!正しい反応!100点満点‼︎
「怪しい奴とは酷いですねぇ。私はただの奇術師ですよ。」
「じゃあなんでただの奇術師さんがこんな危険な洞窟に入るんだ?」
盗賊のジャラックが、的をついた質問をぶつけた。するとピエロは、ジャラックの質問を流し、こう言い放った。
「そんな事より、この先へ行くのでしたら、気おつけた方が良いですよ。」
「どういう事だ?」
俺が質問すると、
「おや、ニワトリが喋るとは、これは珍しい。
実はね、数日前にこの洞窟に不自然な存在が入り込んだらしくてね。その不自然な存在の調査にベテランの冒険者が何人か行ったんだけど、誰も帰ってこなかったんだよねぇ。
恐らくだけど、そいつに殺られたんだと思うよ。」
「なるほど、それは危険だな。」
俺が納得していると、リーダーが俺に聞いてきた。
「良いのか?こんな奴の言う事を信用して?」
「信用してもしなくても、この先が危険なのには変わりないだろ。何方にせよ、俺達は先へ進むだけだろ。」
「まぁそうだが・・・」
「そういう訳だ。忠告は有難いが、俺達は先へ進むぞ。」
「えぇ。お好きにどうぞ。」
そうピエロに言い放ち、俺達は先へ進んで行く。今思えば、あのピエロみたいな怪しい奴程、物語の根本に関わる存在なんだろう。