第7話 久しぶりのアイツ
目を覚ますと、そこはテントではなかった。家具などが一切無い、真っ白に染まった広い部屋。
そして、その空間には非常に目立つ完全な真っ黒の怪しい奴。
「久しぶりだな。順調か?」
その黒い奴は、そう聞いてきた。黒服だ。俺をこの異世界に転生させた奴だ。別に文句は無いが、やはり信用されにくい見た目をしている。
「順調もなにも、状況の確認位出来んだろ?
てか、ここでは俺の身体は元に戻ってるんだな。」
この空間に入った時から、俺の身体はニワトリの姿から元の人間の姿に戻っていた。
「この空間で位元の世界を懐かしませてやろうと思ったんだが、余計だったか?」
「別に余計って訳じゃないが・・・」
「まぁ、そんな事はどうでも良い。今回は、前に言ったアドバイスをしてやろうと思ってな。」
そういえばそんな事言ってた。数日前の事だというのに、すっかり忘れていた。
「この先、お前は強大な敵と出会う。その敵は、今のお前達のパーティーでは倒しきれない。」
その言葉に、俺は衝撃を受けた。あのメンバーでも勝てない敵が出てくる。それがどれ程強いのか、想像も出来なかった。
「しかし、お前達は生き残る。」
「生き残る?そんなヤバイ奴に出会ってか?」
「あぁ。そのヤバイ奴との戦いで、お前は新たな仲間を手に入れる。」
新たな仲間、ここに来て胸熱展開だ。そのヤバイ奴と戦っている所に、スケットとして来てくれるのか、ヤバイ奴に襲われてる所を俺達が助けて仲間になるのか、何はともあれ、仲間が増えるのは非常に有難い。
「ちなみに今回のアドバイスだが、メインはその新しい仲間についてだ。」
「何だ?そいつと恋愛展開になるのか?」
「詳しくは言えんが、一言だけ言っておく。
お前は、そいつを絶対に大切にしろ。決して、失ってはいけない。」
親が自分の子供に言い聞かせるのとは別格の圧迫感があった。新たな仲間とは、それ程重要な存在なのだろうか?
「その理由は、どうせ言えないんだろ?」
「あぁ、理解が早くて助かるよ。」
黒服がそう言うと、俺の足元に魔法陣が現れた。転生した時と同じだ。
「最後に言っておくが、このアドバイスの事は誰にも言うなよ。」
「あぁ、解ってるよ。」
大体そうだろうなとは思っていた。
なんて思っていると、視界が霞んできた。
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目を開けると、テントの中だった。ここで、黒服が言っていた言葉を思い出す。
(今のメンバーでは勝てない敵。
そんな奴が出てきて、本当にどうにかなるのだろうか?新たな仲間が登場したって、勝てない可能性もあるだろう。)
そんな事を考えていると、急に心配になってきた。深呼吸をしようと外に出ると、朝日が昇っていた。