4話 冒険者ギルドは平和でした
ララに抱き抱えられながら森を抜けた俺達は、ララが居候しているという冒険者ギルドに向かっていた。
そして、一つの小さな町に辿り着いた。
「この町だよー。いい町でしょ?」
「あぁ、静かでいい雰囲気醸し出してる。」
「でしょでしょ〜。」
確かにいい町だ。赤いレンガの屋根の家がある、RPGでよく見る建物。焼きたてのパンの香りが漂い、元気な子供達が遊んでいたり、この町にあるであろう冒険者ギルドに来た冒険者達が、広場で自慢話しをしている。
とても平和な町だ。
「あらララちゃん、こんにちは。」
「このパン、美味しく出来たから持ってって。」
「ララお姉ちゃん!そのニワトリ何?」
ララはこの町の人達に愛されているようだ。焼きたてのパン貰ってるし。
そしてララは、慣れた感じで町の人に優しく対応している。それが終わると。
「それじゃ、ギルド行こっか。」
「あぁ、頼む。」
〜数分後〜
「此処だよ〜。」
そこは、簡単に言えば酒場だった。まぁ、冒険者ギルドと言ったら察したというイメージもあるので、違和感が無い。
この日は客が少ないらしく、賑わってはいない様だ。
扉を押すと、チリンチリンとベルの音と共に、扉が開いた。内装は大きめのテーブルが10個ほどあり、壁には依頼の紙が貼られたボードが掛かっていた。
客は、冒険者と思われる奴が2〜3人と、普通の飲み客が1人と、外でも解ったように、あまり賑わってはいない。
「いつもこんな感じなのか?」
「う〜ん、今日はいつもより人は少ないかな。」
て事は、いつもはもう少し賑わっているってことか。それでも、あまり客は多く無さそうだが、平和で良いか。
「おーい、マスター!」
ララが俺を抱き抱えながら、カウンターの所に居る顎髭を生やしたダンディイな男の所に行った。
「お!ララちゃん、おかえり!
ん?そのニワトリは?拾ってきたのかい?」
「人を物みたいに言うな‼︎」
「うお!ニワトリが喋った⁉︎」
俺が喋るのを驚いている。当然の反応か。
「こちら、呪いでニワトリになって記憶失くしたウェーガンさんだよ〜。」
「呪いか?なるほど、そういう事か。」
そう理解したように言った。本当に理解が早い。
「ララちゃんが呪いと言うなら間違いないな。」
「それでねぇ〜、冒険者ギルドに居れば情報収集もし易いでしょ。だから此処に置いてもらって、呪いの事とか自分の事とか調べたいって訳。」
「なるほど、別に良いよ。2階の部屋、結構空いてるし。」
相変わらず展開が早い。黒服が手を回しているのではないかと思う位だ。しかし、それはそれで、面倒臭い事が少なくて済む。
「ところでニワトリ君?君の名前はなんて言うのかな?」
「あんたまでニワトリ君かよ。
・・・ウェーガンだ。」
「ふむ、ウェーガンか。まぁ、ニワトリ君で良いかな。それと、私はトロイスという名前だ。
以後、宜しく頼む。」
「あぁ、宜しく頼む。」
そうやって挨拶を交えた後、マスターは質問してきた。
「さてと、ニワトリ君。酒は飲めるかな?」
「まぁ、多少は。」
「よし!なら歓迎パーティーといこうか。」
「随分と急だな。」
「早い方が良いだろ?」
「まあな。」
気付いたら、ララが客達に無料で料理を提供していた。歓迎パーティーという事でのサービスなのだろうか。
しかしまぁ、良い雰囲気だ。このギルドでなら、居候するのも悪くないだろう。
そう思いながら、俺はマスターの料理を食べた。鶏肉出してきた時殴ろうかと思ったがな。