第11話 雪色の出会い
今回は少し短いです。
幻で作られた壁の奥でウェーガンは、雪の様に白い髪と、それを覆い被せる様なフードを身に付けた、1人の少女を見つけた。
(妖精か?それともこの山の守り神か何かか?)
などと思いつつ、その少女の顔を覗き込むと気配に気付いたのか、少女はパチリと目を開いた。
少女の目は、現在ニワトリのウェーガンのつぶらな瞳としっかりと合い、自分の身体を起こした。
「・・・ニワトリ?」
「ニワトリだが何か?」
「・・・何でもないです。」
そう言うと、再び眠りにつこうと目を閉じ、横になろうとする。
「ニワトリが喋る事に対しての疑問は無いのか」
「・・・特に無いです。」
「マジかよ・・・」
疑問の1つも出ないとは思わなかった。
ウェーガンは自分の姿がニワトリになった時から、自分の姿を見た者は疑問を持つ筈だと確信を持っていた。
実際、この世界に来てから出会った人は皆、ニワトリが喋る事に対して疑問を持っていた。
しかし、今目の前に居る少女は、ニワトリが喋る事に対してどうでもいいと思っているのだろう。
「それとも・・・何か疑問に思った方が良かったですか?」
「いえ、問題ありません」
まだ小さな少女に気を遣わせたくはないし、この話しは終わりにしよう。
「今になって思ったんだが、君はここで何をしているんだ?」
「隠れてた」
「隠れてた?魔物からか?」
「違う。でも、少し近いかもしれない」
自信が無いような答えだった。しかし、心の中では確信を持っているのだろう。そういう感じの力強さを感じた。
「じゃあ、何で追われているんだ?」
「・・・」
言いたくなさそうな顔をした。他人には言いたくない理由とかでもあるのだろか?
「言いたくないなら言わないでもいいぞ。」
「・・・はい」
ウェーガンの言葉に対して、少女は小さく答えた。小さく答えるも何も、元々ララとかに比べて明らかに声量が低く、おとなしい性格なのだろうと解ってはいたのだが。
「ところで、名前なんていうんだ?」
「人に名前を聞く時は自分から名乗る物ですよ」
ごもっともです。アニメや漫画で初対面の相手にいきなり名前聞くとか、確かにどうかしている。相手が小学生位の少女とかで、主人公がおっさんとかだった場合、即刻刑務所行きだ。
今この場の状況だって、俺が異世界に来る前の姿だったら、目の前に居る少女の年齢的に刑務所行きは十分あり得る。それは困る。
「そうだったな。確かに、こんなニワトリの姿でも、名前はあるんだもんな。
俺はウェーガンという名前だ。よろしく頼む。」
「・・・私は、リリィです。」
リリィ、可愛らしい名前だった。
ララに関しては可愛らしい名前とか以前にウザいとかのイメージの方が強かったが、この子に関しては性格とかも考えて普通に可愛らしかった。
この世界に来て初めて、素直に可愛いと思える子に出会った気がする。そう思えた瞬間だった。




