予期せず異世界へ
「はぁ…」
俺は町の外れの交番で一人溜息をついていた。
俺の名前は橋本 翔介。元刑事だ。
警視庁の本庁でちっとばかしやっちまってこんな町の外れにとばされてしまった。
まぁ拳銃を町の中で撃ったからなんだけどね。
で、問題は町の外れという点にある。
バスもめったに通らず、住人はボケたじーさんばーさんのみ、娯楽施設は一つも存在しない、暇を嫌う俺にとってはここは地獄同然だ。交番にも全然人来ないし。
少し話はずれたが、まぁ何が言いたいのかというと、俺は今、滅茶苦茶暇なのだ。今に限った事ではないが。
何か面白い事ないかなー。ラノベの異世界物みたいに急に異世界に送られちゃったりしないかな。
あ。話は変わるが、俺はそこそこオタクだ。本庁にいたころには結構ソッチ方面に金使ってた。
今では金無くて全然買えないけどな…。
さらに話は変わるが、この後、俺の人生は一人の女性によって180度ひっくり返ってしまう。
「ん?」
誰かが訪ねてきたな。珍しい、明日は槍でも降るのか?
「ど、どなたかいらっしゃいませんか!?」
な、何だ?やけに焦ってるな…。しかも美人。ってそれはさておき俺は若干動揺しつつも、警察官らしく丁寧に対応する。
「どうされましたか?」
「助けて下さい!追われているんです!」
……はい?いまなんて……?
「ですから追われているんですよ!」
こ…この光景はラノベで読んだ事がある気が…。
「いたぞ!!」
うわ!屈強な男共がずかずか交番に入ってきやがった!
「くッ…!こっちよ!」
「へ?おッおい!」
なぜ俺を引っ張っていく!?
「助けて欲しいから!」
「はァ!?」
とんでもなく理不尽だな!?
この理不尽女は俺の言い分などをお構いないなしに俺を引っ張りながら、田舎町を全力で駆け抜けていく。
「おい!!何処まで行く気だ!」
「森の中にゲートがあるの!そこに行って元の世界に戻れば、奴らを撒けるはず!」
げ、げーと?も、もとのせかい?ナンデスカソレハ?
「着いた!さ、早く!」
そこにはまるでどこ○もドアの様な扉がだらしなく開かれていた。
「おい!俺の話を_____」
「いいから早く入りなさい!」
無理矢理に扉に押し込まれた先に俺を待っていたのは……
「うぎゃぁぁぁああぁあ!」
何処までも続く奈落だった。
入り方はともかく俺は、夢に見た異世界へと旅立ったのであった。
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