Case.1:放蕩王の心は如何に
左傘蕨さまへ。
(Aコース:おまかせ)
こちらは、Word+Worldの初期設定の一部を流用した学園パロです。主人公はたぶんリヴ。
※学都が学園してる
※ヒジリの性格ちがう
※リヴの精神年齢やや若め
※アリス不在
※フヒトが不憫
※フヒトが哀れ
※がんばれフヒト
以上を踏まえてお読みください。
「リ=ヴェーダ。飼い猫はどうした?」
「覚えがないな」
「とぼけんなよ、毛並みの悪い性悪猫の話だ」
「……ヒジリ」
ため息をついたリヴは、気のないしぐさで視線を上げる。
「生憎と、俺は、ユイ専属の始末屋でもなければ、まして飼い主でもないんだが」
ケッと吐き捨てたヒジリが、よくいう、と毒ついた。
「専属じゃあなくても、お前さんの領分じゃねーの。監査議長さまよぉ?」
「ちがうな。俺の役割は、お前たちの監査だ。都合よく自治組織にしてくれるなよ。うちの奴らは、総じて弁は立つが、荒事に向いていない」
つらつらと述べて、リヴは腰を上げた。さわがしくて、おちおち書もたしなんでいられない。
手にしていた布製の古本を書架へ収めたリヴが、窓ぎわの席へもどると、まだヒジリはそこにいた。ブラインドを上げた窓から、これでもかとばかりに光を浴びて。藍白の短髪が、きらきらと眼に痛い。
「ヒジリ。それよりも、このあいだ申請した生徒の転科願はどうなっている?」
「しらねぇな。事務方は、くされ魔女王にでも聞け」
「……役員同士で組織を分割するなと幾度言わせたら気が済むんだ」
「『荒事』に対応するには、その方が都合いいだろう?」
「そもそも問題を起こすな、と言っているのがわからないのか」
不遜に笑う、魔術主席――この学園の生徒会長である男をみつめて、リヴは肩を落とした。
「会長なら会長らしく、たまには会室に顔をだしたらどうだ」
「冗談。なんだって好きこのんで、あんなロリババアと同じ空気を吸わなきゃならねぇの」
「お前が選んだ副会長だろう……」
「見目だけはよかったからな。お飾りにしてやろうかと」
「またそういう言い方を」
ヒジリは、能力のない人間を嫌う。なんだかんだと言いつつ、対立する副会長――学術主席のエマのことを、本心では誰よりも認めているのだろうに。
つきあいきれない、と呟いて、リヴは図書室を離れた。