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深霧のザーイエッツ  作者: 山崎 樹
第五章 終わりの始まり
45/121

来るぞ、神官兵の意地を見せろ

スラム街―――


「……っ!!」


 甲高い音を立てて、テレーゼのカトラスが半ばから斬り落とされる。その断面は斬り落としたヴァンの技量からすれば珍しい歪なものだった。

 体力の低下が技量の低下をも、もたらしていた。俊敏性や正確性が落ちている。だがそれでも優勢なのは彼の方だった。


「そろそろ、限界の、ハァ、よう……ハァ……ね」

「大丈夫です、テレーゼお嬢様よりは持ちます」


 体力の低下を目ざとく見抜いたテレーゼの慧眼を素直に認めたヴァンだったが、その後の対応はあまり評価していなかった。

 持久戦になればヴァンはスタミナ切れを起こす、そう計算して戦闘を長引かせることを選んだテレーゼは、しかしヴァンにしてみれば戦い方が読みやすい分、与しやすいのだ。 

 隙を見せないことは、逆に言えば大胆な攻撃ができないということ。防御に回るということは相手にとって責められることがない安心を生み出す。


(慎重なことは指揮官としては長所ですが……一対一の決闘では余計な雑念となることもある。あなたは自分自身の戦い方をするべきです)


 少しずつ、ヴァンの体力は削られていく。だが計算高いヴァンはそれを分刻みで把握しているのだ。後、何分戦えるか……何分後にテレーゼの防御を崩し、トドメを刺せば勝利を掴めるのか。

 おおざっぱで、感覚で戦うテレーゼでは決して真似できない戦い方だ。


「……そういえば、先ほど言ってましたけれど、貴方はリヒテルお兄様も間違うことがあるとかなんとか」

「それは今、答えることですか、それとも時間稼ぎのつもりですか?」


 まったく関係のないことを言うテレーゼの目的が呼吸を整えるための時間稼ぎであることは明白だ。だがあえてヴァンは無視することなく応えた。彼は律儀であり、そして同時にテレーゼに対して甘かった。


「リヒテル様とて人間です、間違うこともある。と言いますか、あの方は欠点もまた多い。繊細で傷つきやすく、非情になり切れない。非情になったとしてもそれでもまだ甘いのです」

「……!!」


 あからさまなヴァンのリヒテル批判に対し、周囲のファーヴニルが激昂する。

 彼らにとってスヴァルトに虐げられていた自分達に武器と戦う術を与え、スヴァルトに勝利したリヒテルは神とは言わないまでも(利己主義的なアールヴは神をあまり信じない)大恩人であった。

 その彼を批判することはスヴァルトの不敬罪に値するほどの悪。だがそれとは別にテレーゼは愉しそうな顔をする。まるで妖精のような華やかな笑顔だ。


「貴方はちゃんと、お兄様の側近をやっているようですわね、安心しましたわ」

「どういうことです?」

「崇めるだけの人間ではないということです。お兄様は友達がいないの、お母様も心配していましたわ、他者に心を開けないどてい野郎って……」

「それはドーテイと言います……貴方にはまだ早いので忘れてもいい言葉です」

「???」


 テレーゼの呼吸が戻った。それを見抜いたヴァンは今度こそトドメを指すべく剣を中断に構える。狙うは利き腕の右手……一撃で斬り落として戦意を喪失させる。

 残る時間は三分程、体力が持つのは三分。容赦はいらない、手加減する余裕はない。

 ヴァンの計算では、テレーゼは〈既に倒されていなければ〉帳尻が合わないのだ。強くなっている。自分と同じく、否、それ以上に成長している。


「さらばです、テレーゼお嬢様……どちらにしても」


 ヴァンは口の中だけで別れを告げ、最後の攻勢を開始した。


*****


リューネブルク港―――


「不審船団に着弾……炎上を確認!!」

「ブリギッテ様……攻勢をかけますか?」

「無駄でしょう……牽制だけにします」

「分かりました、クロス・ボウ兵、準備……射程距離に入った敵を狙い撃て!!」


 港へと続く市外への一本道に竜司祭長ブリギッテ率いる官兵部隊五百人がずらりと並んでいた。


「まさか、本当に来るとは……」

「あの男、平手打ち二回で全部しゃべりましたから信じきれなかったのですがね」

「そうだな。それよりも、よくここまで準備してくれた、酒場の親父。お礼にツケを早めに払ってやろう」

「その話は後にしましょう、それではご武運を」


 酒場で裏切った神官から全てを吐かせた彼らは非常招集をかけ、港を要塞化していたのだ。住民を動員して積荷の木箱などを積み上げ、その影に隠れるように兵士を配置、並ぶ倉庫の屋根にはクロス・ボウ兵。

 わざと乱雑に木箱を配置し、猥雑な港を演出したその偽装にスヴァルト側は気付けなかった。

 結果として乗船してきた船は焼き払われ、積んでいたであろう物資は海の藻屑と化した。それは長期戦が不可能になったことを意味する。


「不審船、前進を止めません。そのまま突っ込んできます」

「やっぱり、炎上させたくらいでは士気が衰えないか……」

「あれは、なんだ……何かを投げているぞ」

「死体だ……狂っている」


 スヴァルトは死体らしきものを港に放り投げて足場を作っていた。正気とは思えない。奴隷扱いであるアールヴならばどんな扱いをしてもいいというのだろうか。

 ヒルデスハイムの虐殺の報はブリギッテも聞いていた。だが、その有様を見せつけられたその瞬間、彼らの狂気を初めて現実なものと理解したのだ。


「弓騎兵……あいつら馬に乗りながら弓を扱えるのか?」

「伏せろ!!」


 ブリギッテの号令一下、神官兵らは慌てて積荷の影に隠れた。その数瞬後に百五十にも及ぶ軽騎兵が騎射を行う。

 アールヴの弓兵は熟練した者で十秒に一本の矢を放つことができる。板金鎧すら撃ち抜く機械仕掛けのクロス・ボウは威力の反面、達人でも再装填に一分か二分かかる。

 対してスヴァルト軽騎兵のコンポジット・ボウの発射速度は六秒に一本、しかもその威力はクロス・ボウには劣るとしても訓練以外で弓に触らないアールヴ弓兵の比ではない。

 一分間に二千にも及ぶ矢の雨が官兵部隊に襲い掛かる。弧を描いて進むそれはまるで蛇、恐る恐る隙間から戦場を除いていた兵士が目から脳を射抜かれて即死した。平民に偽装して本隊と別れていた別働隊は物陰に隠れていたが、防ぎきれなかった。積荷同士のわずかな隙間から矢が滑り込み、のどを、目を、鎧の隙に突き刺さる。苦悶の声をあげ、あるいは断末魔をあげて死傷していく兵士達。

 本隊もまた震えながらこの豪雨に耐えるしかなかった。反撃など不可能だ。少しでも体を晒せばハゲタカに襲われたかのように食いちぎられる。

 その恐怖を敵対するスヴァルト騎士ローベルトは目ざとく見抜いていた。彼には〈獲物〉の恐怖が手に取るようにわかるのだ。


「第一、第二小隊、抜刀……障害を排除せよ!!」

「はっ!!」


 軽騎兵の一部が弓を背中にかけ、腰からシャムシールを引き抜く、煌めく白刃、抜刀突撃だ。


「ウッラー!!」


 訓練された軍馬はすぐに数十ディースの距離を詰め(時速十数キロ)、散開していた前線の兵士を斬りとばしていく。


「縄をかけろ、引きずり落せ!!」


 そのすぐ後に軽騎兵は縄を積荷にひっかけ、引きずり落としにかかった。積み上げた積荷や木箱がなくなればそこは草原のような平地同然。騎兵達の独擅場だ。


「……いやに重いな、何が入っているんだ?」

「どうでもいいぜ、ほら、落ちるぞ。突撃だ!!」

「よし、行く……」

「ぐぁぁぁぁ!!」


 積荷を引きずり落とし、突撃をかけようとした軽騎兵がその勢いのまま〈それ〉に突っ込んだ。


「ファランクス(密集槍方陣)か!!」

「ちょっと、違うけどね!!」


 積荷の影に隠れていた官兵部隊は密集槍方陣をひいていた。横に八名、縦に十名の正方形、各々が0・七ディース(約三メートル)の槍を持つ。一列目は屈んで前方に、二列目は中腰でやや上を、三列目が立ったまま石突を地面につけて斜め上に構える。

 まるでハリネズミのようなその動く要塞をブリギッテは五つ敷いた。市街へ続く道を完全に塞いでいる。


「第一、第二小隊、撤退……残る軽騎兵小隊友軍離脱後、斉射!!」

「積荷を立て直せ、急げ!!」


 機動力の高い軽騎兵は離脱も早い。槍方陣の犠牲となった十数騎に頓着することなく一斉に後退していく。その瞬間を待っていたかのように槍を持たない予備隊が積荷を積み直していく。一、二、三……


「撃て!!」

「前方に槍を合わせろ、矢を弾くんだ!!」


 再び、あの豪雨がブリギッテらを蹂躙する。だが、抜刀した軽騎兵の分、その密度は減じていた。先よりも脅威ではない。

 だがそれでも積荷を積み直していた数名が射殺される。槍方陣を構成していた兵士が斃れる。致命傷にならず、まだ息がある者もいる。だがブリギッテらは苦渋の判断で目の前の瀕死の部下を見捨てた。

 今、陣形を崩せば、重装騎兵の突撃に切り替えられて陣形そのものが蹂躙される。それが分かるからだ。


「なんなのだ……あの積荷の中身は。箱自体はただの木箱のようだが、皮鎧すら貫き破壊する我らスヴァルトの一斉射撃にも耐えるとは……む」


 ローベルトは破壊された木箱から白い粉がこぼれているのを見つけた。それは彼にとってあまりなじみのないものだった。なぜなら彼は完成品ばかりを見にし、材料を目にすることなどついぞ、なかったのだ。


「小麦……?」


 木箱の中身はぎっしり詰められた小麦の袋であった。粉状のそれは物理的な衝撃を拡散させて防ぐ。例えハンマーで殴っても木箱は壊れても粉は破壊できない。

 それを取り除くには、袋を箱から一つ一つ、出さなくてはいけないが、そんなことをすれば官兵の反撃に合う。ましてや彼らの主要武器は弓矢、点で攻撃するその得物にとっては最悪の防御策だ。


「お返しだ、クロス・ボウ兵、一斉射撃!!」

「屋根か、こちらも反撃しろ!!」


 今度はブリギッテら官兵部隊の反撃であった。しかし槍方陣は動かない、攻撃はもっぱら屋根に配置したクロス・ボウ兵が行う。板金鎧すら穿つ弩弓の矢が軽装の弓騎兵を撃ち抜いていく。


「駄目です……角度の関係で当たりません」

「何……!!」


 二十騎以上の騎兵が兵士や、馬を倒されて戦闘不能になったのに対し、クロス・ボウ兵らはほとんど損害を受けていない。

 屋根の上という頭上にいるため、仰角の関係で弧を描いて進む弓矢からは死角となり、攻撃を受けないのだ。

 彼らは今、再び屋根の影に戻り、悠々とハンドルを回して次弾の矢を番える。数分後には再び一斉射撃だ。


「詰んだな……スヴァルト。後に残る方法は一つだけ」

「残る方法は……一つ」


 険しい顔つきの騎士ローベルトに対し、守るブリギッテはぎこちないながらも笑みを浮かべていた。

 長期戦になれば、なるほどスヴァルトは不利になっていく。物資を積んだ船を沈めたことがここにきて効いてきているのだ。

 スヴァルトに補給はない。食糧はもとより、矢の替え、手当てをする包帯。もしかすると突然の奇襲に驚いて鎧の下に防寒具すらつけていないのかもしれない。

 今は動いたから体が温かいもの、汗が冷えてくれば寒さが急速に体温を奪っていく。まず人間より先に馬がへばる。そうすれば機動力を失い、動くだけで特に、重装甲の槍騎兵は消耗していく。それを防ぐには……


「槍騎兵……前面横隊!!」

「ブリギッテ様、スヴァルト軍が突撃体勢に入りました!!」

「やはりその手か!!」


 馬にも武装させた重騎兵による一斉突撃は俗にランスチャージとも言われ、よく土石流や津波に例えられる。

 鎧を合わせ、総重量は百五十ダクト(約0.5トン)の塊が集団で突っ込んでくるのだ。人間などひとたまりもない。十年前の敗戦時、それを受けた父の姿をブリギッテは脳裏に思い浮かべていた。

 あまりにも無惨過ぎて言葉では言い表せない。車輪刑を受けて五体バラバラにされて死刑囚の方がまだ人の形をしているくらいだ。


「お前ら……これが最期だ、気合をいれろ。これを凌げば奴らに後はない!!」


 しかし騎兵は石や鉄の塊ではなく、あくまで生きた人間と馬だ。彼らの扱うランスよりも神官兵が扱う槍の方が射程はずっと長い。しかも彼らの方から突っ込んでくるのだ。その勢いのまま串刺しになるのは自明である。

 重騎兵はその防御力を支える重量故に一度攻勢を耐えられると後がない。機動力と俊敏性に欠け、離脱できないのだ。そのまま周囲の槍兵になぶられるしかない。

 だがスヴァルトに対し、常識を論ずることが非常識であることもブリギッテは理解していた。

 ハノーヴァー砦での戦いで、何度煮え湯を飲まされ、幾度の驚愕を覚えたことか。絶対はない、だが勝機はある。今度こそ彼らに勝つ。


「貴様ら、できるか?」

「そこはできるな、と聞いてください、ローベルト様。我らは十年程前まで峻厳なルーシの大地で生きてきたのです。この程度の障害など……」

「そうか、では行け……死ぬなよ」

「善処します、はっ!!」


 重騎兵とともになぜか槍方陣を突破できない軽騎兵も突進してきた。恐らくは破れかぶれになったものとブリギッテは推測した。弓矢で援護したとしても、正面突破を狙う友軍の重騎兵を巻き込む。


「来るぞ、神官兵の意地を見せてやれ!!」

「プロージット!!」


 速度の関係で軽騎兵が先頭に来る。だがそのさらに前に下馬した歩兵が先行していた。何をするのか、彼らは徐に小麦の入った木箱を手に取り……


「並べました!!」

「よし、行くぞ!!」

「嘘……」


 その瞬間、ブリギッテは自分が何を見ているのか理解できなかった。彼女にできたことはただ熱病を患ったように意味の分からないことをブツブツつぶやくだけであり、なんら建設的なことではなかった。

 そう、スヴァルト軽騎兵は、木箱を足場に、まるで階段でも上がるかのように倉庫の〈屋根へと駆け上がった〉のだ。

 ぎっしりと詰まった小麦は、重騎兵よりも大分軽い軽騎兵の重量をしっかりと分散させてその衝撃を吸収した。

 無論、そんな無茶を全員ができる訳がない。バランスを崩して落馬した者、単純に足場がその重さを支えきれずにひっくり返った者、だが目算で五十騎以上が成功したのは確実だ。


「ルーシの大地は草原だけではない。山も、崖もある。この程度の障害など、我らスヴァルトにとってはただの丘だ!!」

「今度はお前らが落ちろ!!」

「ひっ、がぁぁぁ!!」

  

 装填途中だったクロス・ボウ兵が馬に蹴り落とされて地面に落下していく。ある者は地面に叩き落されて潰れた果物のようになり、ある者は本隊の槍方陣の上に落され、友軍の槍で串刺しにされた。


「このまま槍方陣の後方に回れ!!」

「ブ、ブリギッテ様!!」

「慌てるな、まだ……まだ策はある!!」


 無論、ブリギッテにこれ以上の策はない。完全な詰みの状態だ。だがここでそれを正直に言えば元来が臆病な官兵部隊は潰走する。後方からは軽騎兵、前方からは重騎兵、絶体絶命だ。


「ここは市外まで撤退して……」

「馬鹿野郎、市民を危険に晒す気か。凱旋式を忘れたか、ここで退けばまた給料泥棒に逆戻りだ。蔑まれて、一生、冷や飯ぐらいでいたいか、明日の贅沢のために今日を犠牲にしろ!!」


 半分、訳がわからなくなりながらもブリギッテらは部下を叱咤する。その言い草は、というより怒号はそれなりに彼らを落ち着かせる効果があった。崩れることなく、槍方陣を維持し続ける。


「絶対絶滅の窮地にもまだ方陣を維持するか、なんと勇猛な兵士だ。さすがはバルムンクのファーヴニル精鋭部隊、もしや指揮官はリヒテルか、ならばここで決着をつけよう、さあ、我が槍に続け!!」


後方に回る軽騎兵と合わせるように重騎兵が突撃を開始する。彼は神官部隊をファーヴニル部隊と勘違い(そもそも服装が違うはずだが)していた。だがそれは官兵部隊には凶報でしかない。ローベルトはここに死に場所を見つけたのだ。

 リューネブルク港での死闘が終わろうとしていた。


*****


???―――


「港が襲撃されました、リヒテル様、すぐに救援に向かいましょう」

「いや、間に合わないだろう、半数で市の入り口で防衛線を張ってくれ。残りは私と共に司教府に向かって、裏切り者たるアーデルハイドとグレゴールを捕縛する」

「はっ、例の力……騎兵相手に見せつけてやります、我らが王よ」

「私は王と呼ばれるほど偉くはない」


 水の匂いがするその場所でリヒテルと、ファーヴニルらが集結していた。ファーヴニルらはバルムンクの構成員ではない、各地でスヴァルトに抗い、多額の賞金を懸けられたスヴァルトの言う、悪党どもだ。

 彼らはいの一番にエルンスト老の招集にいの一番に従った最も士気の高く勇猛な戦士であり、加えて〈王の力〉を手に入れたバルムンクの主力となる兵科でもある。その力を発揮する機会が早くもめぐってきたことに皆、ほくそ笑む。


「行け!!」

「おう!!」


 リヒテルの命令とともに、半数がスヴァルトを迎え撃つべく市内に向かっていく。そう、既にリヒテルはブリギッテら官兵部隊の全滅を確信していた。救援は間に合わない。その後悔は決して表に出すことはなかった。


「ブリギッテよ、今までの非礼と侮辱を撤回し、謝罪しよう。だから先にヴァルハラで待っているがいい。私も遠からず逝く」


 リヒテルは今回の襲撃をアーデルハイドが市外へ脱出するための囮であると見抜いていた。実際はグスタフの策略なのだが、さすがのリヒテルもそこまでは分からない。

 無辜の市民を犠牲にするこの策が、侠客を自認するファーヴニルが取る策か……答えは余りにも簡単すぎた。


「そこまで堕ちたか……姉上」


 悲しげな言葉は誰にも聞こえることなく空気に溶けていった。


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