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しめてやる  作者: 石榴
3/3

いつかしめてやる!!

「うぅぅぅ…」

目の前のありえない現実に、思わず呻き声が口から漏れる。

つか。呻き声しか出ない。

ナンなのよ、これ!?何で!?


判らない時はせいっだいに文句を言ってやろうと教わる身にしては

かなりデカイ態度で臨んだ勉強会。

あたしはかなり信じられない思いで答えの出たノートを凝視していた。

…何で理解できちゃうかな、あたし?

がっこの先生が教えてくれる事を理解出来なかったあたしがどうして

こんなクソガキの説明で理解できる訳!?


いや。そもそも勉強してんだから理解出来るに越した事は無い。

無いのだが。……納得いかない。


「熊が消化不良起こしたような声出してどうしたの、可奈さん?」

のほほん、とした口調でさらりとムカつく例えをしたクソガキをあた

しはギッと音がしそうな程キツク睨み付けた。

「オトメに向かって言う事なワケ?」

耳に届く自分の声が普段より低くてかーなりドスの聞いたものに

なっている気がするけど、この際どうでも良いや。

「オトメ…ねぇ」

「…な、なによ?」

にやりと笑いながら何だか意味ありげにそう言ったクソガキに思わず

身構えながらそれでも強い口調で返してやる。

「あのさ、『乙女』の意味、知ってる?」

「あたしのどおぉこがオトメじゃないってのよ!?」

ついカチンときて握り拳固めて声を荒げると、クソガキは更に作り

物っぽい笑いを浮かべていった。

「ふうん?可奈さんは『乙女』なんだ?」

「…それは何かしら?あたしがジュンジョウでもカレンでも無いって

 言いたい訳?」

ジュンジョウ、もカレンも漢字変換出来ないけれど。

例えば誰かがあたしが『オトメ』だと認めてくれちゃったとしたら

思いっきり驚いてそいつの正気を疑うかも知れないけれど。

とりあえず言ってみるのはタダだし、自分で解ってても目の前で否定

されるのはムカつく。

「…あぁ、やっぱり」

あたしの怒りをあっさりと流しながら、何かすっごい自分だけ判っちゃっ

てます、て感じの顔であたしを見た。

「何よ!?」

「うん。だって可奈さん『乙女』って『純情な女性』って意味だと思って

 るでしょ?」

「はぁ?」

それ以外に何の意味が有るってゆーのよ!?

「あのね、可奈さん、『乙女』って言うのはまぁ、『年の若い女性』って

 意味もあるし、今は可奈さんが思っているような意味でも使われたりす

 るけどね。元々は『成人した若い女性』って意味だったんだよ」

1度言葉を区切ると、クソガキは何かを計るような瞳であたしを見た。

「…?な、何よ!?」

その瞳の強さに思わず一瞬だけ肩をビクつかせてしまったあたしは、それ

を隠すように思いっきり強気な口調で返した。

自分の耳に届いた声が僅かに掠れて震えているようで、あたしは内心怒り

を覚える。

どうしてこんな年下のクソガキなんかに…!!


「ねえ可奈さん?『乙女』にはもう一つ、意味があるんだよ?」

そんなあたしに気付いているのかいないのか全く判らない。

でも面白がるような、そのくせ其処に何だか得体の知れない強い感情が有

るような口調でクソガキはゆっくりと口を開いた。

「もう一つはね、『処女の女性』って意味なんだ。ねえ、可奈さん?」

可奈さんは『乙女』なの?


無邪気そうに装ったとありありと判る子供っぽい口調でけろりとそう言っ

てくれたクソガキに、あたしは返す言葉も無かった。

自分の顔がもの凄く熱くなっている事を自覚して顔すら上げられなかった。



小学生(コドモ)のクセに…ッ!!コドモのクセに!!コドモのクセに!!!

ちくしょう!いつかしめてやる!!

お読み頂き、ありがとうございました~


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