覚えとけよ、クソガキ!!
このお話は、以下のお題で作成させて頂きました。
やってやる33の御題(御題配布所*せっと様(更夜亭)閉鎖)
「何?また赤点?」
背後から不意に呆れ返った声と影が降ってきて、あたしはびっくり
して掴んでいた紙の端をぐしゃりと握りつぶしてしまった。
あぁぁ~…しまった…
「う、ウルサイな!!見ないでよ!!」
内心の動揺をなるべく見せないように顔の筋肉を総動員して何でも
ないような顔を作ると、余裕綽々の足取りであたしの目の前に移動
して断りもナシに向かいの椅子に座ったそいつを睨みつけて言って
やった。
「見えたんだよ。可奈さん?で?また赤点?」
目の前の憎ッたらしい天敵は厭味ったらしくもう一度わざわざ問い
かけて下さった。
うぅ…が、我慢よ、あたし!!
「別にベンキョ出来なくても生きていけるもん」
「でもこのままなら確実に留年決定だね?」
「……っぐ」
痛いトコを突かれて反論も出来ないあたしに、にやり、と人の悪い
笑みを向けるとそいつは愉快そうに口を開いた。
「僕と同じ学年で学びたいなら早く言ってよ。3年留年してくれたら
追いつくから」
「お、お断りよ!!誰がッ…!!」
その言葉にあたしは思わずカッとなって椅子を蹴倒さんばかりの勢い
で立ち上がって叫んでしまった。
そんなあたしに嘘くさい笑顔を向けながら、目の前のクソガキはのた
まってくれちゃったのよ。
「可奈さん、図書館では静かにね?」
「……ッ」
「ほら、座りなよ、留年したくなかったら僕が教えてあげるからさ」
「…い…らないわよ!!何でアンタなんかに!!」
「可奈さん、今ちょっと頷きそうになったでしょ。素直になった方が
身の為だと思うけど?」
可愛らしく子供です、って顔でにっこり笑って見せてもあたしにとっ
ては何か企んでるようにしか見えないそいつの笑顔を、無言でぎ、っと
睨み続けてやると、そいつは仕方無さそうに溜息を付いた。
「僕のIQが高いのも、可奈さんがおバカさんなのも事実なんだから仕方
ないでしょ?でも大丈夫だよ、『ハタチ過ぎれば只の人』って良く
言うし、気にする事は無いよ」
「あんッたが頭良かろうが悪かろうがどっちでも良いのよ!!あたしが
ムカつくのはアンタの態度だ―ッ!!!」
「…可奈さんて、ほんと変わってるよね」
「アンタに言われたく無いわよ―ッ!」
……こうして今日もあたしは図書館を追い出された。
覚えとけよ、クソガキ!!