竜に選ばれし者
1.伝説の竜使い
異世界召喚の儀式は、無事に成功した。王国の宮廷魔術師たちが三日三晩にわたって魔素を注ぎ続けた魔法陣。その中心に現れたのは、見慣れぬ衣服を着た一人の青年だった。
名前はカイト。十九歳。ごく普通の日本の大学生である。召喚された者には、この世界に存在しない特殊な魔法能力が宿るという。
国王は期待に胸を膨らませ、さっそく宮廷魔術師長に命じて、カイトの能力を調べさせた。ところが、測定の結果は芳しくなかった。
剣術の才能は平凡。身体能力も平均的。魔素の制御能力に至っては、王宮の見習い魔術師にも及ばない。
ただ一つ、奇妙な固有能力が確認された。
《竜の共鳴》。
それが、カイトに与えられた能力だった。
ドラゴンは、この世界でも特別な存在である。山をも砕く膂力と強大な魔法能力を備え、数百年もの寿命を持つ。その力は一国の軍隊すら凌ぐとされ、人間が使役したという確かな記録は存在しない。
もしも、この能力がドラゴンに関係するものであれば、極めて貴重な力かもしれない。しかし、いくら調べても、具体的な効果は分からなかった。カイトが念じても、何も起こらない。呪文を唱えても、手をかざしても、まったく反応がない。
結局、王宮は彼を客人として迎え入れ、しばらく様子を見ることにした。カイト自身も拍子抜けしていた。異世界に召喚されたからには、何かとんでもない能力を授かっているものだと思っていたのだ。
せめて、ドラゴンに会う機会でもあればよいのだが。
そう考えていた、ある日のことだった。
*
王都の上空に、一頭のドラゴンが現れた。
城壁の見張りが警鐘を打ち鳴らし、王国騎士団が緊急出動した。赤銅色の鱗に包まれた巨大なドラゴンは、王都の上空を数回旋回した後、まっすぐ王宮へと降下してきた。
「総員、戦闘配置!」
騎士団長の号令が響く。ところが、ドラゴンは王宮の中庭に降り立つと、周囲の兵士たちには目もくれず、ある一点を見つめた。
そこには、騒ぎを聞いて外へ出てきたカイトがいた。
ドラゴンはゆっくりと歩み寄った。カイトは震え上がった。巨大な頭が、目の前まで迫ってくる。鋭い牙。太い角。人間など一口で飲み込めそうな顎。
しかし、ドラゴンは彼を食べようとはしなかった。
むしろ、ゆっくりと頭を下げ、地面に身を伏せたのである。そして、巨大な鼻先をカイトの身体に擦りつけた。
「……え?」
カイトがおそるおそる手を伸ばすと、ドラゴンは目を細め、喉の奥で低い音を鳴らした。
宮廷魔術師長が叫んだ。
「まさか……あのドラゴンが、人間に従っているというのか!?」
国王は玉座から立ち上がった。
「伝説の竜使い……! ついに我が王国に、竜を従える勇者が現れたのだ!」
王宮中に歓声が響き渡った。
その日を境に、カイトの人生は一変した。数日後には二頭目、さらに一週間後には三頭目のドラゴンが飛来した。いずれもカイトの周囲に集まり、彼のそばから離れようとしなかった。
宮廷魔術師たちは確信した。《竜の共鳴》とは、ドラゴンを従える伝説的な能力だったのだ。
こうしてカイトは、王国史上初の竜使いとして、国王直属の勇者に任命されたのである。
2.忠義の竜たち
ドラゴンたちの力は、想像を絶するものだった。
王都近郊に現れた巨大な魔獣は、赤銅色のドラゴンがひと息の炎で焼き払った。街道を占拠した魔物の群れも、別のドラゴンがひと薙ぎで蹴散らした。
カイトが出かけると、必ず数頭のドラゴンがついてきた。彼が危険に晒されれば、何よりも早く駆けつけ、敵を排除する。
「なんと頼もしい竜たちだ!」
「勇者様を命に代えてもお守りするつもりなのだ!」
王国の人々は、その忠誠ぶりに感嘆した。
しかも、ドラゴンたちはしばしば贈り物を持ってきた。ある日は巨大な鹿。またある日は、山ほどの魚。ときには、自分たちが仕留めた魔獣を丸ごと運んでくることさえあった。
ドラゴンは獲物をカイトの目の前に置き、じっと彼を見つめる。
「主人への献上品ですな!」
宮廷魔術師たちは感心した。
カイトも喜んで受け取った。もっとも、鹿を丸ごと一頭もらっても、どうすればよいのか分からない。結局、王宮の料理人たちに頼んで調理してもらうのだった。
*
困ったこともあった。ドラゴンたちは、カイトの命令をあまり聞かなかったのである。
「よし、あの岩を壊してみてくれ!」
ドラゴンは動かない。
「じゃあ、向こうの丘まで飛んでくれ!」
やはり動かない。
ところがカイトが岩によじ登ろうとすると、ドラゴンはすぐに首を伸ばし、彼を地面へ降ろしてしまった。
「何で降ろすんだよ!」
抗議しても、ドラゴンは頑として聞かない。カイトが馬に乗ろうとしたときなど、ドラゴンが馬とカイトの間に割って入り、とうとう馬が逃げ出してしまった。
ドラゴンの背中に乗せてもらおうとしても、うまくいかなかった。カイトを乗せて飛び立ちはするものの、彼が望んだ目的地へは向かわない。たいていは王宮の中庭か、郊外の静かな草地へ連れていき、そこで降ろしてしまう。
宮廷魔術師長は、これもドラゴンの忠誠心によるものだと説明した。
「竜は人間より遥かに優れた知性を持つ生き物です。勇者様の安全を第一に考え、危険な命令には従わないのでしょう!」
なるほど、とカイトは納得した。確かに、ドラゴンの判断力は人間より優れているのかもしれない。それに、命令を聞かないことはあっても、彼を危険から守ろうとすることだけは間違いなかった。
こうして王国では、竜使いカイトの名声がますます高まっていった。やがて彼の周囲に集まるドラゴンは、十二頭にまで増えた。
3.史上最強の竜騎士団
隣国との間で戦争が始まったのは、それから半年ほど後のことだった。
国境を越えて侵攻してきた敵軍は、およそ三万人。王国の国境守備隊では、到底防ぎきれない規模だった。しかし、国王には切り札があった。
竜使いカイトと、彼に従う十二頭のドラゴンである。ドラゴン一頭の戦闘能力は、並の騎士団を遥かに凌ぐ。それが十二頭もいるのだ。
「史上初の竜騎士団を編成する!」
国王は高らかに宣言した。王宮は歓喜に包まれた。
竜使いカイトを総大将とし、十二頭のドラゴンを率いて敵軍へ進撃する。これほど強力な軍勢は、王国の歴史に存在しなかった。
カイトも意気込んだ。今こそ、自分の力を王国のために役立てるときである。
*
出陣の日。
竜騎士団は、王都の城門から一歩も進めなかった。
カイトが馬に乗ろうとすると、ドラゴンが割って入る。徒歩で進もうとすると、別のドラゴンが進路を塞ぐ。それならばとドラゴンの背中に乗ってみたが、今度は王宮へ連れ戻されてしまった。
「違う! あっち! 敵軍はあっちなんだって!」
カイトは必死に指示した。しかし、ドラゴンたちは一向に従わない。
宮廷魔術師長は困惑した。
「勇者様を危険に晒したくないのでしょうか……」
「いや、でも、戦ってもらわないと困るんだけど」
「ごもっともです」
それでも、ドラゴンたちは動かなかった。
カイトが単身で先行し、現地でドラゴンたちを呼び寄せる作戦も試みられた。しかし、これも失敗した。国境へ向かう街道の途中で、突然上空からドラゴンが飛来したのである。巨大な顎が伸びてきたかと思うと、カイトは衣服の背中をくわえられ、そのまま空中へ持ち上げられてしまった。
「ちょっ、待っ……!」
驚く騎士たちを尻目に、ドラゴンは彼を連れ去った。
たどり着いたのは、王都から遠く離れた山奥だった。岩山の中腹に巨大な洞窟があり、その内部には枯れ枝や草が山のように積み上げられていた。どうやらドラゴンの巣らしい。
ドラゴンはカイトを草の上に降ろすと、洞窟の隅から鹿の死骸を一頭運び、彼の目の前へ押し出した。
「……いや、今は腹減ってないんだけど」
ドラゴンは首を傾げた。そして、もう一頭の鹿を運んできた。
「だから、いらないって!」
結局、カイトが救出されたのは翌日のことだった。
王国史上初の竜騎士団は、敵軍と一度も交戦することなく、活動を中断することになった。
王宮では緊急会議が開かれた。
「勇者様への忠誠が強すぎるのです!」
「しかし、これでは軍として使えませんぞ!」
「何とか竜たちを説得する方法はないのか!」
宮廷魔術師たちは頭を抱えた。そんな折、王立研究所から、一通の報告書が届いた。
4.竜の共鳴
研究所は、カイトが召喚されてからずっと、《竜の共鳴》と竜の関係を地道に調べ続けていた。
魔素の変動周期。信号の強度。魔素体による制御の特徴。そして得られた測定結果を、竜に関するあらゆる記録と比較する。
そしてある日、ついに研究者たちは発見した。
「幼竜の給餌要求信号と、ほぼ完全に一致しているだと!?」
間違いなかった。
カイトの《竜の共鳴》は、周囲のドラゴンに対して、幼竜特有の魔素信号を発信する能力だったのである。しかも、その信号は本物の幼竜より遥かに強かった。
通常、幼竜の発する信号は、自分の巣の周辺にいる成体へ届く程度である。ところがカイトの場合、その何百倍もの範囲へ、絶え間なく信号を放出していた。だからこそ、遠く離れた山々からドラゴンたちが集まってきたのだ。
研究所長は、震える手で報告書をまとめた。
*
報告を受けた王宮は、騒然となった。
「つまり、どういうことなのだ?」
国王が尋ねた。研究所長は、慎重に言葉を選んだ。
「勇者様は、ドラゴンを従えておられたわけではなかった、ということです」
「では、あの竜たちは何なのだ?」
「勇者様を、保護すべき幼体として認識していたものと思われます」
国王は黙り込んだ。宮廷魔術師長も黙り込んだ。カイトも黙り込んだ。
しばらくして、カイトが口を開いた。
「…じゃあ、オレに鹿とか魚を持ってきてたのは…」
「給餌行動でしょう」
「敵から守ってくれてたのは」
「幼体の防衛行動です」
「馬に乗ろうとすると邪魔してきたのは」
「危険な行動を制止していたのでしょう」
「勝手に山奥へ連れていかれたのは」
「安全な巣への移送行動と思われます」
カイトは天井を見上げた。これまでの出来事が、次々と頭の中を駆け巡っていく。
自分の周りに集まるドラゴンたち。大量の獲物。過剰なまでの警護。言うことを聞かず、危険な場所へ行かせまいとする行動。
すべて、一本の筋が通っていた。
「……つまり、オレは?」
研究所長は、少し気まずそうに答えた。
「ドラゴンたちから見れば、非常に保護欲を刺激する、大きな幼竜のような存在かと」
「……赤ん坊ってことですか?」
「平たく申し上げれば、そうなります」
要するに。
伝説の竜使いは、ドラゴンたちから見れば――
伝説的に可愛い、赤ちゃんだったのである。
5.王国を守るもの
王宮は、再び頭を抱えた。
勇者カイトは、ドラゴンを従えていたわけではなかった。しかも、ドラゴンたちは彼を自分たちで保護しなければならない未熟な存在として扱っていた。これでは、竜騎士団など編成できるはずがない。
しかし、ドラゴンたちの戦闘能力が本物であることも、また事実だった。彼らはカイトの命令には従わないが、彼を守るためであれば、どれほど強大な魔物でも容赦なく攻撃する。
そこで、王国の軍師たちは新しい戦術を考案した。
カイトを危険な場所へ連れていくのではなく、最初から安全な場所に置き、そこをドラゴンたちに守らせればよいのである。
王国は、国境にある大きな要塞を改修した。中庭を広げ、ドラゴンたちが降り立てる場所を設ける。建物の一部を取り壊し、竜たちが好む岩場や草地を用意する。さらに、カイトが長期間滞在できる、安全で快適な居室を整えた。
「これって、つまり……オレのために巣を作ってるんですよね?」
カイトが尋ねた。研究所長は頷いた。
「そういうことになります」
「赤ん坊の部屋を用意するみたいな?」
「そうですね」
カイトはため息をついた。
それでも、自分の力が王国の役に立つのであれば、やってみる価値はある。彼は要塞へ移り住むことを承諾した。
*
作戦は、予想以上にうまくいった。
カイトが要塞へ到着すると、ドラゴンたちも次々と集まってきた。やがて周囲を自分たちの縄張りとして扱うようになり、中庭には大量の獲物や枯れ枝が運び込まれた。
王国の軍事施設が、日に日にドラゴンの営巣地へと変わっていったのである。
そして、隣国軍が要塞へ攻撃を仕掛けてきた日。
敵軍の攻城兵器が放った巨大な岩石が、要塞の外壁へ激突した。轟音が響く。
その瞬間、要塞の中庭で休んでいた十二頭のドラゴンが、一斉に顔を上げた。
次の瞬間。
巨大な翼が風を巻き起こし、空が赤銅色の鱗で埋め尽くされた。ドラゴンたちは敵軍へ襲いかかった。
炎が大地を焼き、巨大な爪が攻城兵器を粉砕する。隣国軍は必死に抵抗したが、圧倒的な力の差を覆すことはできなかった。
敵軍は壊滅的な損害を受け、撤退を余儀なくされた。
王国は勝利したのである。
もっとも、肝心のカイトは、その間ずっと要塞の居室にいた。ドラゴンたちが彼を外へ出そうとしなかったからである。
それでも、彼の役割は明確だった。カイトがそこにいる限り、ドラゴンたちは要塞を守り続ける。
ついに王国は、ドラゴンの能力を軍事的に利用することに成功したのだった。
6.竜に選ばれし者
戦争が終結した後、王宮では盛大な叙勲式が開かれた。
勇者カイト。王国史上初めてドラゴンたちの力を人類の防衛に利用し、隣国の大軍を撃退した英雄である。その功績は、誰にも否定できなかった。
王宮の広場には数千人の市民が集まり、その周囲には十二頭のドラゴンが堂々と身を伏せていた。
国王が壇上へ進み出た。
「勇者カイトよ。そなたは我が王国に未曾有の勝利をもたらした」
国王は満員の広場を見渡したあと、目の前の若き勇者に向き直り、高らかに宣言した。
「ここにその功績を讃え、<王国守護竜 終身名誉幼児>の称号を授ける!」
大歓声が巻き起こった。
王国守護竜 終身名誉幼児。
王国が建国以来初めて授与する、最高位の名誉称号である。
カイトは、その名前を頭の中でゆっくりと反芻した。
王国守護竜。そこまではいい。
終身名誉。これも立派だ。
幼児。
王国守護竜、終身名誉、幼児。
カイトは、そっと目を伏せた。
確かに、ドラゴンたちは自分を幼体として扱っている。そのおかげで王国を守ることができたのも事実だった。国王はその功績を正しく評価し、最もふさわしい称号を考えてくれたのだろう。
何一つ間違っていない。
それが、何ともやりきれなかった。
異世界に召喚されたときには、伝説の勇者として活躍する自分を想像したものだった。実際にドラゴンたちを従え、王国の危機を救い、こうして国王から最高の栄誉を授けられるところまで来た。
そして、たどり着いたのがこの、終身名誉幼児である。
どうにか格好のつく解釈がないものかと考えてみたが、考えれば考えるほど、最後の二文字が重くのしかかってくる。
周囲では拍手が鳴りやまない。国王は誇らしげに微笑み、騎士団長は感慨深そうに頷いている。
誰も笑っていなかった。
カイトは深々と頭を下げた。そして、国王から王家に代々伝わる美しい宝剣を受け取った。
見れば白銀の刀身には精緻な装飾が施され、柄には大粒の宝石が埋め込まれている。
すごく英雄っぽい。
ようやく少しは格好がついた気がした、そのときだった。
*
広場の端で休んでいた赤銅色のドラゴンが、突然立ち上がった。
巨大な首が伸びてくる。そして、カイトの手元から宝剣をくわえ取ってしまった。
「えっ?」
ドラゴンは宝剣を少し離れた場所へ放り投げた。高価な宝石が埋め込まれた鞘が、石畳の上を転がっていく。
広場が静まり返った。
カイトは慌てて宝剣を拾おうとした。しかし、ドラゴンは彼の進路を塞ぎ、巨大な鼻先で身体を押した。
「ちょっ、待って! それ国王陛下からいただいた……!」
ドラゴンは聞かなかった。再び鼻先で押され、カイトは地面に尻もちをついた。
国王も、貴族たちも、騎士団長も、呆然とその光景を見つめていた。王国最高位の叙勲式。その主役が、ドラゴンに武器を取り上げられ、尻もちをついている。
赤銅色のドラゴンは、彼をじっと見つめ、やがて何かを思い出したように顔を上げると、大きな翼を広げ、広場の外へ飛び去っていった。
国王は咳払いをした。
「う、うむ。では、叙勲式を続けるとしよう」
そのとき、遠くから羽ばたきの音が聞こえてきた。さっきのドラゴンが戻ってきたのである。
巨大な顎には、一頭の鹿がくわえられていた。ドラゴンはカイトの前に鹿を置くと、じっと彼を見つめた。
「……また鹿か…」
カイトは小さくため息をついた。
しかし、その日のドラゴンは、少し様子が違っていた。カイトが鹿から目を逸らすと、巨大な鼻先で鹿を押し、彼の方へ近づけてきた。
「分かったって。ちゃんと食べるから」
ドラゴンは、なおも動かない。そして、突然、鹿の後脚に噛みついた。太い骨が、ばきばきと音を立てて砕ける。
ドラゴンは鹿の肉を何度か噛み砕いた後、カイトに顔を近づけた。
カイトは嫌な予感がした。
脳裏に、王立研究所の報告書がよみがえる。
『ドラゴンの成体は獲物を噛み砕き、幼体が摂食しやすい状態にして与えることがある』
「……ああ」
カイトは、小さく声を漏らした。
ドラゴンが口を開いて、顔を近づけてきた。巨大な舌の上には、唾液まみれになった鹿の肉が載っている。
カイトは、ゆっくりと後ずさった。
すると、その様子を見ていた別のドラゴンが立ち上がった。一頭。また一頭。やがて、広場にいた十二頭のドラゴンが、次々とカイトの周囲へ集まってきた。
幼体がなかなか餌を食べようとしないので、皆で様子を見に来たらしい。
王国の人々は、その光景を固唾を呑んで見守っていた。
これが、王国史上初の竜使い。
隣国の大軍を退けた英雄にして、王国守護竜 終身名誉幼児。……なるほど、まさに。
カイトはすっかり疲れ果てた顔で、目の前の鹿の肉を見つめ、静かに悟った。
どうやら自分は、一生この竜たちに育てられるらしい。




