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モータースポーツ講座・再

2月10日。


ボクたちはルイスさんの飛行機に乗ってバーレーンへと飛んだ。


最初はもちろんビックリしたとも。

飛行機を、個人で、持ってる!?!?ってなったよ。


どういうことだよって思った。

でもこれがF1のトップに立つ人なんだな、とも思う。


ボクはそういう次元の世界に足を踏み入れたんだ。

そう思うと誇らしかった。


「『裕毅、それ何?』」


ジャンニさんがボクの手元を覗き込み、そう聞いてきた。


「『メモです。簡単な日記なんかも付けてるんです』」


最近はスマホでもメモを取れるが、ボクはなんだか紙に書くこのスタイルが好きなのだ。


未だに会う人はほとんどが年上。

先輩方のありがたい言葉を、逐一メモに取る。


そうすることでボクは色んなものを吸収して、もっとすごいレーサーになれる。


…と信じている。


ボクの今の目標は瀬名さんだ。

今の、っていうかずっとなんだけど。


瀬名さんは考えられる中で最高の結果を残した。


次はボクの番だ。


だって、ボクは瀬名さんの弟子だもん。


期待されてるのだって知っている。

なら、その期待を超えてやる。


もう一度F1界に旋風を巻き起こしてやる。


日本のモータースポーツのため、夢を見る後輩たちのため、そして。


瀬名さんのことを、みんなの記憶から色褪せさせないために。







チームレンペルのピット内。


今日はプレシーズンテストが行われる日だ。

ボクが初めてF1のマシンに乗る日でもある。


周りの大人たちはせわしなく動き、マシンを準備している。

シミュレーターでの予行練習は完璧。


コースも全部覚えてる。


「『裕毅、準備完了だ。乗ってくれ』」


さあ、シーズンが始まる前から、ボクのショータイムは始まるんだぞ…!









「『うぅ…なーんでこうなるんですかねぇ…』」


「『なんか、懐かしさを覚えるわ。2年前の瀬名を見てるようで』」


「『…誰しも、最初はそんなもんだ』」


テストでのアタックを終えたボクは、近くのカフェでジャンニさんたちに慰められていた。

ボクが記録したタイムは1分36秒552。


トップタイムを出したグァンちゃんは1分28秒369だから、とんでもない差だ。


全く攻めきれなかった。


スーパーフォーミュラから更に一段、二段ほど上のスピードレンジに、ビビってしまった。

スピード感に恐怖したのは、初めてレーシングカートに乗った時以来だ。


悲しみに打ちひしがれていると、カフェの入口からカランコロンと音がした。


誰かが入ってきたようだ。


「『…よう。お疲れ』」


トップタイムを叩き出したその人。

グァンちゃんだった。


ボクは席を立つと、グァンちゃんを席に案内すべく迎えに行く。


「『なんだか余裕の表情ですねぇ!このっこのっ!』」


グァンちゃんの脇腹にポフポフとパンチをお見舞いする。


「『そんなこたぁねえよ。内心ビクビクさ』」


むきーっ!半笑いじゃないですか!!!


四人席の隣に、グァンちゃんを座らせる。

対面にはフェラーリのお二人が座ってる。


「『周もバーレーンに慣れたみたいだねぇ。初年度は今日の裕毅と大差なかったよ』」


なんかナチュラルにボクがディスられた気がするが、気にしないでおこう。


「『バーレーンに慣れたっつーよりかは、F1に慣れたって方が正しいかもな。こればっかりは時間だ。まぁ、初戦から2位を獲る某バケモンもいるが…』」


おいグァンちゃん。

みんなの憧れ瀬名さんを某で隠すなっ。


「『んで、その裕毅のお師匠さんが初戦から活躍できたのには理由があったわけだ。』」


「『…その通り。せっかくだから裕毅も体感しておくといい。』」


え?何を???








ジャンニ先生の分かりやすいモータースポーツ講座【連続コーナーの処理編】



これをさ。裕毅。


「『なんか始まった!?』」


みなさんどうも、F1ドライバーのジャンニ・ルクレールです。

あの光速の貴公子を王者に押し上げた、そう。ぼくです。


もちろん彼の実力もある。大いにある。

けど、これが無ければ少なくとも初戦は某グァンちゃんみたいに下位に沈んでいた可能性が高いと自負してるよ。


「『クソやかましいわ。……某で隠れてねえし!!!』」


はい。(無視)

さて、今回は連続するコーナーの処理ということで。


見た感じ、裕毅はコース中盤の連続コーナーが苦手みたいだね?


「『…はい。どうしてもこのスピードで次々に壁が迫ってくるのが怖くて…』」


わかる~。

ぼくもルーキーの時そんな感じだった~。


いいね、初々しくて可愛いと思うよ。


「『…おい。』」


なあにグァンちゃん…おーおー目が怖い目が怖い。

話を戻しましょう。


連続コーナーで恐怖を感じてしまうのは、やっぱり目線が壁の方を向いているからだと、ぼくは考えてるんだ。


特に高速でコーナリングをするときは、この『目線移動』ってのがとても大事になる。

現在クリアしようとしているコーナーを見続けるのではなく、視線を進路のさらに先へ移動させることが重要なんだ。


簡単に言えば、一個先のコーナーのクリッピングポイントを見ることを意識するといいと思うよ。


…おっ、早速メモ取ってるねぇいいねぇ。


「『手前を見すぎちゃダメってことですね?』」


そうそう。

コースも人生も、常に目線を上げて先を見るべし。


「『…それはちょっと何言ってるかわかんないです』」


…。

ということで!今回の講座は以上です!


皆様、いいレースを~~~!!!


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― 新着の感想 ―
モータースポーツ講座!!!!懐かしい!!!! 瀬名くんも受けてましたね(笑) 本当に瀬名くんのおかげで裕毅くんが温かくそしてスムーズに受け入れてもらえているのを感じます(*'ω'*)
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