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11・雌狩・辺流薔薇亜怒・頭火・激嬢の真実

「なぜに、余がデッチなのだ?」


「オマエの名前は長すぎる、しかもわかりにくい、さらにはこの名札の中に収まりきれねえ。こんな時にはいい妙案があるのさ」


「そもそも余の真名はデビルスター、、、うんん?妙案、なんだそれは?」


「ショートカット、短縮URLのようなものさ、ニックネームとも言うが」


「俺がちょっと前にいた世界では便利なものでな。長い文字列や名前なんかがあれば、コンパクトに纏めちまうってやつだ。しかも意味はそのまま通じるのさ」


「それは便利だのう?例えばどうやるのだ?」


「よくあるのはコンビニとかだ。本当はコンビニエンスストアが正式名称だが、面倒なので、最初をとってコンビニで、済ませるのさ」


「あとは、オマエのように、単語の頭文字をとって繋げてみるとかな。ほっかほっかで暖かい手作りのお弁当を、ほか弁と一言で言うようにな」


「デビルスター・パパラッチ・ボージョレー・コーネリアス四世なんて、フルネームで誰も呼ばねえし覚えてもくれねえ。だから短縮アンド語呂合わせで、デッチ・ボーコーにした。これなら名札に収まる。「見習い デッチ・ボーコー」とな。しかも覚えやすい。さらには俺のちょっと前にいた世界においても、見習いとしてもぴったりの名前だ」


「デビルスターのデ、パパラッチのッチ、ボージョレーのボー、コーネリアスのコーを絶妙な配置でつなげて、さらに本来の真名を崩さず絶妙な匙加減で仕上げてあるのさ」


「先生、お見事です。先生のネーミングセンスには、毎回衝撃的なリスペクトしかありません。」


「いや、待て貴様ら、余の名はここではこれからデッチ・ボーコーなのか?何やら薄々と悪意のようなものを感じるのだが、、、、」


「オマエ、先生のネーミングに不服なのか!?」


「いや、そうではないが、何かささやかな悪意を感じるのは気のせいか、、、」


「ええい、しのごの言うな!私が名札をつけてやるからじっとしていろ!」


「ウギャアー!痛い、余の胸にその安全ピンが貫通しておるではないか!貴様、わざとやっておろう!?」


「オマエなんぞが先生のお眼鏡に叶うわけなどない!オマエなど消えてなくなれ!」



「フッ、仲の良いことじゃて、、、、」


「いや、ちょっと待て、、、危うくスルーするところであったが、あ奴ら確か貴様のことを、彼女とか言わなかったか?」


「それがどうした?私は女だ。」


「ええッ!?なんだと?貴様、男ではなかったのか?どうみてもその見た目、姿、出立ち、後ろに束ねた美しい銀髪、涼しい切長の目、尖った耳、スラリと長身の品の良い戦闘服というか軍服に身を纏った、眉目秀麗の貴公子そのものではないか!? 、しかもちゃんと胸も「ペタンコ」ではないか、、、まあ、、、、美しい系の美青年にも見えるし、、、確かによく見れば百合っぽいというか、、、」


「オマエ、ペタンコの部分だけ声が嬉しそうだったな」



「フォッ、メスカルはな、一見眉目秀麗の美青年貴公子のように見えはするが、実は男装の麗人なのじゃ。しかしてその実態は世にも美しいハーフエルフの女なのじゃ!」


「なんだと!?」


「あやつはな、幼少の頃に、魔族に村を襲われて一族を全滅させられたのじゃ。それゆえ魔族に対する恨みは生半可ではない。その最後の生き残りとしてダンディに助けられ、育てられたゆえ、ダンディへの敬愛は半端ではないのじゃ。その美貌と素性を隠すために小さい頃から男装でカムフラージュしておる、と言いたいところじゃが、そうではなく、なぜかダンディの趣味というか、ちょっと前にいた世界の影響を受けて、ヅカというか男装の麗人の方向へ自ら走ってしまって今に至るのじゃ!お主も大概可愛い顔をしておるが、あやつの男装を解いた時の、夜の顔を侮らぬがよかろうて、、、」


「なんと、、、そうであったか?!、、、一瞬、本当にクラッと、、、いや、危なかったわ、、、、危うく余も騙されるところであったわ!」


「先生の女は私一人で十分だ。オマエのようなケツの青いガキでは、先生を満足させることなど到底出来はしない!!」


「なにい、貴様!魔界最強レベルの、余の女ヂカラを舐めるなよ!!!」



「フォッ、フォッ、今宵は素晴らしい夜じゃて。ついに最高の役者が揃ったことじゃて、のう、ダンディよ!?」


「ああ、爺さん、今夜は最高にクールだぜ」


「耐え忍んだ甲斐があったでござる」影も感無量のようだ。



「貴様らの企みがなんだかよく分からんが、、、、とにかく殺ってやるわ!酒を飲ませて意識を飛ばして、つまみを出して満腹で動けぬようにして、呪詛をかけて客を惑わし、、弱って崩れ落ちた時に生き血を啜い尽くしてな、、、、世の地獄のフルコースでこの国のVIPどもを全員冥土に送ってやるわ!


ここに来る客どもなど秒で皆殺しにしてくれるわ!余につまらぬ情けをかけたこと、余の戦闘力を封印しなかったこと、余にBARの接客を解禁したこと、、、愚か者の貴様らに死ぬほど後悔させてやるわ!あとで吠え面をかくがよい!」


「オマエ!それはこちらのセリフだ!食い逃げで死刑になりかけたオマエのメンタル弱弱のガラスのハートが、今度こそ粉々に砕かれないように、せいぜい精進するんだな!」


「貴様ァッ!食い逃げって言うなぁ!!!!!」


こうして、長い準備期間を経て、ついににBAR ダンディワールドが開店の狼煙を上げた。


「今夜は無礼講じゃ!今日からわしらは仲間じゃ!生涯の友じゃ!家族じゃ!皆のもの、好きなだけ飲むがよい!喰らうが良い!そし明日からは全力でそれぞれの想いを精一杯ぶつけるが良い!」


BARダンディワールドの宴が延々と続いていった。


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