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7番目の魔女  作者: 小谷草
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レオの行方は2

 魔女の館――最初の魔女が生涯を過ごしたとされる館で、今は博物館として市民に親しまれている。そこには秘密の間という隠し部屋があって、魔女といわれた魔法使いはそこで力を得られるという噂だ。

「魔女の館って、魔女の幽霊がでるって噂があるよね。高校のころ行ったけど、ちょっと雰囲気あるなと思ったんだ」

 ミリアは地域探索部のみんなで行った時のことを振り返る。レオもいて、ペアで色々見て回って楽しかったのを覚えている。

「あそこは地脈に直結する霊地になっているモグ。霊地では、神子と言われる魔法使いなら、その場の魔力を使えたりするモグよ。そして秘密の間には高い魔力を持つ魔法使いしか入れないモグ。魔女は秘密の間に入ることで魔力がさらに高くなる。組織はミリアにその高い魔力を使って何かさせたいモグよ」

「何かってなんだよ」

 アイラがモググを睨む。間々田が自身の考察を口にする。

「一説によると、秘密の間では、過去魔女が使った魔法を再現できるとされている。例の結界装置は、あの館で作られているという話もあるんだ。組織が6番目の魔女の力を使おうとしているなら、大変なことになるな」

 6番目の魔女の力は「夢」といわれている。

「あの魔女は戦争で心を壊した人たちを癒したと言われているけど?」と、ミリアは疑問を口にする。

「ああ、だが6番目の魔女の『夢』の力は心を癒すだけじゃない。悪用すると人を洗脳することができるんだ。今回のテロでもモンスター化した人たちに洗脳が使われたんじゃないかと言われている」

 思い出すのは、市長に向かっていったあの老人だった。娘を組織との抗争で失ったと言っていたが、その恨みが組織ではなく市長に向かったのを不思議に思ったことがあった。あれがもし組織に洗脳された結果だとしたら……。

「憎悪をゼロから作ることはできないが、憎悪の方向性を洗脳の力で歪めることはできる。今はまだ集団を洗脳することはできないが、魔女の高い魔力を洗脳に利用するとしたら……、赤堤市は大変なことになるぞ」

 間々田は言う。

「魔女の魔力を完全に開放するなら、この市にいる人々を洗脳することも不可能じゃないですわね。洗脳の力は本来普通の精神状態の人間には聞かないものだけど、魔女の強力な力なら強引に洗脳できるかもしれないですわ。ミリアに言うことを聞かせるためにご両親を狙い、レオさんを誘拐したということですの?」

 モニカが推論を話すと、間々田が答える。

「ミリア君は魔女だ。だがミリア君の親しい人になにかあったら洗脳を行うためのスキが生まれるかもしれない。魔女の館に乗り込むのは危険だ」

 モニカは反論する。

「とはいえ、人質がとられた時点で、いずれ組織から呼び出しがあるのは間違いないですわ。組織の準備が整う前にこちらから打って出るのはありかもですね」

 モニカの言葉に勇気づけられ、ミリアは言い募る。

「今ならあいつらの不意を突くことができる。このまま待ってても事態が好転するとは思えない。お願い、行かせて!」

 懇願するミリアだが、スクワーレは厳しい表情を崩さない。

「ダメだ。危険が大きすぎる。霊地で魔法を使うのは禁忌と言われている。そこで魔法を使いすぎると消えてしまうとも言うしな」

 だが反対意見は外からもあった。アイラだ。

「組織から人質について連絡があったら、どうせミリアは飛び出していくだろ、こいつの性格的に。仮にこいつを引き留めても人質に何かあったらコイツは敵になるかもしれない。私たち以上に組織の魔法使いに対処できる存在はいない。こっちから攻めていった方がいいんじゃね?」

 3人から反対意見が出て、さすがのスクワーレも悩んだ様子だ。

「私はスクワーレに従う」

 そう告げたのはノルンだった。真剣な、だが信頼の籠った瞳で見つめられ、スクワーレは少しひるんだ。

「魔法が制御できず、家族にも捨てられた私に居場所を作ってくれたのはスクワーレだ。間々田さんもモニカもよくしてくれるけど、やっぱりスクワーレが一番に認めてくれたから今の私がある。ここで魔女の館にいくか、そうしない方がいいのかは私にはわからない。でも、ミリアにとって大切な人を助けに行けるかどうかは重要な分岐点だと思う」

 ノルンが真剣な口調で言葉をつないだ。

 話を進める7課の面々の後ろで、モググは小さくつぶやく。

「あの時は敵に回った7課のメンバーが助けてくれるモグか…。やっぱり――がいないと、流れは良い方に向かうモグね」

 呆然としているモググを見て、ミリアが言う。

「ごめんね、アンタは反対だろうけど、私は行くから」

 ミリアは申し訳なさそうに伝える。そのとき、ミリアとモググの間に一枚の和紙が降ってきた。前回と同じように、その和紙には古臭い文字が書かれていた。

「7番目の魔女へ。一人で行ってはダメ。仲間を信じなさい。あなたの望む未来はきっとその先にあるのだから」

 モググは驚いたような顔でその和紙を見つめた。

「この和紙は4番目の魔女が送った予言のメッセージモグ。彼女は魔女の中で唯一未来に干渉することができたと言われているモグよ」

 モニカがモググに続く。

「特定の人物が特定の行動をしたときにメッセージがもたらされるんでしたっけ? 眉唾だと思ってましたけど、こうやって直に見ることができるとは…。メッセージに従うと望みの結果が得られやすいのはこれまでの出来事で証明されていますわ。これは攻めあるのみ、ですわね」

 それを見てスクワーレも攻勢を決意する。

「本来なら護衛対象を危険にさらすのはタブーなんだがな。ミリアさんの意志に逆らうことは魔女の力を敵に回すことにつながる、か。分かった。魔女の館に向かおう。ただし、ミリアさん、こちらの命令には絶対に従ってもらうぞ」

 そう告げると、ミリアははじけるような笑顔で頷いた。

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