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7番目の魔女  作者: 小谷草
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プロローグ

数多くの小説の中から読んでいただき、ありがとうございます。

 暖かい日差しを浴びながら道路沿いの道を歩く。ゆっくりと足を進めていく途中で、ここが家の近くの公園へ続く道だとミリアは気づいた。

 公園の中の奥のベンチに人影があった。その影はミリアと同じくらいの年頃の女性だろうか、ミリアに背を向けてうつむいている様子だった。

 なぜだかほおっておけなくて、そのままベンチに近づくと、「大丈夫」と声をかける。顔を上げた彼女の目は赤く、頬はぬれていた。

 名前は思い出せないけど、顔もしらないようだけど、ミリアは彼女のことをよく知っていることが分かった。

「ほら、泣かないで」

 そう言ってハンカチを渡すと、彼女は涙の跡を拭いた。

 しばらく泣き声だけが公園に響いた。ミリアは彼女が落ち着くまで、背中をさすりながら見守った。

「・・・、ありがとう」

 彼女は小さくお礼を言うと、不器用に笑いながらミリアの顔を見た。その表情に、ミリアは思わず口をとがらせる。

「でもどこいってたの? ずっと探したんだけど」

 彼女は申し訳なさそうに「ごめんね」と言葉を返した。

 聞きたいことはたくさんあった。そのはずなのに、次の言葉が見つからない。

 そんなミリアを見て、彼女は悲しそうな笑顔を浮かべた。

「ごめんね」

 もう一度言う彼女の顔は、また泣き出しそうだった。

「なにいってるの。悪いのは私でしょ? ――があやまることなんて何一つないじゃない。アンタはいつも一生懸命だって、何一つ悪くないって、私は分かってるから」

 この子にそんな顔をさせたくなくて、反射的に伝えていた。

「うん。ありがとう。ねえミリ、ここ覚えてる? 小さい時、よく遊んだよね。ミリはあの時からおてんばで、ヒョーゴ君にからかわれた私を助けて、やり返してくれたよね。それでいつの間にかヒョーゴ君とも仲良くなって、みんなで一緒に遊んだの。私、今でも時々思い出すんだ」

 彼女は昔を振り返り、思い出話を語る。ミリアは小さい時のことを思い出し、顔を赤くする。

「いやあのときは子供だったし、――がいつも一緒だったから」

 照れたように言うと、彼女と目が合い、どちらともなく吹き出した。

「なつかしいね」

 彼女は言う。その表情がもう戻れない何かに思いをはせているように見えて、ミリアは誤魔化すように言葉を紡いだ。

「――、どこにも行かないよね?」

 彼女はうつむくと、決意を込めた表情を見せる。

「私は、まだ私にできることがあるとわかって、嬉しかったんだ」

 彼女はまっすぐな目でミリアを見つめていた。

「今度はきっと私がいないから大丈夫。またミリが笑えるように、今度こそ間違えないから」

 今度こそ? 間違えない? 疑問に思ったところで、視界がゆっくりとぼやけてきた。

 慌てるミリアに彼女は泣き笑いの表情で答える。

「大丈夫。ミリが笑ってすごせるよう、離れていてもできることをするからね」

 焦りは募るばかりだった。そして、遠くで目覚まし時計の音が聞こえてきた。頬が強く引っ張られる感覚がある。

「ミリは最後まであきらめないって、私は知ってるから。あなたに与えられた力は破壊なんかじゃない。魔法なんかなくてもミリにはは未来を創る力があるんだから」

 そして真っ白な光に包まれた――。

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