幼馴染のメリーさんは後ろじゃなくて傍がいい〜幼馴染×可愛い=最高です〜
『私、今後ろにいるの』
なんてメッセージがスマホに送られてくると同時に
トントンッ
と肩をつつかれる。
「一緒にかーえろっ!」
この後ろから話しかけてきためっちゃ可愛いこの子はメリーさん。いや、これはあだ名。本名は坂口愛奈。俺の彼女だ!
黒髪ロングで身長150ちょっと。すっごい可愛い。何度でも言ってやる。めっちゃ可愛い
ちなみにメリーさんって呼ばれるようになったのは人に話しかける際に今みたいに静かに後ろに立つ癖があるからだ。
そんな癖がある上に影も薄くて後ろに立たれても気付けない。だから結構ビビっちゃう人が多い。というか普通は驚く。
そして本人は、そのあだ名を嫌ってないのか気に入っているのか、今ではさっきみたいに『私、今あなたの後ろにいるの』なんてメッセージを送ってくるほどだ。
慣れるまでは心臓に悪かった……
「ねぇねぇ、たっくん。ねぇってば〜」
「おお。ごめん。どうした?」
たっくんってのは俺のこと。清水拓海、下の名前からたっくんと呼ばれている。
「帰ろ〜よ〜。今日ね!家にモンブランあるみたいんだぁ。おばさんが用意してくれたみたい、ほら!」
母さん……俺には言わずに愛菜には言ってるのか……
実は俺たち幼馴染で、愛菜のおばさんは俺の母さん、俺のおばさんは愛菜の母さんの事だ。
まぁそんな呼び方をするくらいには家族ぐるみで仲がいい。
「でも、さっきからぼーっとしてるね〜 疲れたの?大丈夫?」
「いや、大丈夫だよ。たまたま愛菜がメリーさんってあだ名で呼ばれてること思い出して、告白された時のこと思い出してたんだよ」
そう言うと愛菜は顔を真っ赤にする。
「や、やめてよ!!忘れてって何回言えばいいのよ。もぅ……」
あれは印象的すぎて忘れられるわけがないじゃん。
あの時のことは。
―――――
学校が終わり、今日は部活がないので帰る用意をする。
今日は……愛菜は話しかけても来ずにすぐどこかへと走っていった。何か用事でもあるのだろうか。
どこにいるか分からない状態だといつ愛菜が話しかけに来るか分からないからほんと心臓に悪い……
とりあえずメッセージも来てなかったので俺は1人で帰ろうと靴箱まで行ったところでひとつのことに気付く。
靴箱に手紙入ってんじゃん!!
これはまさかのラブレター!?
なんてテンションを爆上がりさせながらその手紙を開く。
中身は『放課後、図書館裏のちょっと開けた場所。そこで待ってます』ということだった。
好きとか付き合ってくださいなんかは書いてはいなかったがこれは告白だよな!初めてだ!!今までモテ期なんて来たことない俺についに春が……
うっわ。やっべぇ、心臓バクバクいってる。
と、とりあえず行くか……
放課後ってことはもう待ってるかもしれないし。
俺は駆け足で指定された場所へと向かう。
はぁ……はぁ……
部活以外でこんな全力で走ったの初めてだ……
その場所には着いたがそこには誰も居ない。
授業が終わってからもう30分くらい。早すぎることも遅すぎることもないと思うんだけど。
嫌がらせなのかな……
だったらこれトラウマもんでしょ……
ピロン
なんて考えているとスマホの通知音が鳴る。
『私メリーさん。今あなたの後ろにいるの』
愛菜!!??
振り返ろうとするとガシッと肩を捕まれ反転を阻止された。
力強!!そんな見られたくないことでもあったのかな。
俺は力を抜いて話しかける。
「どうしたんだ?」
「あ、あのね。えーと……」
なにか言葉が詰まっている。どうしたんだろう。
「私、後ろじゃなくてあなたの横に、そばに居たいな……」
……?
どういう意味だ……?
―――――
ってなるだろ普通。
「あんな告白忘れられないなぁ」
結局あのラブレターは愛菜だったんだけど。
「お、思い出さないで、やめて!!」
愛菜の前であの時のことを話していたら羞恥心か顔を真っ赤にし俺の胸をポコスカ殴ってくる。
あの頃、ちょうどメリーさんの都市伝説なんかをいっぱい調べていたらしくて、思考もそっちに引っ張られていたそうだ。
ちなみにあの後俺はそれが告白だと分からなかったため聞き直してしまったのだが。
もう吹っ切れたのか愛菜は「好きってこと!付き合ってそばに居て欲しいなって言ったの!!」って大声で叫んだ。
いや、でもしょうがないじゃん!
愛菜からの告白だなんて思ってなかったし。
「あの時はごめんな、愛菜」
いや、ほんとごめん。聞き直さなきゃ愛菜は大声で叫ぶなんてことは無かった。そうしたら今みたいに愛菜と二人でいる時、生徒たちからヒソヒソされないで済むのに……
図書館っていう全学年が使用する場所の近くでそんなことしたらまぁそうなるよな。
「もぅ。いいよ。諦めたし……」
俺も諦めた。うん。
「そういえばなんであんな告白の言葉選んだの?メリーさんなんて告白には合わないと思うんだけど」
もう月日も経った今だから聞けるがなんでなんだろうか。
「え〜言わなきゃダメ?恥ずかしいんだけど」
「既に羞恥心なんてないじゃん。教えて〜」
「羞恥心はあるよ!!分かった。でも二度と言わないからね!」
もうっ。と俺の腕をペチンと叩き説明を始める。
「メリーさんって人形を捨てたら戻ってきたみたいな話っていうのは知ってる?」
あぁ、それは少しだけ。メリーさん人形を引越しの際に捨てたら電話で少しずつ近付いてくるっていう感じのだよね。
「それ以外にも人がちょっとずつ近付いてきて殺しにくる。脅かしにくる。なんて都市伝説もあったりする。まぁ簡単に言うとマイナス方面のものばっかりだったの」
まぁ、そうだろうなぁ。普通、人形だったり居るはずの無い人が電話をかけてくるなんて気味悪いものだしマイナスでしょ。
「でもね、私、人形とかも捨てられた恨みとかじゃなくて寂しさ、会いたい気持ちなんじゃないかなって。つまりメリーさんは愛を伝えにあと少しで会えるよ、あとちょっと待っててねって感じかななんて思ったの」
……なるほどね。そんな発想なかったなぁ。
メリーさんと言えば怖いものか広告で見た「俺も居るの」なんていう除霊師が出てくるやつしか頭に出てこないなぁ。
「それに合わせて私って幼稚園の頃なんかはたっくんの後ろで隠れてたから……なんかちょっと違う気がするけどメリーさんは本当は告白に。で、私は後ろじゃなくて隣、そばに居たいって、言おうとしたらあんな言葉になったの」
︎まぁ、幼馴染だし子供の頃から一緒に居たからなぁ。おばさん達からも愛菜のこと守ってあげてなんて言われていつも前に立ってあげてた。懐かしい話だが……
だから後ろじゃなくて隣にそばに居たいってなったのか……
そんなに考えられた告白分からなかったの俺クソ野郎じゃん……
ラノベに出てくる鈍感系ってこんな感じなんだな。これからは気付いてやれよ!!なんて言わないようにしよ。
というか一生懸命考えてくれたんだなって思うとニヤニヤしてしまいそうになる。
「ニヤニヤしないでよ!あともうこの話はしないからね!!忘れて!!」
おっと、既にニヤニヤしてしまってたか。
あと、絶対無理。忘れられるわけがないじゃん。
「もぉ!!」
フンッ
頬を膨らませてそっぽを向かれる。
「ごめんって〜次は気付くとかの前に俺から先に言うから〜」
「次って、そんな……の……」
途中で俺が何を言わんとしているか分かったようで耳まで真っ赤になる。
そして無言のままダッと愛菜が走り出す。
「あっ。ちょっと待って!!」
俺も愛菜の後を追いかける。
次は死ぬまでずっと傍に、隣に居てくれませんかとでも言おうかな?
面白い!ヒロインかわよ最高!なんて思って頂けた方!
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