第二話親バカはちゃめちゃバースデイ
目を閉じていてもまぶしい、、、もう日本に着いたのか、、、?
そう思いながらハルトは恐る恐る目を開ける。すると目の前にはよくわからない機械でハルトをパシャパシャとし続ける先程の母と父の姿があった。
「きゃー!! 目開けたわよほらあなた!!」
「くっ!! なぜうちの息子はこんなにも可愛いんだ!!!」
こいつらは、なにをしているんだ、、、?
スマホを知らないハルトにとっては頭のおかしい人にしか見えなかった。
ハルトが目を開けても2人は写真を撮るのを一切やめない。
や、やめろ!! まぶしいだろ!!
「だ、だだぁ!! だだぁ!!」
「この子写真撮られて喜んでるわ!!」
「これは将来はイケメン俳優間違いなしだ!!」
ハルトの言葉は虚しくも2人には届かなかった。
あれから約1時間、ハルトは写真を撮られ続け、疲れ果てていた。
なんなんだあれは、、、意味がわからない、、、魔法なのか、、、?
赤ちゃんの言葉は基本大人には通じない。そのことに頭を抱えたハルトだったが、その苦しみはもう少し続く事はまだ知らない。
〜2年後〜
「はるくん!! 3歳のお誕生日おめでとーーー!!!」
その日は晴人の誕生日だった。 フゥっとロウソクの火をハルトは吹き消す。
「息吹いてるはるくんも可愛いわぁ!!」
そう言って母親は晴人の写真を撮りまくる。
この世界で2年ほど暮らして気づいたことがある、、、この2人は親バカだ!!!
俺は一度誕生日を迎えている。だがその時はまだ一歳。まだ上手くロウソクなるものを息で吹き消すこともできない年齢だ。
だがこの2人が用意したのは俺の身長よりでかいバースデイケーキとやら、、、
この2人はあたまがおかしいのか、、、?
そう、この両親は間違いなく親バカである。
この2人のプロフィールを見てみると、、、
母、大倉 茜 趣味、晴人の写真を撮ること 好きなもの晴人と剛
父、大倉 剛 趣味、家族のため、晴人のために働くこと 好きなもの晴人と茜
間違いなく親バカである。
俺ももう2歳、言葉を話すことはできる、、
一度試しにママ、と呼んでみたところ母は気を失って倒れてしまった。それ以降、俺は母のことを母さんと呼ぶことを心に決めた。
「よくロウソク消せたなぁ晴人!!」
「そうよすごいわぁ!!」
「じゃあケーキも切ってみようか!!」
は、、、?
この2人は馬鹿なのか? まだ手も成長しきっておらず、お前たちの手の4分の1ほどのサイズだぞ? それなのにケーキを、切る、、、?
撤回だ。この2人は親バカではない。正真正銘のバカである。
「やっ、やぁ!」
これが今のハルトにできる最大の抵抗である。
「おい茜、晴人包丁を全然持ちたがらないぞ?」
「えっ、なんでかしら、、、?男の子は包丁で物を切り刻むのが好きだと思ってたのに、、、」
サイコパスの考えだ、、、
母さんの方はやばい、、、父さんにどうにかしてもらわないと、、、!!
「パッ、、パ。きっ、、、え」
「おい今晴人俺のこと呼ばなかったか!?」
伝わったか!! これで助かる!!
「ええ呼んだわ!! パパを切れですって」
違う!! そうじゃない!!
なぜそんな変換になるんだ、、、?
こいつの頭はゴミ箱から作られているのか?
「ふっ、、、この歳にして父を越えようとするか、我が息子よ」
こいつもだめだった、、、
仕方がない、、、失敗してもいいから俺がやるか、、、
そう思いながらハルトは包丁を手に持った。
その日、剛の指から血が止まらなかったそうだ。
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