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マハラジャ物語 折り畳み傘1

作者: とんぷ

金曜の夜、仕事用の箱バンで

泉尾の交差点を北に曲がり

千日前通りを通って自宅に向かうオレ

フェイスブックを開くと今はやりの

音楽配信をやっている。

シックのグットタイムと

シュガーヒルギャングのラッパーズディライトをmixしてる。

なかなかセンスのいい選DJや。


自宅に帰っても、今夜の予定はない。

女友達に連絡しても、みんな彼氏とデートとかで

誰も相手してくれない。


約束恐怖症のオレは数日前から

約束するってこと苦手だ。


その日に遊んでくれる女友達をさがす。

その日にいきなり遊ぼうというオレを

みなから怪訝な目で見られてるのはうすうす感じている。


ドンドン友人が減っていく。


しかたない一人で行くか


船場の高架下の駐車場につくと20時10分前。

駐車料金がやすくなるまで時間つぶす。


3か月前分かれたカナコを思い出す。

「ユウジ駐車場いれへんの」

「ちょっとまって、あと10分で安くなるから」

「デートのときくらい、せこいこといいなや」

そういうカナコとはしばらくして別れた・・というかふられた。


その前つきあってたノゾミは

「ユウジのそういう無駄に使わないとこ好き」って言ってた。

人によってちがうんやな

そういえばノゾミはクーポンがやたら好きな。クーポン女やった。

2400円で食べ飲み放題やでとよくいってた

しらんがなそんなんと、つっこみたかった


20時になって駐車場に入るゆうじ。

車を停めてミニストップに向かう。

入口に女が一人立っている。

なぜかオレをガン見してる。


マハラジャで何回かみたことあるけど

話たことはない。

オレが近づくと女は目をそらす。

ちぇっ、オレには興味ないのか


ミニストップで買い物をすませ出ようとすると

突然雨が降ってくる


俺は折り畳み傘をだした。

さっきの女がまだいてる。話しかけてくる

「あの、マハラジャにいくんですよね」

「ええ、そうです」

「傘、いれてもらっていいですか」女が言う

「傘、小さいけどいいですか」

「小さくてもだいじょうぶです。」

俺の頭のなかで、なぜかループするこの言葉

 (小さくても、大丈夫です、チイサクテモダイジョウブ)



25時、おれは中津のワンルームマンションのベッドの上だった。

その女の部屋におれはいた。

なぜ、その女と言うのか、名前を聞いたけど忘れたからだ。


女「ボタンの外し方、うまいね」

この女、他の男とくらべている。もう何人もこの部屋につれこんだんやろうな

「よかったよ」つづけて女は言う

きいてもないのに行為の後の感想を言う女は初めてだ。

俺はうなづくしかない。


あけがた。目を覚まし

ふとテーブルを見るとカップ麺のから容器に無造作に

押し込んであったスナック菓子の袋。それを見て

この女ともうあうことないな。そんな気がした。


「今日仕事やから、もう帰るわ」

「また遊んでね」女は言うがおそらくそれも女の社交辞令。


マンションを出ると雨が少し振っていた

カバンから出した折り畳み傘は昨夜の雨がなかったかのように

きれいに拭き取られてかわいていた。


折り畳み傘をもういちどカバンにしまい、小雨に濡れながらおれは家路に向かった。


名前も電話番号もアドレスも知らない女。

四国から上阪したと言ってた。もうすぐ田舎に帰ると言ってた。


オレのことは記憶にも残らないんだろうな。


おわり

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― 新着の感想 ―
[良い点] 男性からの視点わかりやすいなって、思いました。 かたよってそうだけど笑 なんだかんだ モテるのね、すぐフラれるようだけど。 改めようなんて もうこの歳になると無いのかなー [気になる点]…
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