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詩集  作者: 空束 縋
6/13

職場にて









 小さな事務所に一人きり

 仕事の手を止め 体を擦る


 寒さが床から這い上がり

 私の足先 手先を冷やす



 窓の外へと目をやれば

 黒一色の 夜の闇


 哀しい気持ちが込み上げて

 慌ててそれを押し殺す




 机の上へ手を伸ばし

 ペットボトルを掴み取る


 自動販売機で買った

 選ぶ気もない焙じ茶が


 消去法でボタンを押した

 百円だった焙じ茶が


 私の胃の府を 温める




 何度も時計を眺めては

 大きく息を吐き出して


 近付いてくる足音に

 何度も背後を気にしては


 帰る時間を待ち望む


 仕事の終わりを待ち望む




 二十一時を半分過ぎた

 呼吸の詰まる この部屋で


 二百八十ミリリットルの

 黄色いラベルの 焙じ茶は


 私の体を あと何度

 温めてくれることだろう









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