とある魔王のお話
本なら何でも好きな人です。書くのも読むのも本関係ならなんでも。ですが、感想文は嫌いです。
毎日のように、睡魔と空腹にそこそこ襲われながら、元気にいろいろやっています。
あるところに一人の魔王様がいました。
それはそれは心の優しい魔王様でした。
魔王様は友達が欲しいと思いました。
ですが、お城には誰も来てくれません。
なので、魔王様は町へ行きました。
しかし、人々は怖がって石を投げつけてきました。
傷ついた魔王様は、お城に戻って思いました。
「僕はもう、町に行かないよ。皆も、来なくていいよ。まあ、来るわけないんだけどね…」
そう願ったのに、一人の勇気ある人間が来てしまいました。
「…何で来たの?」
「おまえを倒すためだ」
「そっか…」
「でもやめた」
その人間は不思議なことを言いました。
「この城、どこ探しても姫いねーんだもん。あのクソ爺絶対嘘ついてやがる。それにお前。」
指をさされた魔王様はびくっとしました。
「お前はぜってーに俺を殺さねぇ。それだけは言える」
「何で?君が後ろを向いた途端に僕が君を殺しちゃうかもよ?」
まあ、勘だな。
その人間はそう言って笑いました。
「それよりさぁ」
その人間は魔王様に手を差し伸べて言いました。
「俺たち、友達にならねぇ?」
魔王様はその言葉を聞いた途端泣きました。
悲しいわけじゃなく、怒っているわけでもなく、ただ、ただ、嬉しい涙でした。
魔王様はその人間の手を取りました。
とても暖かい手でした。
勇者であるその人間と魔王様はそれから、この世界で一番ではないかと言えるほど仲のいい友達となりました。
そのことに疑問を持った王様がいましたが、それは別のお話で…。
しばらく前に描いた短編をまとめました。いくつかの話からつくられるので、一応連載小説とさせてもらっています。
今回も楽しんでもらえたら嬉しいです。
もともと、RPGなどが好きで、いつもは敵を倒していますが、たまにはこんなほのぼのとしたのもいいなと思い書きました。
いろいろ書いている中で、唯一流血表現の無いシリーズにしていこうと思います。